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こちらの記事の監修医師
昭和大学病院
小児科教授 今井 孝成 先生

しょくもつあれるぎー 食物アレルギー

概要

アレルギーとは、体に入ってきた異物を排除する「免疫」の仕組みが過敏に働いてしまう現象をいいます。食物アレルギーは、ある特定の食べ物により、このアレルギーが起きてしまう病気です。特に子どもに多い病気で、乳幼児の5~10%、学童期の1~3%が食物アレルギーと考えられています。しかし主要な原因食物である鶏卵・牛乳・小麦は年齢が上がるにつれ、アレルギーが起こらなくなっていくことが知られています。但し、人によってはアナフィラキシーショックと呼ばれる、生命を脅かすような全身性の非常に強い症状が出る場合もあります。食物アレルギー症状を疑ったときは速やかに医療機関を受診し、原因となる食べ物を調べることが重要です。

原因

食物アレルギーの原因は食べ物に含まれるタンパク質ですが、どの食べ物にアレルギーを示すかは個人個人で異なります。日本では、鶏卵、牛乳、小麦が全体の70%を占め、中でも鶏卵が40%を占めています。学童期になると、甲殻類、果物、木の実類などの割合が高まっていきます。なぜ、本来は無害であるはずの、これらの食べ物を体が異物と認識してしまうのかというメカニズムは、すべてが解明されたわけではありませんが、湿疹などでダメージを受けた皮膚に食べ物の成分が接することで、その食べ物を悪いもの=異物と勘違いしてしまうことが原因と考えられています。次に同じ食べ物を口から食べたときに、体がその食べ物を異物と判断して過敏に免疫の仕組みを働かせ、排除しようとしてしまうのです。

症状

代表的な症状は、じんましん、湿疹、かゆみなどの皮膚症状、くしゃみ、鼻水、咳、呼吸困難などの呼吸器症状、目の充血、腫れ、かゆみ、口の中の腫れや違和感などの粘膜症状です。およそ70%の患者に皮膚症状が、30%の患者に呼吸器症状、粘膜症状が表れます。また、中には腹痛、下痢、嘔吐などの消化器症状、頭痛、元気がなくなるなどの神経症状、さらに血圧低下や意識がもうろうとするなどの全身症状が出現することもあります。特に全身症状が強く出て生命に危険が及ぶ状態を「アナフィラキシーショック」と呼びますが、この場合は迅速な治療が必要です。特定の食物を摂取した後に運動をすると、強い全身性アレルギー症状が出る「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」という特殊な病態もあります。

検査・診断

食後にじんましんや湿疹が出ても、すべてが食物アレルギーであるとは限りません。食中毒や食品中の化学物質によるじんましん、消化液の分解酵素がうまく働かない病気なども考えられますから、それらとの違いを見極め、アレルギーの原因となる食べ物を特定する検査、診断を行います。まず、問診で何をどのぐらい食べ、何分後にどんな症状が出たかを詳しく聞き取り、血液検査の結果と照合して、どの食べ物が原因かを検討します。それぞれの食べ物に対する特異的IgE抗体という免疫物質の量を測定し、その食べ物が原因であるかを推定します。また皮膚表面に原因物質の液を垂らし、軽く針で刺して反応が起きるかどうかを見る皮膚プリックテストも参考になります。しかし最終的には原因と疑われる食べ物を実際に医療機関で食べて、症状を観察する食物経口負荷試験が判断のための標準的な試験です。

治療

食物アレルギーを完治させる薬はまだありません。治療は、原因となる食物を特定し、医療機関が行う栄養食事指導に従って、原因となる食べ物を必要最小限に除去した食生活を送ることが基本です。また、食物経口免疫療法(経口減感作療法)という取り組みがあります。症状が出ない少量の原因食物を食べていき、徐々に体を慣れさせながら、少しずつ食べる量を増やして原因食物を食べられるようにする方法です。しかし、この方法はアナフィラキシーを誘発する危険を伴うため、安全に特別な配慮が必要です。このため、必ずアレルギーを専門とする医師の指導のもとで行わなくてはなりません。また、血圧低下で意識がもうろうとするなどアナフィラキシーショックが起きた場合は、迷わず救急車で病院へ行ってください。アナフィラキシーショックを起こす危険性のある患者には、あらかじめアドレナリン自己注射薬を処方し、症状が出たときに打てるよう対策も取られます。

予防/治療後の注意

原因食物が複数あった場合、完全に除去した食事を続けるのはなかなか難しいのですが、食物経口負荷試験を受けると、原因となる食べ物が特定できるだけでなく、どの程度の量なら食べても大丈夫かといったこともわかります。加工食品なら食べられる場合もあります。また、特定の食物を除去したら、代わりに栄養を取れる食物を摂取する必要もありますので、積極的に食物経口負荷試験を受け、専門の医師の診断と指導を受けることをお勧めします。原因食品の除去を行っているときは、子どもが通う保育所、幼稚園、学校の先生などにも話しておきましょう。アナフィラキシーショックを起こす可能性があると診断されている場合は、特にアドレナリン自己注射薬など、協力を依頼しましょう。文部科学省や厚生労働省はガイドラインを発出し、生活管理指導表というツールによる連携を必須としています。

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こちらの記事の監修医師

昭和大学病院

小児科教授 今井 孝成 先生

1996年東京慈恵会医科大学医学部卒業後、昭和大学小児科学講座に入局。国立病院機構相模原病院などでの勤務を経て、2019年より現職。専門は小児アレルギー疾患。 日本小児科学会小児科専門医。