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大阪医科薬科大学病院 萩森 伸一 先生

こちらの記事の監修医師
大阪医科薬科大学病院
萩森 伸一 先生

なんちょう難聴

概要

音や言葉が聞こえにくい状態を「難聴」といいます。難聴には、聴覚器官のどこに原因があるかで3つに大別できます。外耳、中耳に原因のある伝音(でんおん)難聴、内耳、蝸牛神経、脳に原因のある感音(かんおん)難聴、伝音難聴と感音難聴の2つが合併した混合(こんごう)性難聴です。難聴になると、人とのコミュニケーションがうまく取れず、社会的な孤立や自信喪失につながったり、危険を察知する能力が低下したり、認知症発症のリスクが高くなったりして、社会生活に大きな影響が出ます。治療によって完治がめざせる難聴と完治が見込めない難聴がありますが、どんな難聴も早めに診断を受け、対策を取ることが生活の質(QOL)向上の鍵となります。

原因

人間の聴覚器官は、音を集めて鼓膜まで伝える外耳、音を増幅する鼓膜や耳小骨からなる中耳、音の振動を電気信号に変える蝸牛を含む内耳、電気信号を脳に送る蝸牛神経、そして送られてきた電気信号から音や言葉を認知する脳という、合計5つの部位で成り立っています。外耳や中耳が原因の伝音難聴は、耳垢栓塞、外耳道炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、鼓膜穿孔、耳硬化症、外耳・中耳奇形(形の異常)などが原因で生じます。伝音難聴の原因になる疾患では中耳炎が最多です。内耳が原因の感音難聴には、突発性難聴、加齢性難聴、騒音性難聴、ヘッドホン難聴、メニエール病などがあります。突発性難聴やメニエール病は原因や発症機序がまだはっきりとは解明されていません。蝸牛神経や脳に起こる感音難聴として、聴神経腫瘍、脳腫瘍、脳梗塞、脳出血による難聴があります。乳幼児の難聴は中耳炎以外におたふく風邪による難聴(ムンプス難聴)、遺伝性の難聴、先天性のサイトメガロウイルス感染症、妊娠中の母親からの風疹感染、出産時の黄疸、仮死、早産、低酸素などさまざまな原因があります。

症状

難聴の共通する症状は、音や言葉が聞こえにくいことです。また耳鳴りを伴うことも多いです。例えば、突発性難聴はある日突然、耳がふさがった感じや難聴、耳鳴りで発症します。また加齢性難聴は、一般的には高い音から始まり、40歳代から少しずつ聴力が低下します。60歳ぐらいになると、聞こえにくい音域が増えていって、70歳を超えるとほとんどの音域で軽度から中等度の難聴となりますが、大きな左右差は見られません。耳鳴りがある場合には、両耳に同じような耳鳴りがすることが多いです。また、音は聞こえているのに会話の内容がわかりづらいなど、言葉の聞き取り能力も低下します。

検査・診断

難聴の検査に先立って、まず耳の中を観察し、外耳や鼓膜に異常がないかを調べます。難聴を調べるには、聴力検査といわれる純音聴力検査が一般的で、他に聴覚器官のどこに障害があるかを確認する検査がいくつかあります。純音聴力検査は、防音室内でヘッドホンを耳に当て、片耳ずつ7種類の高さの異なる音について、聞き取ることができる最も小さな音量をそれぞれ測定します。これによって得られる聴力を気導聴力といいます。また、耳の後ろの骨から内耳である蝸牛に直接、音を伝えて聞こえを調べます。これは骨導聴力といいます。この2つの聴力測定結果から、難聴の原因が伝音器官(外耳と中耳)にあるのか、感音器官(内耳、内耳神経、脳)にあるのか、あるいはその両方にあるのかがわかります。他にも、障害のある部位を調べる検査として自記オージオメトリー、SISI検査などがあります。語音聴力検査は純音ではなく、言葉の聞き取りを調べる検査です。また、赤ちゃんや子どもには、年齢や発育に合わせて音の出るおもちゃなどを用いた聴力検査、音を聞かせたときの脳波を調べる聴性脳幹反応(ABR)検査、先天性難聴を調べる遺伝子検査など多くの検査方法があります。

治療

難聴の原因となる疾患によって治療法は異なりますが、伝音難聴は治療による改善が期待でき、外耳道炎、中耳炎による難聴は多くの場合、薬物治療が行われます。慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、鼓膜穿孔、耳硬化症は手術によって聴力改善が期待できます。特に真珠腫性中耳炎は放置しておくと周囲の骨を壊し、顔面神経麻痺めまい、高度の難聴、髄膜炎などの重大な合併症を引き起こす疾患ですので、積極的に手術を行います。感音難聴は治りにくいことが多いのですが、突発性難聴メニエール病は薬物による治療で改善が期待できます。加齢性難聴は聴力の回復は難しいのですが、補聴器や人工内耳手術によって聞こえを補助することで、生活の質の改善が望めます。新生児に両耳に高度の難聴がある場合、早期から補聴器や人工内耳で音を聞かせることで、聞こえや言葉の能力を育んでいきます。

予防/治療後の注意

大きな音を聞き続けることは、騒音性難聴の原因になります。いったん起こった騒音性難聴は元に戻りません。ヘッドホンなどで音楽を楽しむ際には大きすぎない音量で聞くように、また騒音下で作業をする場合には耳栓を装着しましょう。子どもの難聴は放っておくと、言葉の発達や学習の遅れ、コミュニケーション能力などにも影響を及ぼします。新生児聴覚スクリーニングや1歳半・3歳児健診で異常を指摘された、音の聞こえや言葉の発達に不安がある、といった場合には、早めに耳鼻咽喉科を受診して原因を調べるようにしてください。また、高齢者が新規に補聴器を使おうと思ったとき、使っているけれど満足していないときは、耳鼻咽喉科を受診して適切に検査を受け、補聴器フィッティングの相談をしてみましょう。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会には、学会が認定する補聴器相談医制度があります。

大阪医科薬科大学病院 萩森 伸一 先生

こちらの記事の監修医師

大阪医科薬科大学病院

萩森 伸一 先生

1989年大阪医科大学卒業。2017年同大学耳鼻咽喉科専門教授に。専門は耳科学。中耳手術(真珠腫性中耳炎、慢性中耳炎)、側頭骨外科(顔面神経麻痺の診断と手術、人工内耳)、聴覚医学(突発性難聴、感音難聴、聴神経腫瘍)。日本専門医機構耳鼻咽喉科専門医、日本顔面神経学会理事、日本耳科学会理事、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会代議員。医学博士。