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こちらの記事の監修医師
中村 敬 院長

じりつしんけいしっちょうしょう自律神経失調症

概要

循環器や消化器、呼吸器などの活動を調整するため、自分の意思とは無関係に24時間働き続けているのが自律神経である。自動的に反応する神経のため、呼吸・血液循環・体温調節・消化・排泄・生殖・免疫などの機能を無意識に調整しており、生命維持には欠かせない。自律神経の緊張が亢進すると、体のだるさ・便秘や下痢・頭痛・ほてり・動悸・しびれなどの症状が出現する。「自立神経失調症」は特定の疾患名ではなく、体の活動時や昼間に活発になる交感神経と、安静時や夜に活発になる副交感神経の2つのバランスが崩れた状態を意味する慣用表現である。原因としては不規則な生活や過度のストレスを誘因に一過性に出現する場合、何らかの身体疾患に随伴する場合、うつ病や不安症の症状の一部として出現する場合などがある。

原因

自律神経のバランスが崩れる誘因には、人間関係や仕事のプレッシャーなどの精神的ストレスや過労、さらには光や音、温度などの身体的ストレスが挙げられる。また慢性的な寝不足など、不規則な生活や偏った食事などが生体リズムを狂わせてしまい、自律神経の乱れにつながる。更年期障害では女性ホルモンの分泌が減少するため、自律神経の乱れにつながり、ほてりや頭痛、めまいなどの不調が現れることも。また多系統萎縮症の一種であるシャイ・ドレ-ガ-症候群、パーキンソン病、レビー小体型認知症など身体疾患に伴う自律神経症状や、うつ病や不安症などの症状の一部として出現する自律神経症状もあるため、鑑別診断が重要になる。

症状

自律神経は全身の器官をコントロールしているため、そのバランスが崩れてしまうとさまざまな症状が現れる。疲れやすい、めまい、ふらつき、のぼせ、冷え、頭痛、耳鳴り、動悸、関節の痛み、便秘、下痢、生理不順、口や喉の不快感、頻尿、残尿感、発汗、肩凝りなど症状には個人差が大きい。複数の症状が別々に現れることもあれば、同時に3つ、4つの症状が重なることもある。自律神経のアンバランスに随伴しやすい精神症状としては、イライラや不安、不眠、記憶力や集中力の低下、感情の起伏が激しくなるといったものがある。

検査・診断

自律神経症状の原因となる身体疾患が存在しないかどうかを鑑別することが重要であり、自律神経症状の他に錐体外路症状などの運動系症状がないか、抑うつ気分、意欲低下、全般性不安などの精神症状が共存していないか、注意深く診察する必要がある。自律神経機能検査を実施することもある。基盤に明確な病変がないにもかかわらず自律神経症状が持続し、患者がそれにとらわれて受診を繰り返すようなケースでは、「身体表現性自律神経機能不全」という診断名が該当する。

治療

基盤になる身体疾患があれば、それに応じた治療を行う。心身のストレスに起因する自律神経の乱れには、可能な限り環境の調整を行う。十分な睡眠を取って休息を図ること、生活リズムを整えること、過度の飲酒やカフェインの過量摂取などの習慣を改めることも重要である。対症療法として自律神経調整薬や抗不安薬、睡眠薬などが用いられるが、依存性の問題のためベンゾジアゼピン系抗不安薬の長期使用は推奨されない。背景にうつ病や不安症がある時は、SSRIなどの抗うつ薬も使用される。また自律神経症状へのこだわり、とらわれが強い症例には、森田療法や認知行動療法などの精神療法(心理療法)も適用される。

予防/治療後の注意

予防のためには、心理社会的ストレスを一人で抱え込まず、周囲の人に相談するなど適切な対処法を身につけることが大切。また、心身をリラックスさせる方法を見つけることも予防につながる。十分な睡眠、バランスの良い食事を心がけ、生活リズムを整えて、適度な休養や運動をすること。自律神経の変動に過敏でとらわれやすい人には、無理に体調をコントロールしようとせず、自然な調節作用に委ねることを促す森田療法が参考になる。

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こちらの記事の監修医師

東京慈恵会医科大学附属第三病院

中村 敬 院長

人間心理に関心を持ち、大学は哲学科へ進んだが、より実践的な学問を求めて東京慈恵会医科大学へ入学。1982年に卒業し、同精神医学講座へ入局。同大学院修了。 現在は第三病院院長兼同精神神経科診療医長と、東京慈恵会医科大学精神神経科教授を務めている。