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山口 信行 院長の独自取材記事

山口こどもクリニック

(愛知郡東郷町/日進駅)

最終更新日:2019/08/28

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日進駅より車で10分、2006年に開院した「山口こどもクリニック」。三角屋根と丸窓がかわいらしい外観で、院内はキャラクターグッズがたくさん置かれた親しみやすい雰囲気。院長の山口信行先生は、日本小児科学会の小児科専門医。これまで新生児や周産期医療に携わった経験と知識を生かし、「赤ちゃん相談室」を開設。診療理念は「子どもが健やかに育つことができる環境をつくること」。予防接種の必要性をご両親に納得してもらえるように伝え、育児は孤独になりやすいため、不安や心配事を解消できる場となりたいと話す山口先生に、日々の診療やクリニックについて聞いた。
(取材日2017年4月10日)

育児不安解消を目的に赤ちゃん相談室を開設

開院後11年で変化などはありましたか? 

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開院当初に赤ちゃんだった子が、今では小学校3〜4年生になって来る子もいます。子どもたちが成長していく姿を見られるのはうれしいですね。開業後5年目くらいから赤ちゃん相談室を始めたこともあり、当院の患者さんは1歳未満のこどもの割合が多いと思います。私の娘が出産し、孫が1歳を過ぎた頃、39℃を超える高熱を出したことがありました。心配して声をかけたけれど、娘は「大丈夫だと思う。私の育事は強気だよ」と言っていました。その意味は小児科の医師である私がいるから何かあってもすぐ相談できるし、心配ないと娘に言われました。その言葉を聞いて、安心して頼れる人がいれば、母は強くなれるんだって思ったんですね。今の時代は、「孤」育てをしている方が多く、周囲に相談できる人が少ない。だからこそ、お母さんたちの不安を解消して余計な心配をせずに子育てをしてほしいと思ったのがこの相談室を始めたきっかけです。

赤ちゃん相談室について、詳しく教えてください。

週1回行っています。当院では乳児健診の時間枠を多く取っているのも、乳児期の心配事を解消する1つの方法だと思っています。今は予防接種が複雑で種類も多いですから、スケジュール管理もしています。臍ヘルニア・授乳がうまくできない・体重の伸びが悪いといった悩みも多いですね。15〜20分ほど時間を設けて個別に話をしています。離乳食の食べさせ方がわからないという悩みもあります。そのため、今年4月から離乳食栄養相談室を開設して、希望するお母さん方に対して管理栄養士が個別に離乳食相談に応じています。

新生児医療に携わるようになったきっかけを教えてください。

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最初に赴任した名古屋市立城北病院(現在の名古屋市立西部医療センター)は、新生児医療を専門に扱う病院で、愛知県で先駆けてNICUが認可された病院です。高水準の医療から勉強することがたくさんあり、私が新生児医療と関わることになった原点です。その後名古屋市第二赤十字病院へ移り、本格的に新生児医療に取り組むことになりました。さらにその後、名古屋市立大学へ移り、新生児呼吸管理法、一酸化窒素吸入療法など動物実験を用いた研究に関わることができました。

適切な医療機関に紹介するコーディネーターの役割

設備面など、工夫されていることはありますか? 

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処置室の点滴をするスペースには、添い寝ができる畳を使っています。授乳室も広めに確保し、隔離室との動線も意識しました。診察で泣いてしまう赤ちゃんが多いので、秘密兵器を用意しています。秘密兵器といっても簡単なもので、手づくりなのですが、ボトルに水を入れて中を浮遊するビーズがゆっくり動くおもちゃです。1歳未満の赤ちゃんはゆっくり動くものに興味を惹かれることが生理学的にわかっています。動きが早いものは、視力が追従しないのであえてゆっくり動くようにしてます。開院当初から置いてあり、泣いていた赤ちゃんも見た途端にピタッと泣き止むことが多いので、聴診器で診察する時には便利です。親御さんからも、「これどうやって作るんですか?」と質問を受けることもありますよ。

診療時に心がけていることはありますか? 

いろいろな症状で来院されますが、全てを診ることはできないので、軽症か重症かを素早く診断し、当院で対応できなければ適切な医療機関に紹介するコーディネーターでいようと思っています。小児科は患者さんや親御さんが抱えている問題点や不安を聞き出す能力も求められるので、来院したことで少しでもそれらを解決できる医療を心がけています。気持ちに応えて寄り添うことが大事です。自分の意思を伝えられない赤ちゃんの代弁者であるのも、小児科の医師としての役目でしょう。何を訴えているか、読み解いて最良なことをしてあげること。最近では食物アレルギーを心配され、離乳食が始まる前にアレルギー検査をしてほしいという方もいます。アトピー性皮膚炎がひどい場合は検査をしますが、「肌もきれいだし、この子は大丈夫。何か症状が出てから検査すればいいんだよ」とお伝えすることもあります。安心してもらえるよう、声かけは大事にしていきたいですね。

予防接種の必要性について、先生の考え方をお聞かせください。

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予防接種はどのお子さんにも必要です。やっておいたほうが病気にかかる可能性は下がり、重症化を防ぐことができます。現状では、任意接種の場合は接種率20~50%、定期接種の場合は95%以上と大きく差があります。子どもが健やかに育つ環境を整えるためには、定期接種で受けられる環境づくりが重要です。小児科の医師として、任意接種の費用負担をしてくれる自治体への交渉なども小児科の医師の役割として重要と考えています。定期接種になれば接種率も上がるし、病気もなくなる。医療費も削減されますし、各家庭の経済負担も軽くなるでしょう。

「クリニックお母さん」と連携して悩みを汲み取る工夫

「クリニックお母さん」という存在がいるそうですね。

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開業当初からいる看護師で、もともとは子育て相談をしていた方に「クリニックお母さん」として待合室で紙芝居や読み聞かせをしてもらっています。コンシェルジュのような発想で生まれた存在です。待合室で子どもと遊びながら、お母さん方の悩みや心配事を自然な会話から汲み取ってくれます。診察室での診察時間は5分くらいで、限られた時間の中で親御さんの心配事の全てを聞き出すことは難しいですよね。「クリニックお母さん」は、親御さんは子どもの言葉の遅れを心配していたなど、会話から拾った情報を私に後から伝えてくれて、次の診察時に「クリニックお母さんから聞いたよ」と声かけができるようになります。

親御さんの悩みはさまざまなのですね。

親御さんにとって子育ては悩むことがたくさんあります。その中でも、言葉が遅い、集団で遊べない、気に入らないことがあるとパニックになるなど、お子さんのことで「気になっていること」がある親御さんに対しては月2回当院に来ている臨床心理士による心理相談室でお子さんの特徴に合わせた関わり方についてアドバイスをしてもらいます。

医師をめざしたきっかけを教えてください。

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高校3年の8月に病気で1ヵ月入院したことがありました。1ヵ月間病院で過ごす中で、看護師や医師が生き生きと、やりがいを持って働いている姿を見ました。それまではただ大学へ行けばいいと思っていましたが、私が入院した翌年の2月に父が亡くなり結局受験せずに終わってしまったのですが、浪人生活をしている間に医学部が一番魅力的に感じたのがきっかけでした。

今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

小児在宅医療にも携わっていきたいと考えています。当院には最後に勤務した聖霊病院の患者さんで、継続して通われている方もいます。NICUで重症な子や、人工呼吸器から離脱できない子、寝たきりになってしまった子は自宅で看護できる環境が整わないとなかなか退院できませんよね。退院後は、看護師がやっていたことを親御さんがしなければならない。そうした方々を少しでも助けられればと思います。育児や病気で不安に感じることがある時は、心配する気持ちが子どもにいろんなメッセージとして伝わってしまうものです。心配が解消されるだけでも、安らぎを得られるのですから、抱え込まずに地域の信頼できる先生に相談されるといいと思います。

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