子どもにアレルギー症状が出たら
専門の小児科クリニックに相談を
東郷なないろこどもクリニック
(愛知郡東郷町/日進駅)
最終更新日:2024/03/01
- 保険診療
アレルギーにはアトピー性皮膚炎や気管支喘息などのさまざまな種類があり、その多くが小児期に発症するといわれている。中でも食物アレルギーは、特定の食べ物に含まれるアレルギーの原因「アレルゲン」に対し、本来体を守るための免疫機能が過剰に反応して、さまざまな症状を引き起こすものである。聞き覚えのある身近な症状だけに、現在は子どもに発症がなくても、不安を抱いている親は多いようだ。実際「どんな症状が出たら、どこに相談したらいいのかわからない」という声もよく耳にする。そこで小児科とアレルギーの専門家である「東郷なないろこどもクリニック」の近藤康宏院長に、食物アレルギーの症状や発症しやすい年齢、発症した際に受診すべき診療科などについて話を聞いた。
(取材日2023年11月30日)
目次
食物アレルギーは、食物経口負荷試験で食べられる量を見極めることが大事
- Q食物アレルギーとはどのような症状なのでしょうか?
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A
アレルギーを起こす物質は、ダニ、カビ、花粉などさまざまですが、その中でも、食物によってアレルギー反応が生じるケースを食物アレルギーと呼びます。本来なら体に害のない食品によって免疫機能が過剰に働き、アレルギー症状を引き起こします。食物アレルギーで多いのは、じんましんやかゆみなどの皮膚症状です。他には、おなかの痛みや嘔吐などの消化器症状、息苦しさや咳などの呼吸器症状が出るケースもあります。食物アレルギーの原因となる代表的な食材は、鶏卵や牛乳、小麦ですが、その多くは成長するにつれ自然と症状が出なくなるケースが多いです。一方で、それ以外の食品が原因であるケースは自然に改善しにくいといわれています。
- Q食物アレルギーを発症しやすい年齢は?
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A
離乳食が始まる1歳未満が多いですね。基本的に初めて摂取する食べ物は、体にとって敵かどうかわからないので異常がないはずです。しかし、環境中には食べ物のカスが飛散しており、湿疹がひどい子どもの場合、皮膚から吸収されてしまうと、知らぬ間に体が敵と認識してしまい、初回の摂取でも発症することが起こり得ます。ですので、赤ちゃんのうちは湿疹が起こらない肌状態を維持することが、食物アレルギーの発症予防に有用だといわれています。また、食物アレルギーにも種類があり、原因食物を食べた直後に運動すると症状が出るケースも。これを運動誘発型の食物アレルギーといいますが、運動量が多くなる小学生以降に発症することが多いです。
- Q子どもにアレルギー症状が出たら、どこに相談したら良いですか?
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A
アレルギーを専門とする小児科クリニックをお勧めします。特に食物アレルギーが疑われる場合は、医師の管理のもとアレルゲンと考えられる食べ物を少量食べて症状の有無を確認する「食物経口負荷試験」まで実施しているクリニックが良いでしょう。食物アレルギーの多くは2時間以内に発症するといわれていますが、まれに発症までに3時間程度かかるようなケースもあります。このような場合は経過観察に時間がかかりますので、大規模病院にご紹介する場合もあります。受診の際は「何を食べて、何分後に症状か出たか?」を医師に伝えることが大切です。皮膚症状であれば写真を撮って医師に見せると診断に役立つでしょう。
- Q食物アレルギーでは、どのような検査を行うのですか?
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A
先ほどお話しした食物経口負荷試験です。これはアレルギーが疑われる食品を実際に医療機関で摂取し、症状の有無を確認しながら食べても症状が出ない量はどれくらいかを調べるもので、この試験の結果をもとに、医師が食事指導を行います。昔は症状が出るものは一切食べない「完全除去」という考え方が主流でした。しかし現在は、食べられる量を見定めるという流れに変わってきています。食物アレルギーは、症状の発症時期や発症の度合いに個人差があるため、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの診療を行うことが重要だと考えています。
- Qこちらで行っている食物アレルギー診療の特徴を教えてください。
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A
さまざまな食品を取ることが、子どもの健康な発育につながりますから、原因となる食物をやみくもに除去するのではなく、食べられる量を正しく知ることが重要と考えています。よくあるのが「子どもにどんなアレルギーがあるのか血液検査で知っておきたい」というご相談。しかし血液検査は確実に診断できるものではありません。実際に症状が出るか否かを把握することが大切ですので、当院では血液検査に頼るのではなく、原因食物を食べて確認する「食物経口負荷試験」を重視しています。また、当院は日曜診療にも対応するなど緊急時に対応できる体制を整えていますので、急な発症時もご安心いただけると思います。