
こちらの記事の監修医師
医療法人三慶会 指扇病院
塚原 理恵子 先生
あとぴーせいひふえんアトピー性皮膚炎
最終更新日:2021/11/16
概要
アトピー性皮膚炎は、増悪と軽快を繰り返す痒みある湿疹を主病変とする疾患である。 多くの場合はアトピー素因を持つ。アトピー素因とは、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数を自分自身や家族がもっている、またはIgE抗体を産生しやすい体質である。
原因
皮膚のバリア機能の低下やアトピー素因(体質)をはじめ多くの要因が関連し発症する。
症状
痒みがあり、紅斑や丘疹などといった湿疹が、体のさまざまな部位に左右対称性に、慢性的に繰り返してみられる。湿疹ができる部位は年齢によっても異なるが、前額、眼囲、口囲・口唇、耳介周囲、頸部、四肢関節部、体幹に好発する。乳児期あるいは幼児期から発症し小児期に寛解するか、あるいは寛解することなく再発を繰り返し、成人になっても症状が持続してみられることもある。また、唾液、汗、髪の毛の接触、衣類との摩擦、掻破による刺激、外用薬、化粧品、金属、シャンプーやリンスなどのかぶれ、ダニ、ほこり、花粉、ペットの毛などによる吸入、食物、ストレスなどで悪化することがある。
検査・診断
診断や重症度の参考にするため、採血で血清IgE値、末梢血好酸球数、血清LDH値、血清TARC値などを測定する。TARC値などは病変を反映しやすいため、治療の効果を評価するためにも使用する。
治療
疾患そのものを完治させうる治療法はないため、治療の最終目標(ゴール)は、症状がないか、あっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、それを維持することである。また、このレベルに到達しない場合でも、症状が軽微ないし軽度で、日常生活に支障を来すような急な悪化がおこらない状態を維持することを目標とする。治療内容としては炎症を起こしている湿疹に対しステロイド外用薬やタクロリムス軟膏による外用療法を主とした薬物療法、皮膚の生理学的異常(皮膚の乾燥とバリア機能低下)に対し保湿剤外用によるスキンケア、痒みに対して抗ヒスタミン薬の内服を補助療法として併用し、悪化因子を可能な限り除去する。重症・難治の場合には、シクロスポリン内服、紫外線療法、心身医学的治療なども検討する。最近では生物製剤も出てきた。基本的には外来で外用療法を中心とした治療をまずは行い、皮疹の程度などからこれらの治療を適切に組み合わせていく。
予防/治療後の注意
合併症としては、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などのアレルギー疾患を発症することが多い。また皮膚のバリア機能の低下などにより伝染性膿痂疹、丹毒、蜂窩織炎などの細菌性、カポジ水痘様発疹症、伝染性軟属腫などのウイルス性の感染症をしばしば併発する。顔面の皮膚症状が重症の場合は、白内障、網膜剥離など眼疾患を合併しやすい。それらの合併症がある場合、小児科、耳鼻科、眼科、呼吸器内科などと連携し、総合的な管理を行う。炎症が軽快して一見正常に見える皮膚も、組織学的には炎症細胞が残存し、再び炎症を引き起こしやすい状態にある。そのため再燃をよく繰り返す皮疹に対して、炎症が寛解した後に、保湿外用薬によるスキンケアに加え、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を定期的に(週2回など)塗布し、寛解状態を維持する治療法であるプロアクティブ療法を考慮する。

こちらの記事の監修医師
塚原 理恵子 先生
川崎医科大学卒業後、自治医科大学附属病院、自治医科大学附属さいたま医療センター、さいたま赤十字病院を経て2018年4月より指扇病院に勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。
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