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日本医科大学付属病院 口腔科(周術期)部長 久野 彰子 先生

こちらの記事の監修医師
日本医科大学付属病院
口腔科(周術期)部長 久野 彰子 先生

ぞうげしつちかくかびんしょう(ちかくかびん)象牙質知覚過敏症(知覚過敏)

概要

むし歯や歯の神経の炎症がないにもかかわらず、冷たい食べ物や飲み物、甘いものを口にしたり、歯ブラシの毛先が当たったりしたときに、歯がしみたり痛んだりする状態。一般的には知覚過敏と呼ばれ、歯の象牙質と呼ばれる部分が露出している場所に起こりやすい。歯は硬いエナメル質で覆われており、その中にはやわらかい象牙質が歯の神経を囲むように存在している。この象牙質には刺激を感じ取って神経に伝える構造があり、露出すると歯磨きや食事による刺激が強く伝わるようになってしまう。象牙質が露出してしまうきっかけには、さまざまなものがある。

原因

象牙質が露出する原因は、まず歯肉が下がってしまうことが挙げられる。歯肉は加齢や歯周病の進行によって下がりやすく、エナメル質に覆われていない歯根が露出してしまう。また歯のすり減りや転倒による歯の損傷も原因になり、この場合は表面のエナメル質部分そのものが欠けてしまうことで、中の象牙質が露出する。さらに食べ物の影響を受けて歯が溶けてしまうことも原因の一つ。炭酸飲料、レモンやオレンジ、グレープフルーツといった柑橘系の果物は酸性のため歯を溶かしやすく、飲み方や食べ方によってリスクが高くなる。例えば、炭酸飲料を長い時間かけて飲んだり、日頃から酸っぱい食べ物や飲み物を過剰にとったりする習慣がある場合は注意が必要。

症状

冷たい食べ物や熱い食べ物、甘いものを食べたときや、歯磨きの際に、歯が痛い、しみるといった症状が出る。また空気を吸い込んだとき、歯のクリーニングで歯石を取った後などにも同様の症状が見られることがある。痛みやしみる感じは進行したむし歯のように長く続くことはなく、一時的なものであることがほとんどである。自分でむし歯による痛みなのか、むし歯ではなく知覚過敏の症状がでているのかを判断することは難しいため、痛い・しみるといった症状がある場合は早めに歯科医師に相談することが大切。

検査・診断

まずは問診を行ってどんな状況で症状が出るのか確認し、その後視診で歯肉が下がっているかどうかなど、口の中の状態をチェックする。また実際に歯を磨いてみたり、風を当ててみたりして、歯が痛んだりしみたりするかを確認する。さらに、知覚過敏のような症状はむし歯でも見られるため、何が原因で起きているかを確かめるにはより詳細な検査が必要になることも。具体的な方法としては、歯のエックス線検査や電気機器を使って歯の神経の状態を調べる検査などがあり、これらの結果を総合して最終的な診断を行う。

治療

知覚過敏が軽度であれば、症状が一時的なこともある。症状が良くならない場合は、神経の過敏状態を抑える成分の入った歯磨き剤を使ったり、露出した象牙質表面を保護する治療を行ったりする。象牙質にはたくさんの小さな穴が空いているため、これらを封鎖し、神経に伝わる感覚を途切れさせることで、知覚過敏の症状を抑える。同じ目的で、再石灰化を助けるフッ素などが含まれた歯磨き剤を使う方法もあり、しばらく続けて使うことで症状の改善が期待できるといわれている。また、象牙質表面を樹脂の薄い膜で覆って保護する治療や、歯が擦り減っている部分には詰め物をする治療もある。症状がひどい場合には神経自体を取り除く根管治療が検討される。

予防/治療後の注意

むし歯歯周病予防には、磨き残しがないよう丁寧にブラッシングすることが大切。ただし歯磨きの際、力の入れすぎや長時間の誤った磨き方は歯肉を下げたり、歯が削れたりして、知覚過敏を引き起こす原因ともなる。歯科医師や歯科衛生士に正しい磨き方を指導してもらうと良い。また、炭酸飲料や柑橘類、酒類などの酸性の食べ物や飲み物は、摂り方に注意すること。知覚過敏の症状は、むし歯歯周病によるものかどうかを自分自身で判断するのは難しいこともあるため、症状が出たらなるべく早めに歯科医院を受診する。

日本医科大学付属病院 口腔科(周術期)部長 久野 彰子 先生

こちらの記事の監修医師

日本医科大学付属病院

口腔科(周術期)部長 久野 彰子 先生

1993年日本歯科大学歯学部卒業。同大学総合診療科講師などを経て、2015年日本医科大学付属病院口腔科(周術期)の部長に就任。悪性腫瘍や心疾患などの治療中や術後の回復に悪影響を与える口腔トラブルを専門に診療している。