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こちらの記事の監修医師
日本医科大学付属病院
口腔科(周術期)部長 久野 彰子 先生

ししゅうびょう歯周病

概要

歯の周りにある歯周組織に起きる炎症性の病気の総称。プラーク中の細菌が原因となって起きる。歯肉炎と歯周炎の2種類に大別され、前者は歯周組織のうち歯肉(歯茎)のみが赤く腫れる病変であるのに対し、後者は歯肉だけではなく、歯を支えている歯根膜や歯槽骨にまで炎症が及んだ状態である。歯周炎では歯と歯肉の隙間が深くなり歯周ポケットが形成され、歯槽骨が溶けて歯がぐらつくようになる。歯周炎が進行すると、歯周ポケットは深くなり、歯槽骨の支えも失われていくことから、嚙むことが難しくなり、自然に抜けてしまうこともある。また近年、糖尿病などの生活習慣病と関連があることもわかっている。

原因

歯周病の原因は歯に付着したプラーク(歯垢)の中の細菌と、それに対する体の炎症反応である。口の中にいる細菌は800種類以上で、プラーク1㎎中に約1億の細菌がいるとされるが、その中でも特に歯周病と関連する細菌がいくつか報告されている。歯磨きが不十分だとプラークが取り除かれずに歯に付着したままとなり、歯肉は細菌毒素の持続的な作用を受けて、歯周病になりやすい状態となる。プラークが石灰化して歯石の状態になると、歯磨きだけでは取り除くことができなくなり、歯石の周りにさらにプラークが付着しやすくなる。また、歯周ポケットが形成されると、ポケット内にもプラークや歯石が付着し、取り除かれなければ歯周病はさらに進行することとなる。歯ぎしりや噛み合わせの問題、ホルモンバランスの乱れ、喫煙、全身疾患なども歯周病の進行に関連する因子とされている。

症状

ある日突然発症するのではなく、徐々に進行していく。初期の段階ではほとんど自覚症状はない。歯肉炎の段階では、歯を磨いていると歯肉から血が出る、歯肉が赤く腫れる(本来はピンク色)、口の中がねばつくなどの症状が見られる。一方、歯周炎では歯肉炎の症状に加えて、歯肉が下がったり(歯が長くなったように見える)、歯周ポケットから膿が出たり、歯槽骨が溶け出して歯がぐらつきはじめる。口臭がきつくなることもある。また歯周病が悪化すると、細菌が口腔内の血管から全身へ回って、心筋梗塞脳梗塞などの疾患に関連するともいわれている。また糖尿病の患者は歯周病になりやすく、逆に歯周病が糖尿病を悪化させる一因であることもわかってきている。

検査・診断

歯周ポケットにプローブと呼ばれる細い器具を挿入して、溝の深さを測ることで歯周病の進行度をチェックする。深くなるほど進行していると考えられるため、ポケットの入口から底までの距離を測り、重症度を判定する。このとき、歯周ポケットから出血が見られるかどうかも併せて確認する。歯垢染色液を使って、原因であるプラーク(歯垢)の付着状況を調べることもある。症状の進行度によっては、エックス線写真を撮って歯槽骨の状態を検査する。エックス線検査によって歯槽骨が溶けてしまった範囲や程度を知ることができる。

治療

歯肉炎、歯周炎の治療では、歯のクリーニングと適切な歯磨き指導が行われる。ブラッシングでは落とせない歯石の除去や、歯磨きや歯肉の状態を確認してもらうため、歯科には定期的に通う必要がある。噛み合わせが乱れていると歯ブラシが届きにくい場所ができてしまうため、歯科矯正治療などが必要となるケースも。歯周炎まで進行している場合には、歯肉に麻酔をして、歯周ポケットの奥深くに付着した歯石を除去することもある。また歯肉を切開、剥離して、歯肉に覆われていた歯根を直接見える状態にして、歯石を除去する手術を行うこともある。その際に、骨などの歯周組織を再生させる再生療法が行われる場合もある。重度の歯周炎や、治療しても改善されない場合には、抜歯も治療の選択肢となる。

予防/治療後の注意

毎日欠かさずにブラッシングを行い、歯に付着したプラーク(歯垢)を取り除いていくこと(プラークコントロール)。歯ブラシの届きにくい歯と歯の間は、歯間ブラシやデンタルフロス(糸ようじ)なども使ってしっかりケアすることが大切。歯科医院で自分に適した清掃方法の指導を受けるとよい。日々のお手入れや歯科医院での定期的なメンテナンスを怠ると再発することも。子どもから大人まで約8割の人が罹患している可能性があり、中年期以降は特に注意が必要。

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こちらの記事の監修医師

日本医科大学付属病院

口腔科(周術期)部長 久野 彰子 先生

1993年日本歯科大学歯学部卒業。同大学総合診療科講師などを経て、2015年日本医科大学付属病院口腔科(周術期)の部長に就任。悪性腫瘍や心疾患などの治療中や術後の回復に悪影響を与える口腔トラブルを専門に診療している。