精神科の受診を後押しする
オンライン診療と対面診療の使い分け
エニキュアメンタルクリニック六本木
(港区/六本木駅)
最終更新日:2025/01/14


- 保険診療
多くのメンタルクリニックで導入されている、オンライン診療。心身の不調を自宅から医師に相談できるのが利点だ。近年、適応障害や睡眠障害、双極性障害(躁うつ病)、不安障害、摂食障害などの精神疾患を抱える人が多い一方、精神科や心療内科の受診に抵抗やハードルを感じ、受診をためらう人も少なくない。受診の第一歩として、オンライン診療が活用されている。しかし、オンラインのみで治療は完結できるのだろうか。対面診療とオンライン診療を行う「エニキュアメンタルクリニック六本木」では、患者が診療方法を選択。予約はインターネットで24時間受けつけており、相談しやすい環境が整ったクリニックだ。患者の意思を尊重しながら診療する杉本あずさ院長に、オンライン診療と対面診療の使い分け方やそれぞれのメリット、診療の流れを聞いた。
(取材日2024年12月20日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qどのような症状が現れたら、受診を考えるべきでしょうか?
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A
心身の不調は、体、心、行動や思考などにさまざまな形で現れます。「いつもと違う」「こんなこと今までなかった」などの異変を感じたら、すぐに受診することをお勧めします。例えば、体に現れる不調は、頭痛、腹痛、吐き気、肩凝り、めまいなど。心の不調には、涙もろくなる、感情的になる、不安や悲しみ、焦りが消えないなどがあります。寝つきが悪い、やる気が出ない、ミスが増えるなどの行動や思考に影響が出ると、会社に行けなくなったり、ベッドから起き上がれなくなったりすることもあります。心身の不調を抱えたまま過ごしていると、適応障害、うつ病などの精神疾患に移行することもありますので、早期相談、早期治療が大切です。
- Qこちらの診療体制とクリニックの特徴を教えてください。
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A
当院では、オンライン診療と対面診療を行っています。オンライン診療では、ウェブ会議ツールを使用して診察します。初診はオンライン、2回目は対面で受診していただくことも可能です。また、通院中に患者さんの都合に合わせて、オンラインと対面を自由に選んでいただくこともできます。初診の方もインターネットで予約ができ、当日予約にも対応しています。相談しやすい体制を整えていることが、当院の特徴です。また、患者さんの利便性を考え、2025年春に恵比寿駅前にクリニックを移転する予定です。移転後は、現在の明るさと落ち着きのある院内の雰囲気を残しながら、患者さんがさらに話をしやすい環境を整えたいと考えています。
- Qオンライン診療と対面診療の使い分け方は?
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A
受診方法は患者さんの希望に合わせて選べますが、オンライン診療は初診時やそれ以降の診療いずれにおいてもご利用いただけます。オンライン診療の利点は、自宅から気軽に医師に相談できることと、ほかの人に会うことなく受診できること、さらに自宅で処方薬を受け取れることです。ただし、オンライン診療で処方できる薬の種類は限られます。また、オンライン診療は症状が軽い方のみを対象としていますので、希望しても必ず受けられるとは限りません。画面越しの診察では、患者さんの状態を把握しきれないこともあります。一方、対面診療は、患者さんの様子を直接見られるため、オンラインよりも多くの情報をもとに治療方針を決められます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1インターネットで診察希望日を予約
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クリニックのホームページから診察の予約を入れる。同院では、初診もインターネットで予約を受けつけている。当日の予約も可能。オンライン診療を希望する場合、予約ページでいくつかの質問に回答する。症状の程度によっては、対面診療が勧められる。インターネット予約にはオンラインと対面を振り分ける目的もあり、適切な診療方法が案内される。
- 2問診表を記入
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対面診療の場合、受付後に問診表を記入する。症状や不調が現れた時期、既往歴、診断書が必要かどうかなど、いくつかの項目に回答。オンライン診療の場合、希望者は問診表の記入と併せてストレスチェックが受けられる。ストレスチェックとは、ストレスに関する質問に答えることで、職場での精神的負担や健康状態を可視化できるテストのこと。無自覚のストレスや精神面での不調に気づくきっかけになる。
- 3診察を受け、治療方針を決定
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問診表をもとに、診察を受ける。対面診療では、医師と1対1で話をする。付き添いがいる場合、患者が了承すれば一緒に診察室に入り、患者本人が気づいていない不調や変化などをヒアリングされる。同院では、対面、オンラインともに、診察時間は20分程度。診察とともに治療や通院の必要性について説明され、希望があれば医師に伝える。次回以降の診察をオンラインから対面、または対面からオンラインに変更することも可能。
- 4処方薬の受け取り
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対面診療の場合、処方箋薬局で薬を受け取る。オンライン診療の場合、薬は自宅へ配送される。同院では、薬物療法のほかに、カウンセリングにも対応。クリニック独自のオンラインプログラムも受けられる。瞑想やストレッチのプログラムによるセルフケアや、ストレスチェックによる健康状態の把握ができるという。治療とセルフケアを組み合わせて、不調改善をめざす。
- 5定期的に通院
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初診から2週間後に受診し、経過を診てもらう。症状が落ち着いてきたら、通院頻度は1ヵ月に1回程度に。医師による問診で、回復の兆しが見られるかどうかが判断される。通院方法は、オンラインと対面から選択が可能。同院では通院を強制せず、「会社を辞めたら元気になった」「環境を変えたら、眠れるようになった」など患者の自己判断を尊重。同院では症状が比較的軽い場合、数ヵ月での不調改善をめざすという。