全国のドクター8,717人の想いを取材
クリニック・病院 161,527件の情報を掲載(2019年12月06日現在)

  1. TOP
  2. 症状から探す
  3. 頭痛の原因と考えられる病気一覧
  4. ポリオ(急性灰白髄炎・小児まひ)
  1. TOP
  2. 頭の病気一覧
  3. ポリオ(急性灰白髄炎・小児まひ)
017

こちらの記事の監修医師
石原 淳 病院長

ぽりお(きゅうせいかいはくずいえん・しょうにまひ)ポリオ(急性灰白髄炎・小児まひ)

概要

ポリオウイルスに感染することで発症する感染症。非常に感染力が強く、神経を侵して永久的な筋力低下やまひを引き起こす、命に関わることのある病気である。発熱を伴う風邪のような症状が現れ、足や腰の痛みから突然手足のまひが生じる。発症するとまひを回復させるための確実な治療法はなく、生涯にわたって運動障害が残ることが多い。日本をはじめ多くの国では、ワクチンの接種が普及したことにより患者は激減し、国内では1981年以降、ポリオの患者は認められていない。そのため現在の感染率は低いが、乳幼児は免疫力がないため特に注意が必要で、海外の特定地域への渡航前には成人も予防接種が推奨されている。

原因

病原体はポリオウイルス。ほかの多くのウイルス性胃腸炎と同じように、便の中に排出されたウイルスが、手や食物を介して口から入ることで感染し、人から人への接触感染もする。発病して早いうちは、喉の粘液から飛沫感染することもある。体内に侵入したウイルスは、喉や小腸の粘膜で増殖し、リンパ管や血液を介して広がる。その後、脊髄など中枢神経系へ達し、運動神経をつかさどる脳の器官に感染し、これらが破壊されると筋力低下やまひなどの症状が現れる。とはいえ、感染しても無症状の場合もあり、自覚のないままに感染を広げる可能性がある。感染して数週間は、ウイルスは体内にとどまり便の中に出続ける。ワクチンの普及前は小児に多く発症したが、免疫抗体がなければ成人でも感染するため、免疫を持つ人が減ると再度流行する危険性がある。動物による媒介はなく、人間以外には感染しない。

症状

感染しても多くの場合は発症しないが、感染者のおよそ5%に発熱、頭痛、喉の痛み、吐き気、嘔吐といった風邪のような症状が現れる。この段階では、症状のみから風邪と鑑別することは困難。約1~2%が前述の症状に引き続き、無菌性髄膜炎を発症する。そして感染者の0.1~2%はウイルスが脊髄に感染して重症になり、手足に弛緩性まひ(末梢神経の障害により、力がまったく入らない状態)が現れるという典型的な症状が出る。まひの部分には痛みが生じ、後遺症として一生残ることも。また呼吸困難で亡くなるケースもある。死亡率は小児で約4%。

検査・診断

ウイルスが体内にいるか確認するため、血液検査やウイルス分離という便の中のウイルスの有無を確認する検査を行い、診断を行っていく。便の採取は、まひが認められてからはできる限り早い時期に行わなければならず、1日以上の間隔を空けて少なくとも2回は実施する必要がある。約2週間はウイルスの分離が可能。また、咽頭分泌液、髄液などウイルスに感染している危険性がある組織を採取し、調べる検査もある。いずれもウイルスが検出された場合には、医療機関は速やかに届け出を行わなければならず、ワクチン由来か否かの鑑別なども必要になる。

治療

治療法はまだ確立されていない。そのため、呼吸障害に対して人工呼吸器を用いる、弛緩性まひに対してリハビリテーションを行うなど、症状を和らげる対症療法を実施していく。国内の医療現場ではワクチン接種によりポリオウイルスへの感染を未然に防ぐことが主となっている。ワクチンには「経口生ワクチン」(毒性を弱めた生きたポリオウイルスをワクチンとして口から摂取する方法)と「不活化ワクチン」(ポリオウイルスを殺した状態のものをワクチンとして使用)の2種類があり、不活化ポリオワクチンは、初回接種3回、追加接種1回、合計4回の接種が必要。日本では4種混合ワクチンとポリオ単独の注射ワクチンがあるが、現在は4種混合ワクチンが主流。決められた接種回数を受ければポリオを予防できる確率は90%以上とされ、予防接種の効果は非常に高い。

予防/治療後の注意

ポリオワクチンを接種した後の子どもの便には、ウイルスが長期にわたって排出される。ごくまれにではあるが、子どもの便からの感染が認められることがあるため、おむつを扱った後などには手を洗ったり消毒したりすることが重要。それによって他人への感染も防ぐことができる。また数年に1件程度と極めてまれなケースで、ワクチン接種後にポリオに似た症状が現れることがあるため、子どもに異変を感じたらすぐに医療機関を受診すること。

017

こちらの記事の監修医師

横浜市立市民病院

石原 淳 病院長

島根県出身。1979年慶應義塾大学医学部卒業。同大学病院や関連病院で小児循環器科の診療に携わり、1998年に市民病院に入職。 小児科部長、副病院長などを経て2013年より現職。研修医の指導や育成、看護師の教育に力を入れる。