心と体の不調に栄養面からアプローチ
血液検査を用いた食事指導
増田内科整形外科医院
(福岡市東区/西鉄香椎駅)
最終更新日:2023/06/27


- 保険診療
地域のかかりつけ医として、風邪などの一般内科から、高血圧症や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病、うつ病や適応障害などのストレス関連疾患まで、内科全般の幅広い診療を行う「増田内科整形外科医院」。院長の増田由紀子先生は、心と体は一つとして捉え、漢方診療を取り入れた医療を実践している。心の病気だと考えていたら体の病気であったり、またその逆だったりすることがあるので、先入観を持たずに診察することを重視しているという。心身の不調を改善へと導くため、基本である栄養面から健康的な食生活を指導。血液検査も活用して診療を行っている。増田院長に、血液検査を踏まえた食事指導について解説してもらった。
(取材日2023年4月19日)
目次
栄養バランスのとれた食生活は、体だけでなく心の健康づくりにも欠かせない要素
- Q内科出身の院長が心の病を診ることのメリットとは?
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A
▲漢方治療と食事指導で改善を図っていく
心療内科は、ストレスなどの心理的要因から引き起こされる体の不調を専門としています。ストレスの多い現代社会において、うつ病やパニック障害などは、いつ誰がなってもおかしくない病気です。このような症状は、抗うつ薬などのいわゆる西洋薬だけの治療では根本的な解決につながらないケースも少なくありません。最近では、偏った食生活が心や体の不調に関わっていることが明らかになってきています。また、自律神経失調症や更年期障害などは、漢方薬が得意とする分野です。当院では、内科で経験してきた知見を生かし、必要に応じて食事指導や漢方治療を取り入れながら、心と体の両面にアプローチする全人的な診療を行っています。
- Q心と体の病気の関係性について教えてください。
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A
▲心療内科を含め内科領域全般を幅広く診てもらえることも魅力
漢方医学には、心と体は一つであるという「心身一如」の考え方があります。人間の心と体は密接に関係しており、だるさやめまいといった体の症状が心の不調から来ていることも珍しくありません。その逆も然りです。うつ症状と思われても、実は貧血や甲状腺疾患、胃腸の疾患による症状だったというケースもあります。体の症状だけに着目して検査をしても異常が認められず、原因のわからない不定愁訴とされてしまうことも実は多いものです。私自身、こうした症状に悩まされてきたので、受診される方のつらい気持ちや不安がよくわかります。診療科目の枠にとらわれず、患者さんの生活習慣や家族背景も含めて総合的に診療を行うことを心がけています。
- Q血液検査でどのようなことがわかるのでしょうか?
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A
▲会社帰りに立ち寄る人も多い
栄養不足は、さまざまな不調を引き起こし、病気のリスクを高めます。ご自身の栄養状態を確認するのに用いられるのが、血液検査です。血液検査は、採血をして体の異常の有無を調べる検査ですが、見方を変えることで栄養不足もわかります。例えば、肝機能を調べるための代表的な検査項目であるASTとALTの数値バランスを見れば、ビタミンB群が不足しているかもしれないと予測可能です。また、血液中の鉄やビタミンB群が不足していると「幸せホルモン」と呼ばれるドーパミンやセロトニンの分泌が少なくなり、うつ症状につながるといわれています。健康診断の結果をお持ちいただければ、栄養面でのアドバイスもできますのでご相談ください。
- Qこちらで行う食事指導について教えてください。
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A
▲食事指導で生活習慣の改善にアプローチ
現代は飽食の時代といわれていますが、ビタミンやミネラルといった本当に必要な栄養は不足しがちです。血液検査の結果、今の食生活で不足していると思われる栄養素を確認し、それを補えるような食事のアドバイスをしています。毎日の食事から必要な栄養をしっかり補えれば「なんとなく不調」の改善につながるでしょう。栄養不足は日々の食事で解決するのが理想ですが、食事だけで補うのが難しい場合は、サプリメントという選択肢もあります。生活習慣病の代表格である糖尿病は、血糖値をコントロールするための食事改善が不可欠です。食べ物だけでなく、食べる順番やスピードを変えることで、急激な血糖値の上昇を緩やかにすることを図ります。
- Q日常生活ではどんなことに注意したらいいでしょう?
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A
▲小さな不安も気軽に相談してほしいと語る院長
栄養バランスの整った食事を取り、しっかり休養することが基本です。人間関係や仕事のストレスによる心身の不調を抱えている方は、現在の環境を見直して、ストレスの原因となっている状況を変えることができないか検討する必要があります。ストレスとうまく付き合うために、物事の受け止め方や考え方の癖を変えることも重要です。自分が無意識に行っている思考・行動パターンに気づくのは難しいことですが、お話を十分に聞いた上で、より良い方法を一緒に考えていきます。また、心臓・脳血管疾患の発症は、遺伝的要因が大きく関わっています。親兄弟に病歴がある場合、発症リスクを知り、早期発見など健康管理に努めることが大切です。