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こちらの記事の監修医師
内科部長 中村 雄二 先生

ういるすせいかんえんウイルス性肝炎

概要

肝炎ウイルスに感染し、肝臓の細胞が少しずつ壊れていく病気を「ウイルス性肝炎」と呼ぶ。肝臓はその半分を失っても命に影響がない予備力がある丈夫な臓器だが、この病気を患うと徐々に肝臓の機能が失われてゆき、ついには肝硬変や肝臓がんなどの死に直結する疾患にまで進行していく。主な肝炎ウイルスにはA型、B型、C型、D型、E型の5種類があり、これらが引き起こす肝炎の種類には「慢性肝炎」と「急性肝炎」がある。「慢性肝炎」はB、C型によるものが多く、長期にわたり軽度の肝障害が続く。D型肝炎はB型肝炎ウイルスと重複して慢性肝炎を引き起こす。「急性肝炎」はA、B、E型によるものが多く発熱や全身倦怠感、黄疸などの症状があるが、自然治癒の可能性が高い。急性肝炎が著しく重症化すると『劇症肝炎』と呼ばれ、その致死率は70%と非常に高い。

原因

肝炎ウイルスは、血液や体液を介して人から人へと感染するものと、不衛生な水を含めた飲食で感染するものがある。A型とE型は飲食で感染し、A型は牡蠣や二枚貝など、E型はイノシシやシカやブタなどを加熱不十分に食べたために感染する。B型とC型は血液や体液を介し、感染経路として挙げられるのは「感染者の血液を輸血」「感染者と性交渉」「感染者と注射針・注射器の共用や注射針を誤って刺す事故」「感染者が使用した器具で入れ墨やピアスの穴開けをした場合」などのケースだ。「予防対策を講じずに、ウイルスに感染した母親が子どもを産んだ」などの経路も考えられる。ただし、血液や体液に触れない限り感染することはまずありえないので、ウイルス感染者との握手や抱擁、入浴などの行為に問題はない。むやみに心配を募らせ、感染者に対し差別意識を持つことは禁物だ。

症状

どの肝炎も症状はおおむね同じだが、通常発病は風邪のような症状(発熱、倦怠感、嘔吐、下痢、関節痛、頭痛など)で始まる。そのため感染初期は風邪と勘違いされることも多く、自覚症状がまったくないケースも少なくない。その後皮膚や白目の部分が黄色くなる「黄疸」が現れ、尿はビール瓶のような茶褐色、便は灰白色となる。肝炎に症状が見られないことが多いのは肝臓の予備力の大きさが理由だが、早期に治療することが肝硬変や肝臓がんに進行するのを予防するために重要だ。2010年から2017年の急性肝炎の原因別頻度は、A型10% B型40% C型10%であり、慢性肝炎の原因別頻度は、B型20% C型70%であった。

検査・診断

肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、血液を採取して調べる。例えばC型肝炎の場合は、まず血液中にHCV(C型肝炎ウイルス)の抗体があるかどうかを調べる「HCV抗体検査」を行い、抗体が陽性であれば、「HCV-RNA検査」と『HCV-遺伝子型検査』を併用して行う。ウイルスが体に入ると、ウイルスと闘うための抗体が作られる。HCV抗体が確認されたということは体内にウイルスがいるという証拠になるからだ。A型やE型やD型ウイルスに関しても抗体検査を行い、必要に応じてRNA検査を追加する。また、HBV(B型肝炎ウイルス)の検査においては「HBs抗原検査」を行う。抗原とは抗体と反応するウイルスの一部である。ここで陽性反応が出れば、『HBV-DNA検査』と『HBV-遺伝子型検査』を行う。ちなみにB型はDNAウイルスであるが、B型肝炎ウイルス以外はRNAウイルスである。

治療

A型やE型など急性肝炎は、入院して安静を保ち負担を避けて肝臓がダメージから回復するのを待つ。重症化や劇症化を生じたら症状に応じた治療追加が必要である。かつてはB型やC型の慢性肝炎の治療は、自分の免疫の力を高めてウイルスの増殖を抑えたり排除したりすることに効果のある「インターフェロン」という薬が使われていた。しかし最近はB型慢性肝炎に対して直接B型ウイルスを阻害する「核酸アナログ製剤」が有効であり、C型慢性肝炎では「直接作用型抗ウイルス薬(DAAs)」と呼ばれる経口薬投与でウイルスをほぼ完全に除去できる。なお、新しい慢性B型・C型肝炎に対する治療法は高額になるので、全国の自治体で医療費助成が行われている。

予防/治療後の注意

A型・E型肝炎は不衛生な水を煮沸して飲むことや、疑わしい食料を十分に加熱することが重要である。A型・B型肝炎にはワクチンがあるため、それを投与することで予防ができる。B型・C型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染するため「他人の血液には触らない。やむを得ないときはゴム手袋を必ず着用する」「性交渉の際はコンドームを着用する」「不特定多数と性交渉をしない」「入れ墨やピアスをするときは、適切な方法で消毒・殺菌された機材を使う」「歯ブラシやかみそりなど、感染者の血液が付いている可能性のあるものを共用しない」「注射器や注射針を共用しない」などの対策を取ることが望ましい。感染者の女性が妊娠した場合は、出産時にワクチンや免疫グロブリン製剤を使用することで生まれてくる子どもの感染を防げる。

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こちらの記事の監修医師

荻窪病院

内科部長 中村 雄二 先生

1993年慶應義塾大学医学部医学科卒業。同大学消化器内科講師などを経て2013年より荻窪病院に勤務。2016年より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本肝臓学会肝臓専門医。