
こちらの記事の監修医師
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院
臨床検査部 睡眠障害検査室 医長 松井 健太郎 先生
すいみんしょうがい睡眠障害
最終更新日:2022/07/21
概要
日本人の5人に1人が何らかの睡眠問題を抱え、60歳以上では約3人に1人に及ぶというデータがあり、睡眠障害はもはや国民病と言われています。睡眠障害には、寝つきや睡眠維持の問題が長期間続き、日常生活に支障を来す「不眠症」のほか、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする「睡眠時無呼吸症候群」、日中に耐え難い眠気に襲われる「過眠症」、適切な時間に入眠・起床することができない「概日リズム睡眠・覚醒障害」、夜間睡眠中の異常行動を中心とした「睡眠時随伴症」などが挙げられます。
原因
不眠の原因には、加齢、ストレス、高血圧や糖尿病、かゆみや痛みを伴う疾患、うつ病などの精神疾患、薬物治療の副作用、騒音やまぶしい光による影響など、さまざまなものがあります。睡眠時無呼吸症候群は体重増加が原因となることが多いですが、本人の骨格や加齢も影響します。過眠の原因としては、ナルコレプシーや特発性過眠症などの疾患(中枢性過眠症)、慢性的な睡眠不足のほか、睡眠時無呼吸症候群による夜間の睡眠分断が影響している場合もあります。概日リズム睡眠・覚醒障害は、極端な夜更かしや、夜勤と日勤の繰り返しなどが原因となります。睡眠時随伴症は年齢による睡眠構築の違いが大きく影響しますが、その原因はさまざまです。
症状
不眠症状には、寝つきが悪い「入眠障害」、途中で起きてしまう「中途覚醒」、予定より早く目覚めてしまう「早朝覚醒」があります。これらが連日のように続くと翌日への悪影響はより顕著となります。睡眠時無呼吸症候群は、患者のいびきや睡眠中の呼吸停止にその家族が先に気づくケースも多く見られます。過眠症状は、授業中や仕事中に強い眠気に襲われ、気づくと寝てしまっている状態が典型的です。概日リズム睡眠・覚醒障害では、入眠・起床時刻を望ましい時刻に合わせられず、社会生活に支障を来します。睡眠時随伴症には夜間に大声をあげる、歩き回るなどの異常行動のほか、悪夢や金縛りなども含まれます。
検査・診断
睡眠時無呼吸症候群や睡眠時随伴症では多くの場合、診断確定のため睡眠ポリグラフ検査(1泊入院で睡眠の状態を総合的に評価する検査)を行う必要があります。睡眠時無呼吸症候群に関しては自宅で行う簡易検査があり、スクリーニングとして有用です。中枢性過眠症の診断のためには、睡眠ポリグラフ検査に加え、反復睡眠潜時検査を行います。不眠症や概日リズム睡眠・覚醒障害の診断は問診や睡眠習慣の記録などが中心となりますが、その他の睡眠障害が疑われた場合や、客観的な睡眠の質を確認する場合など、睡眠ポリグラフ検査が有用な場合があります。睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査を受けるには、多くの場合、睡眠障害専門の外来が窓口となります。
治療
不眠症や概日リズム睡眠・覚醒障害では、生活指導を十分に行った上で、必要に応じて睡眠薬を含めた投薬治療を検討します。睡眠時無呼吸症候群では特に重症の場合、鼻から空気を押し込んで気道を広げる機器(CPAP)を導入し、入眠前に装着する治療を行います。中枢性過眠症では十分な睡眠時間を確保した上で、覚醒維持薬を使用することがあります。睡眠時随伴症では、夜間の異常行動を起こし得る生活背景(ストレスや飲酒など)に注意しつつ、必要に応じて投薬治療を検討します。例えば中枢性過眠症では、十分な睡眠時間を確保するよう必ず指導しますが、不眠症では長時間の睡眠を確保しようとするとかえって不眠が悪化することもあるので、個々人の診断や生活状況に応じた生活指導を行います。
予防/治療後の注意
バランス良く食事をとり、適度な運動をし、日頃から規則正しい生活を心がけましょう。睡眠障害にはご自身の努力では予防できない疾患も少なからず含まれます。困ったときには一人で悩まず、専門の医師に相談することをお勧めします。

こちらの記事の監修医師
臨床検査部 睡眠障害検査室 医長 松井 健太郎 先生
2009年東北大学医学部卒業後、2011年東京女子医科大学精神医学講座に入局。東京女子医科大学病院、睡眠総合ケアクリニック代々木などでの勤務を経て、2019年より現職。専門は睡眠障害。
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