全国のドクター8,575人の想いを取材
クリニック・病院 161,528件の情報を掲載(2019年11月16日現在)

  1. TOP
  2. 症状から探す
  3. 微熱の原因と考えられる病気一覧
  4. 百日咳
  1. TOP
  2. 頭の病気一覧
  3. 百日咳
017

こちらの記事の監修医師
石原 淳 病院長

ひゃくにちぜき百日咳

概要

呼吸器への感染症で、短い咳が連続して出て、息を吸うタイミングで「ヒューヒュー」という音がする特有の咳発作が特徴。咳が治まるまで約100日間(3ヵ月程度)続くことから、百日咳と呼ばれる。原因菌は百日咳菌という細菌で、この菌が含まれた飛沫を感染者の咳やくしゃみによって吸い込んだり、細菌が付着した物に接触したりすることで感染する。もともとは百日咳の患者は子どもが多く、ワクチン接種が普及するのに伴ってその数は減ってきていた。しかし近年では、ワクチンの効果が弱まった青年や成人の患者が増加しており、問題視されている。生後6ヵ月未満の新生児や乳児が感染すると死亡率が高まるため、注意が必要。

原因

百日咳菌という細菌に感染することが原因で発症する。患者の咳やくしゃみを介して、人から人へ感染する飛沫感染でうつることが多い。また百日咳菌の感染力は強く、接触感染でもうつることがあるため、菌が付着した物に触れることでも感染する可能性がある。百日咳菌に感染した後、細菌が体内でどのように働いて発症を引き起こすのか、そのメカニズムについて詳しいことはまだわかっていない。ワクチンや百日咳の罹患によって免疫を獲得していても、数年後に抗体が低下した場合には再度感染するリスクがある。新生児の場合は、母体から免疫が引き継がれるわけではないため、出産直後から感染する危険にさらされる。ワクチン接種がまだ受けられない新生児や乳児は、百日咳にかかると重症化するケースが多く、死亡率も高い。大人の感染が増えている現状では、こうしたリスクの高い子どもに百日咳菌をうつさないように気をつけることも重要。

症状

感染から治癒まで、主に3つの期間で症状が変わっていく。5~10日程度の潜伏期間を経過した後、最初の「カタル期」では、風邪のような症状が1~2週間ほど続き、軽い咳や鼻水、くしゃみ、微熱などが見られる。徐々に咳の回数や程度がひどくなり、「痙咳期」(けいがいき)になると、短く何度も咳込んだり、勢い良く息を吸うために笛の音のようなヒューという音(笛音)が出たりと、特徴的な咳になる。また、顔のむくみなどが現れることも。このような咳発作が約2~6週間持続し、その後「回復期」になっても数週間の間は軽度の刺激で咳が出る状態が続く。乳児では典型的な咳は見られず、無呼吸から呼吸困難になったり、重篤な合併症を併発したりすることもある。また大人の場合も、ひどい咳発作はあまり起こらず、短い咳が続く状態が見られる。 

検査・診断

遺伝子検査として、LAMP法やPCR法を行う。鼻咽頭を綿棒で拭い、そこに含まれる病原体DNAを増幅して診断する方法で、抗菌薬の投与がまだ行われていない初期の段階では、精度が高く有効。また、血液中の百日咳菌に対する抗体の有無を調べるために血液検査も行う。採取した鼻咽頭の粘液から細菌を分離し培養する、培養検査を行うこともある。ただし、発症から時間がたっているケースや抗菌薬を使用している場合、成人の患者では、百日咳菌を検出することが難しくなる。この他、咳発作がひどい場合には、肺炎の合併や気胸、肋骨骨折の有無などを評価するため胸部エックス線検査などを行う場合も。

治療

エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬を一定期間服用する。特にカタル期ではこうした抗菌薬の効き目が高い。また、百日咳菌の排出が減ることで、周囲への感染の可能性を低くすることにもつながる。乳児には特にアジスロマイシンが選択されることもある。その他に、咳発作がひどい場合は、鎮咳去痰薬や気管支拡張薬を使用することも。

予防/治療後の注意

予防にはワクチン接種の効果が高い。現在では生後3ヵ月から4種混合ワクチン(百日咳、破傷風、ジフテリア、ポリオ)を接種することになっている。ただし、この効果は短くて4年程度、長くても12年程度であることから、心配な場合は、さらに学齢期の頃に3種混合ワクチンを任意で接種することもできる。妊婦や免疫不全のある人などは、マスクの装着や手洗い、消毒が予防に役立つ。成人が感染してもひどい発作が見られない場合が多く、発見が遅れることも少なくない。その間に周囲へ感染を広げることを防ぐためにも、長引く咳の症状が見られた場合は、医療機関を受診するようにしたい。

017

こちらの記事の監修医師

横浜市立市民病院

石原 淳 病院長

島根県出身。1979年慶應義塾大学医学部卒業。同大学病院や関連病院で小児循環器科の診療に携わり、1998年に市民病院に入職。 小児科部長、副病院長などを経て2013年より現職。研修医の指導や育成、看護師の教育に力を入れる。