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こちらの記事の監修医師
聖マリアンナ医科大学東横病院
宮島 伸宜 病院長

だいちょうけいしつえん大腸憩室炎

概要

大腸憩室とは、腸管の外側に向かって風船のように飛び出した大腸の壁の一部分のことをいう。先天性の場合もあるが、ほとんどの症例が後天性であるといわれ、大腸の壁の強さと腸管内の圧力のバランスが崩れることでできると考えられている。大腸憩室炎は、この大腸憩室で炎症が起きている状態をいう。通常、大腸憩室があるだけでは特に症状は出ないが、細菌感染などが原因で炎症を起こすことがある。ちなみに日本人の場合、大腸の中でも右側の結腸にできることが多く、年齢が上がるにつれて左側の結腸にも発生する確率が高くなるといわれている。

原因

大腸憩室の中で細菌が繁殖して、炎症を引き起こすことが原因。便が入り込んだりすることがきっかけとなる。大腸憩室そのものができる要因としては、食生活や加齢による大腸の衰え、体質、人種、遺伝などがあると考えられており、これらが互いに影響し合ってできるといわれている。特に食生活は憩室の発生に大きく関係しているとされ、食物繊維が少なく肉が多い食事はリスクになるという指摘がある。食物繊維の摂取量が少ないと便秘になりやすくなり、便を出す時に力を込めてふんばるようになるので、大腸内の圧力が高まり、腸管の壁の弱い部分が押し出されてしまい憩室ができるといわれている。アメリカでは、60歳以下の50%、80歳以上ではほぼ全員に大腸憩室が見られるともいわれており、近年は日本においても食生活の欧米化に伴って、患者数が増えている。

症状

下腹部の痛みや下痢、便秘が特徴で、軽い発熱も見られる。右側の下腹部が痛む場合は虫垂炎(いわゆる盲腸)と間違えやすいため、注意が必要。悪化すると大腸憩室が破裂し、小腸や子宮、膀胱など他の臓器との間が穴でつながってしまうことがある。特に大腸と膀胱の間に穴ができるケースが多く、腸内の細菌が膀胱にも入り込むことで尿路感染症を引き起こす。また、大腸憩室の動脈が破れて大量出血が起こることもある。さらに、おなかの内側を覆っている腹膜に炎症を起こすこともあり(腹膜炎)、治療せずに放置すると大腸内の細菌が血液に乗って全身に回り、敗血症という命に関わる重大な症状につながる。

検査・診断

血液検査で体の炎症反応やその程度を確認し、CT検査や超音波(エコー)検査で大腸のどの辺りで炎症が起きているかや、虫垂炎ではないことを確かめることで診断できる。大腸憩室そのものの存在を調べるには内視鏡検査や造影検査(いわゆるバリウム検査)を行う。もともと大腸憩室があることがわかっている場合には必要ないが、出血を起こしていて、なおかつその量が多いときは、出血している場所を特定するために内視鏡検査を行うこともある。ただし、炎症が強い時に行うと腸管に穴が開いてしまったりと悪化するリスクがあるため、炎症が治まるのを待ってから実施する。

治療

炎症の程度が比較的軽ければ、ほとんどの場合、安静と抗菌薬の使用、絶食などの食事管理によって改善が見込める。一方、薬による治療効果が見られない場合や、重症化して腸管に穴があいているケースなどは、外科的な治療が必要。具体的な方法は、腸管の破れている部分を手術で取り除き、周囲の正常な部分とつなぎ合わせる。ただし、炎症がひどい場合など状態によってはすぐにつなぎ合わせられないこともあり、そうしたケースでは一時的に人工肛門をつくり、症状が落ち着いてから再度、腸管をつなぐ手術を行う。また大腸憩室の周りに膿がたまっている場合は皮膚からチューブを入れて膿を取り出すほか、出血に対しては、内視鏡やカテーテルを使って止血を試みる。さらに大腸憩室と他の臓器が穴でつながっていて、膀胱や子宮といった周囲にある他の臓器にも影響が及んでいる場合は、その治療も行われる。

予防/治療後の注意

根本的には、大腸憩室ができないように心がけることが重要。年齢的な要因でできることもあるが、食物繊維が少なく動物性のタンパク質や脂肪が多い食事はリスクを高めるといわれているので、食物繊維を多く含む食べ物を積極的に取り、できるだけ便秘になりにくい体質をめざすことが予防につながる。また治療後の再発予防にもなる。さらに、大腸がん検診で大腸憩室が見つかるケースもあり、定期的に受けて早期発見につなげれば、リスクに備えることができる。

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こちらの記事の監修医師

聖マリアンナ医科大学東横病院

宮島 伸宜 病院長

慶應義塾大学医学部卒業。同大学病院をはじめ都内の総合病院などで経験を積み、2007年聖マリアンナ医科大学東横病院消化器外科。2014年より現職。専門は消化器外科、一般外科、下部消化管(大腸肛門)疾患、腹腔鏡下手術で、日本外科学会外科専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医の資格を持つ。