アレルギーの専門家が語る
アレルギー疾患の診療ポイント
わしお耳鼻咽喉科
(西宮市/西宮北口駅)
最終更新日:2024/08/29
- 保険診療
アレルギー性鼻炎や花粉症、喘息にアトピー性皮膚炎と、さまざまな形で現れるアレルギー疾患。そうしたアレルギーに対し、内科、小児科、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科といったそれぞれの専門分野を基盤としながら、高いレベルで診療に取り組んでいるのがアレルギーを専門とする医師だ。西宮市で診療を行っている「わしお耳鼻咽喉科」の鷲尾有司院長もその一人。日本アレルギー学会アレルギー専門医として、総合的な視野でのアレルギー診療に力を注いでいる。症状がある場合にどの診療科にかかるべきか、どのような診断や治療が受けられるのか、アレルギーのある子どもに対する親の心構えを含め、鷲尾院長が重視するポイントを詳しく聞いてみた。
(取材日2024年5月17日)
目次
診療科の枠にとらわれず、トータルな視点で深堀りすることが重要
- Qアレルギーは何科で診てもらうのが良いでしょうか?
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A
内科や小児科をはじめ、さまざまな診療科がアレルギー科を標榜しているため、どこを受診すれば良いか、皆さんも迷われた経験があると思います。その中で、一つの判断基準となるのが日本アレルギー学会アレルギー専門医という資格です。アレルギー専門医は、それぞれが基盤とする診療科の専門家であることが条件。高い専門性と総合的な視野を持っていますので、まずは気になる症状と関連の深いアレルギー専門医の診療を受け、必要があれば他科の診療につなげてもらうのが理想的でしょう。例えば当院は耳鼻咽喉科ですが、アレルギー性鼻炎や花粉症に限らず、喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど、さまざまなアレルギー診療が可能です。
- Q風邪とアレルギーの違いを教えてください。
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A
風邪というのは医学用語ではなく、鼻水や鼻詰まり、咳などの症状の集まりを風邪と呼んでおり、正しくは風邪症候群といいます。風邪の症状がでる原因はさまざまですが、詳しく原因を調べずに経過観察しましょうということがいわゆる風邪だと考えています。一方のアレルギーにはちゃんとした定義があります。細菌やウイルスに対して起こるのが風邪と呼ばれる症状で、花粉やハウスダスト、ダニなどのアレルゲンに対して起こるのがアレルギー。どちらも同じ免疫反応ですから、症状が似ているのも当然です。ただし両者には、急性か慢性かという大きな違いがあります。「風邪の症状が長引いて」という場合はアレルギーを疑ってみる必要があるでしょう。
- Qアレルギー疾患の診断には「推測」が重要と聞きました。
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A
アレルギー疾患を診断する際に重視すべきは患者さんの既往歴と家族歴です。子どもの頃に食物アレルギーがあったり、ご家族に喘息やアレルギー性鼻炎があったりすれば、ご本人にもアレルギーがあるかもと推測できます。さらに重要なのが、アレルギーの種類を推測し、正しい場合はどのようなアプローチが必要かをよく検討することです。「私は花粉症だと思います」という患者さんに薬を出すのも間違いではありませんが、それでは一つの治療法しか提示できていません。薬を処方することは簡単なことですが、専門的に経過観察しながら、アレルギーへの最適なアプローチを提示することが大切だと私は思います。
- Qアレルギーの専門家として大切にされていることは?
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A
アレルギーというのは、あくまでその方の体質。言い換えれば個性でもあり、症状は体とアレルゲンのバランスによって決まります。特に問題となるのは、さまざまな症状が重複している場合。とりあえず表面に現れている症状をなんとかしてほしいという方に対しても、「それを治すためには、こちらも大切」と、いかにトータルな視点で深堀りできるかが治療のポイントとなります。また、「効きさえすれば」と当てずっぽうのように多くの薬を試すことは、新たな問題の引き金にもなりかねません。アレルギー治療は単純にはいかないことも多いため、やはり深い洞察力をもって、一つ一つ慎重に進めていくことがアレルギー専門医の使命と考えています。
- Qアレルギーに対して、どのように向き合っていくべきでしょうか?
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A
いまや、日本人の花粉症の割合は40%以上で、アレルギー全体で考えると半数を超えると想像できます。アレルギー科を受診すると何でもアレルギーと診断されるように思われるかもしれませんが、それだけアレルギー人口は多く、誰もが念頭に置く必要があるのです。小さなお子さんが成長につれていろんなアレルギー疾患を発症する流れを「アレルギーマーチ」と呼んでいます。そして成人になって出産し、またそのお子さんにアレルギーが引き継がれることも予想されます。親御さんに正しい知識があれば、きっと良き理解者になれるはず。ご自身にアレルギーがない場合もぜひアレルギーに関する見識を持ち、ご家族をしっかりと見守ってあげてください。