相良 郁子 先生の独自取材記事
ウェルスリープクリニック東京
(千代田区/東京駅)
最終更新日:2026/08/12
東京駅から徒歩3分の場所にある「ウェルスリープクリニック東京」は、オンライン診療と対面診療の両方に対応するクリニック。新型コロナウイルス感染症流行前からオンライン診療に注力してきたノウハウを生かし、CPAP療法患者向けのオンライン診療も開始した。主に睡眠時無呼吸症候群(SAS)とそれに関わる生活習慣病の管理、花粉症などのアレルギー性鼻炎の治療を提供。特にSASと関係が深い生活習慣病については、12年間にわたり大学病院などで診療に携わってきた相良郁子先生を中心に専門性の高い診療を実践している。オンライン診療を活用する理由や生活習慣病を管理する重要性など、話を聞いた。
(取材日2026年7月10日)
関係が深い睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病を同時ケア
先生のご経歴を聞かせてください。

約12年間にわたり、長崎大学病院第一内科の内分泌代謝班で生活習慣病、糖尿病、内分泌疾患、甲状腺疾患を中心とした内科疾患を診療してきました。2020年に、当院の前身である「つなぐクリニック」で勤務を開始しました。私の強みは、当院が注力する睡眠時無呼吸症候群と、長年診療してきた生活習慣病を同時に診られることだと思っています。睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病は密接に関係していますので、まとめてケアすることには多くのメリットがあります。加えて、アレルギー疾患やダイエットのご相談も対応可能です。「複数のクリニックにかかっていたら、知らず知らずのうちに薬の量が増えてしまった」という事態も避けられます。
睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病は密接に関係しているのですか?
睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病は密接に関連しています。例えば、生活習慣病のある患者さんが減量に取り組んだ結果、睡眠中の無呼吸が改善し、無呼吸低呼吸指数(AHI)の低下や血圧改善につながったケースもあります。その背景には、内臓脂肪と舌の脂肪量の関係があります。内臓脂肪が増加すると舌にも脂肪が蓄積しやすくなり、睡眠中に気道が狭くなることで、無呼吸やいびきを引き起こしやすくなります。一方、減量によって内臓脂肪と舌の脂肪が減少すると、気道が確保されやすくなり、症状の改善が期待できます。また、睡眠の質が向上すると、食欲を増進するホルモン「グレリン」が低下し、食欲を抑える「レプチン」が正常に働きやすくなるため、過食予防や体重管理にも好影響をもたらします。私は内分泌・代謝疾患の診療に長年携わった経験を生かし、ホルモンバランスや代謝の状態も踏まえながら、SASと生活習慣病を総合的に診療します。
PHR(パーソナルヘルスレコード)管理アプリは、生活習慣病の診療にどのように活用していますか?

生活習慣病の治療では薬物療法に加え、食事や運動などの生活習慣の改善が欠かせません。そのため当院では5年以上前からPHR管理アプリを導入し、血圧や体重、血糖値、食事内容、運動量などを患者さんに記録していただいています。診察時だけでは把握しにくい普段の生活習慣を確認できるため、一人ひとりに合わせたアドバイスが可能になります。また、当院の管理栄養士が記録された食事内容を分析し、栄養バランスについて具体的なアドバイスを実施しています。さらに、AI機能を活用して食事写真から栄養バランスを分析できるため、患者さんご自身も食生活を客観的に振り返ることができます。このように「診察室だけでなく日常生活まで継続的にサポートできることが」、PHR管理アプリを活用する大きなメリットです。
精度の高い診療と利便性の双方を追求
診療の際に心がけていることは?

生活習慣病の治療は、継続することが大切です。そのため、当院では、一人ひとりのライフスタイルや価値観に合わせた治療を心がけています。PHR管理アプリも、使ってみたいという方には積極的にご案内しますが、無理にお勧めすることはありません。患者さんの生活に寄り添い、一緒に歩んでいく姿勢を大切にしています。私は人と話すことや食に関心があるので、患者さんの食事記録を見ながら会話をすることも多いです。患者さんから「先生と話すのが楽しみで来ています」と言っていただけることもあり、とてもうれしく感じています。さらに、仕事や家事などで忙しい方にも治療を続けていただけるよう、オンライン診療も取り入れています。対面診療で精度の高い診療を行いながら、デジタルツールやオンライン診療を活用して通院の負担を軽減つつ継続しやすい治療環境づくりに努めています。
オンライン診療はどのような患者さんに利用していただきたいですか?
仕事が忙しく通院の時間を確保しにくい方や、転勤などで遠方にお住まいの方を中心に、オンライン診療の対象となる患者さんにご活用いただいています。生活習慣病では治療継続が重要なため、通院負担を軽減しながら無理なく治療を続けやすい環境づくりを心がけています。また、通院回数を減らすことで、感染症リスクの軽減も期待できます。オンライン診療では、患者さんが過ごす環境や生活背景を把握しやすく、一人ひとりの生活スタイルに合わせた、無理のない生活改善をご提案が可能です。一方で、生活習慣病の管理には血液検査なども欠かせません。そのため、病状に応じて定期的にご来院いただき、必要な検査を受けていただいています。来院が難しい場合は、健康診断や他院で受けた検査結果をオンラインで共有していただき、それらも参考にしながら継続的な診療を行っています。
オンライン診療に抵抗がある人もいるのではないでしょうか?

オンライン診療は対面診療より簡易的と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、当院では対面と同様に丁寧な診療を心がけています。私たちがめざしているのは、利便性と質の高い医療の両立です。そのため、オンライン診療だけで完結させるのではなく、対面診療と組み合わせた「ハイブリッド診療」を基本としています。まず対面で信頼関係を築き、その後患者さんの状況に応じてオンライン診療を活用します。また、必要に応じて対面診療や検査を行い、安全性にも十分配慮しています。オンライン診療では相談しづらさを感じさせないよう、診療の最後に気になることがないか必ずお声がけするようにしています。オンライン診療を通院の負担を減らしながら、質の高い医療を継続するための選択肢の一つとして活用していただければと思っています。
患者の生活や人生を尊重する「伴走型」の診療
先生が医師になったきっかけを聞かせてください。

私が医師を志したきっかけは、父の存在です。父も医師でしたが、病気と向き合いながらも患者さんのために診療を続けており、その姿に憧れを抱きました。医師になってからは、糖尿病をはじめとする生活習慣病や内分泌疾患に関心を持ち、この分野で研鑽を積んできました。生活習慣病はお薬だけで改善するものではなく、食事や運動、仕事や家庭環境など日々の生活そのものが治療に深く関わります。だからこそ、病気だけを見るのではなく、患者さん一人ひとりの生活や人生に寄り添いながら、一緒に治療を続けていくことに大きなやりがいを感じています。
クリニックの雰囲気について教えてください。
当院は、患者さんのためにより良いものを積極的に取り入れる柔軟な姿勢を大切にしています。特に、アプリの利用方法やオンライン診療の設定など、デジタルツールに不慣れな患者さんへのサポートはスタッフが丁寧に行っており、とても頼もしく感じています。5年前にアプリを導入した際も、スタッフの協力によってスムーズな運用が実現しました。また、オンライン診療を活用する一方で、対面でのコミュニケーションも大切にしています。実際に、「先生やスタッフに会いたいから来院したい」と言ってくださる患者さんもおり、非常にうれしく感じています。今後も患者さん一人ひとりの希望や生活スタイルに合わせながら、安心して通院いただける診療環境づくりに努めていきたいと考えています。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

理想は1日3食、栄養バランスの取れた食事を続けることですが、仕事や家庭の事情で難しい方も少なくありません。当院では、一人ひとりの生活背景に合わせ、無理なく続けられる健康管理を一緒に考えることを大切にしています。2026年6月からは、生活習慣病とSASを同時に診療する外来を開始しました。両疾患を総合的に診ることで、治療を効率的に進めながら成果を実感しやすくなると考えています。今後も丁寧な診療と利便性を両立し、患者さん一人ひとりに寄り添った医療を提供してまいります。

