こちらの記事の監修医師
東邦大学医療センター 大森病院
瓜田 純久 病院長
かぜ風邪
最終更新日:2021/12/27
概要
風邪症候群は鼻腔から咽頭、喉頭までの気道である上気道に急性の炎症が起こる疾患を総称して呼ぶ。炎症がその下の中気道にあたる気管や気管支、さらにその先の肺にまで広がる場合もある。男女や老若を問わず、あらゆる年齢層が発症し、健康な人の大半が罹患するごくごく一般的な疾患。自覚症状としてはくしゃみや鼻水や鼻づまりなどの鼻症状や、喉の痛みなどの咽頭症状が多い。咳やたんなどの症状や、発熱や頭痛、全身の倦怠感を感じる患者もいる。空気中に浮遊しているウイルスなどの病原体が気道内に入って、気道の粘膜に付着し、侵入したり増殖することが原因となる。病原体が侵入しても、実際に風邪症候群を発症するかどうかは環境や感染した人の免疫力などの要因によって左右される。予後は良好。
原因
風邪症候群の原因となる病原体は80~90%がウイルスと言われている。主なウイルスとして、ライノウイルス、コロナウイルスが多く挙げられ、続いてRSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスが続く。アデノウイルスやパラインフルエンザウイルスは比較的、子どもが感染することが多いと言われている。ウイルス以外では一般細菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラなどの特殊な細菌が原因となる場合もある。空気中に浮遊しているこれらの原因となる病原体が、気道内に入って気道の粘膜に付着して侵入・増殖し、鼻・咽頭・喉頭といった上気道に急性炎症が起こり、さまざまな疾患を引き起こすことが風邪症候群のメカニズムである。患者のくしゃみなどで飛び散った飛沫から感染することもあるが、気道内にウイルスが侵入しても風邪症候群を発症するかどうかは、患者が置かれた環境や患者自身の免疫力などの要因によって変わる。
症状
自覚症状として鼻水や鼻づまりなどの鼻症状、喉の痛みなどの咽頭症状が挙げられる。その他に患者によっては発熱や頭痛、全身の倦怠感を訴える場合もある。気道の炎症が上気道だけに留まらず、気管や気管支などのその先の気道まで広がると咳やたんなどの症状も出てくる。くしゃみや鼻水、咳やたんなどの症状は人体にとって異物である病原体を身体から追い出すための生体反応の1つで、上気道の炎症も侵入しようとしてくる病原体に対抗する身体の免疫反応の1つである。風邪症候群は年代、男女の関係なくあらゆる人が発症し、健康な人の大半が発症するごく一般的な疾患といえる。
検査・診断
風邪症候群は問診と診察の情報から診断することが一般的であり、インフルエンザの流行期には迅速抗原検査で鑑別する。ただ、一般的には原因となる病原体の特定は困難な場合が多く、他の疾患を鑑別するために、血液検査や咽頭培養を行うことがある。
治療
風邪症候群の原因となる病原体は80~90%がライノウイルスやコロナウイルスなどのウイルスと言われており、安静に過ごして、十分な水分と栄養を取ることで自然に治癒することをめざす。その場合には鼻水を減らす薬や、解熱剤、のどの痛みを和らげる薬を処方するなど、個々の症状に対処する対処療法が行われる。ただ、扁桃などに細菌に感染したと思われる症状がある場合や、肺炎マイコプラズマなど細菌が風邪症候群の原因だと思われる場合には、患者の症状に合わせた抗菌薬を処方して対応する。
予防/治療後の注意
日常生活において予防に取り組むことが大切。外出時にはマスクをして、病原体の感染を予防し、外から帰ってきたときにはせっけんを使って手を洗い、ウイルスや細菌を洗い流し清潔なタオルや紙で拭いて乾かし、うがいをして口や喉についた病原体を洗浄する。自分に対する感染予防だけではなく、周りの人への感染を防止するために、咳やくしゃみをするときにはティッシュやハンカチなどで口や鼻を覆ったり、上着の内側や袖で覆うなど咳エチケットの実践が推奨されている。家族内でのタオルの共有を避けたりする工夫が望ましい。
こちらの記事の監修医師
瓜田 純久 病院長
1985年、東邦大学医学部卒業。関東労災病院消化器科を経て、地元青森県で瓜田医院を開業。東邦大学医療センター大森病院総合診療・救急医学講座教授、院長補佐、副院長などを経て2018年より現職。専攻は内科学、総合診療医学、機能性消化器疾患、内視鏡医学、超音波医学、栄養代謝など。
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