動脈硬化、突然死にもつながる睡眠時無呼吸症候群
放置せず受診を
Dクリニック東京ウェルネス
(千代田区/東京駅)
最終更新日:2024/07/02


- 保険診療
「日本人は睡眠不足」という指摘もあり、昨今では大切な生活習慣の一つとして睡眠を見直す流れもある。睡眠の質を高めるためにできることを模索している人も多いだろう。そんななか、 東京駅近くの「医療法人社団ウェルエイジング Dクリニック東京ウェルネス」で睡眠時無呼吸症候群の診療にあたる井坂奈央先生は「質の高い睡眠には安定した呼吸が不可欠。それにも関わらず、睡眠時無呼吸症候群の兆候を見過ごしている方が多いことを懸念しています」と話す。大学病院や専門医療機関で睡眠障害の診療に長く携わってきた井坂先生に、睡眠時無呼吸症候群の放置リスクや合併症リスクについてだけでなく、やめたいと思う人も少なくないCPAPの継続のため実践している同院での取り組みなどについて、詳しく話を聞いた。
(取材日2023年8月24日)
目次
突然死にもつながる睡眠時無呼吸症候群は、早めの治療でリスク低下を図る
- Q睡眠時無呼吸症候群は怖い病気なのでしょうか。
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A
▲たかが睡眠と軽視せず、まずは相談して欲しいと語る井坂先生
寝ている間に呼吸が浅くなったり、繰り返し呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群。家族やパートナーに睡眠中の無呼吸を指摘されつつも、いまだ治療を受けていないという方も多いのではないでしょうか。無呼吸になるのは睡眠中のことなので自覚を持つことは難しく、「呼吸が止まってもすぐに戻るのであれば大きな問題はない」と軽視されがちです。しかし、睡眠時に無呼吸があると、しっかり睡眠をとっているのに疲れが取れなかったり、眠気が出て集中力が低下したりと、日中のパフォーマンスに大きく影響します。さらに、睡眠時の無呼吸は全身の血中酸素を低下させ、さまざまな全身疾患を引き起こしてしまうという大きなリスクが指摘されています。
- Q放置するとどういったリスクがありますか?
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A
▲自宅検査が可能。2晩分のいびきの状態を計測する
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、睡眠中に酸欠状態となり、睡眠が中断されるため、日中に眠気が出て居眠り運転をしてしまうことも多く、交通事故発生にもつながりかねません。さらに、血中酸素濃度が低下することで、限られた酸素を全身に運ぼうと心臓や血管に負担がかかり、高血圧症や動脈硬化などさまざまな疾患のリスクが高まります。不整脈や脳卒中、心不全などの発生率も高まるというデータもあり、突然死につながることも。日常生活に支障が出るだけでなく、長く放置することで命に関わるリスクがあるのです。
- Q睡眠時無呼吸症候群は早めに受診するべきなのですね。
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A
▲早期発見・早期治療が肝心。オンライン診療も活用して欲しい
睡眠中の呼吸を安定させるための治療を行うことでリスクを低下させることができます。睡眠時の無呼吸で心臓や血管に負担のかかる状態が長く続くほどに、脳卒中や心不全などの発症リスクも高まりますから、睡眠時に無呼吸があれば、できるだけ早く治療することが命を守るうえでも重要です。睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の眠気や集中力低下による生産性の低下、交通事故や労働災害などの産業事故の増加は、社会的な問題として取り沙汰されています。特に道路交通法の改正により未治療のまま運転することで危険運転致死傷罪に問われるようになっており、早めの対応が求められます。
- QCPAP継続のため、モチベーション維持の工夫はありますか?
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A
▲患者一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療を実施
重症の睡眠時無呼吸症候群ではCPAPという経鼻的持続陽圧呼吸療法を行いますが、この治療は毎晩の睡眠時に続ける必要があります。機械につながるマスクを装着して眠りにつくことになり、これを不快に感じたり、恥ずかしいとして治療を続けられないというケースも少なくありません。そうした方に対し、当院では困りごとを細かくフィードバックし、治療継続につなげています。例えばマスク装着が嫌なのであれば形状の違うマスクを試していただいたり、入眠時に不快感があるようなら空気圧を少し下げるなどの微調整を行います。治療機器の動作音を気にされる方もいらっしゃいますが、新しい機器は静音で携帯性も向上しています。
- Qこちらで睡眠時無呼吸症候群の治療を受けるメリットは?
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A
▲鼻腔内の形状がいびきや無呼吸の原因になり得るという
睡眠時無呼吸症候群は、内科や精神科で診療されているケースが多いのに対し、当院では日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医である私が診療しています。これにより、ファイバースコープを用いて鼻腔内の問題を確認したり、花粉症など鼻炎がひどくなる時期に適切な薬を処方したりすることが可能です。鼻詰まりがある時に寝苦しさを感じたことがある方も多いかと思いますが、鼻腔内の問題が睡眠の質に関わることも多いのです。また、私は大学病院や診療科の枠を超えて睡眠障害を総合的に診療する医療機関などで専門診療に長く携わってきました。睡眠時無呼吸症候群に限らず、不眠症や過眠症にも対応できるのも強みです。