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独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 副院長/認知症疾患医療センター長 松下 幸生 先生

こちらの記事の監修医師
独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター
副院長/認知症疾患医療センター長 松下 幸生 先生

れびーしょうたいがたにんちしょう レビー小体型認知症

概要

初老期から老年期に発症する認知症の一つで、変性性の認知症の中ではアルツハイマー型認知症に次いで患者数が多く、約10~30%を占めるといわれています。患者は主に65歳以上の高齢者で、比較的男性に多いのが特徴です。レビー小体型認知症の人は、中枢神経系の一部や自律神経系にレビー小体という異常な物質が多く現れ、物忘れなどの認知機能障害、幻視、手足の震えといったパーキンソン症状などさまざまな症状が出ます。現時点では根本的な治療法はなく、早い段階で発見し、対症的に投薬治療や理学療法を行うことで生活水準の維持を図ります。

原因

特異なタンパク質が神経細胞にたまりレビー小体ができることが原因となって、運動機能が障害されたり、認知機能が変動したりします。そもそもレビー小体がたまる現象は、パーキンソン病の特徴として認知されてきました。レビー小体が脳の脳幹部分にたまると手足の震え、歩行の困難などのパーキンソン症状が出るとされており、これがもっと広く大脳皮質にも出現すると、理解力の低下、物忘れなどの認知症の症状が表れてレビー小体型認知症と診断されます。長い間パーキンソン病で闘病してきた人が、レビー小体型認知症になる例もよく報告されています。また脳の神経細胞が減っていき、情報を処理する後頭葉の機能が低下することによって幻視が出ると考えられています。

症状

主な症状の一つに認知機能障害があります。アルツハイマー型認知症では重度の物忘れが見られるのに対して、レビー小体型認知症では物忘れは軽度であり、認知機能が良くなったり悪くなったりするなど、症状が変動するのが特徴です。また、見えないはずの人や動物がはっきりと見える「幻視」、聞こえないはずの音が聞こえる「幻聴」などの幻覚症状が表れることがあります。またパーキンソン病と同じく手足の震え、筋肉の硬直、動作が遅くなるなどの症状も表れ、転倒しやすくなったり、進行すると嚥下障害が見られたりもします。他には悪夢を見て暴れるなどのレム睡眠行動異常症、便秘、頻尿や尿失禁、立ちくらみ、失神などの自律神経症状、うつなどの精神症状が見られることもあります。

検査・診断

進行性の認知機能障害があること、認知機能が変動すること、幻覚症状が見られること、パーキンソン病の症状があることなどを基準に診断をつけていきます。認知機能を評価する際にはスクリーニング検査が行われます。アルツハイマー型認知症では記憶障害が目立つ一方、レビー小体型認知症では構成障害、視覚認知障害、注意障害などが認められます。また風景画像の中に人の顔などの錯視が見えるかどうかを検査する、パレイドリアテストが行われることも。それに加えて脳のMRI検査や、脳の血流を診るSPECT検査、MIBG心筋シンチグラフィ、脳波検査、血液検査なども行い、総合的に判断します。

治療

レビー小体そのものを治す根本的な治療法はなく、対症的な投薬治療や理学療法が主です。認知機能や幻覚などの症状に対しては、アルツハイマー型認知症にも用いられる脳のアセチルコリンを増加させる薬剤を使用します。パーキンソン症状に対しては、パーキンソン病の治療に使われるレボドパなどを使い、幻覚などの精神症状を悪化させる薬は避けます。また動作や体のバランスを維持するための理学療法を取り入れ、転倒などの事故を予防することも大切です。そのほか、各症状への影響を注視しながら睡眠障害、便秘、立ちくらみなどを改善する投薬治療も行っていきます。

予防/治療後の注意

同じ認知症でも、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症では症状に違いがあり、正しい対応や治療・介護の方法も変わってきます。レビー小体型認知症は、理解力などの認知機能がはっきりしているときとぼんやりしているときの差が大きい、幻視が見られるなどの特徴があり、それらが気になったら家族が早めに医療機関を受診させるなどして、適切な医療につなげることが大切です。

独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 副院長/認知症疾患医療センター長 松下 幸生 先生

こちらの記事の監修医師

独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター

副院長/認知症疾患医療センター長 松下 幸生 先生

1987年慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部精神神経学教室に入局。1988年国立療養所久里浜病院(現・国立病院機構久里浜医療センター)勤務。1993年米国国立衛生研究所(NIH)などでの勤務を経て、2011年より現職。専門は、認知症、アルコール依存症、ギャンブル障害。