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公立学校共済組合 関東中央病院 皮膚科部長 鑑 慎司 先生

こちらの記事の監修医師
公立学校共済組合 関東中央病院
皮膚科部長 鑑 慎司 先生

しょうせきのうほうしょう掌蹠膿疱症

概要

手のひらや足の裏に膿がたまった小さな水ぶくれ(膿疱)が繰り返し次々とでき、かゆみや痛みを伴うことが多い慢性の皮膚疾患。膿疱の中に細菌はなく、体の他の部位や人に感染することはない。手のひらや土踏まず、かかとなどに小さな水疱ができ、やがて膿を持った膿疱ができる。しばらくすると茶色っぽいかさぶたになり、皮と一緒にむけるが、またすぐ別の場所に膿疱ができるなど、2~4週間のサイクルで再発を繰り返し、全体が赤みを帯びてくる。周期的に良くなったり悪くなったりを繰り返すことが特徴。ひどくなると、うす皮がむけてひび割れが起こり、強い痛みを伴うことも。手のひらや足の裏以外に、膝やすね、肘、頭などにも症状が現れることがある。

原因

喫煙や金属アレルギーなどが関与していることがわかっているが、原因を突き止めることのできないケースも多い。慢性的な感染症が体のどこかにあり、それが引き金となって体の他の部位に別の病気を引き起こす「病巣感染」の代表的な疾患といわれており、虫歯や扁桃炎、歯周炎、副鼻腔炎などが引き金となる場合もある。

症状

手のひらや足の裏に数多くの小さな水ぶくれ(水疱)が生じ、次第に膿がたまった膿疱に変化。しばらくすると膿疱が乾いてかさぶたになり、はがれ落ちる。重症になると手のひらや足の裏が赤身を帯びて厚みが増し、うす皮がむけてひび割れて、痛みを伴う。また足のすねや膝にも症状が出ることがある。発疹の出始めはかゆみを伴うことが多い。周期的に症状を繰り返すことが特徴。関節や骨そのものに炎症が起きて激しい痛みを伴う例もあり、特に胸骨と鎖骨の接合部などに起こることが多い。さらに首や肩、腰など痛みが広範囲になることもある。爪の点状陥凹や肥厚が高頻度にみられる。

検査・診断

問診や視診のほか、歯科検診、金属パッチテスト、エックス線検査、MRI撮影などが行われる。足の皮疹は水虫とよく似ているため、皮膚の角質を一部採取して顕微鏡で調べ、水虫を起こすカビ(白癬菌)がいるかどうかを調べる。手のひらや足の裏以外の皮膚を確認して、乾癬など他の皮膚病と区別する必要がある。

治療

金属アレルギーや病巣感染や喫煙など、悪化因子がわかっている場合には取り除く。扁桃摘出が有効なことが多い一方で、金属除去は有効率が低い。かゆみが強い場合にはステロイド軟膏を使用する。ビタミンD3軟膏の外用のほか、抗生物質、ビタミンA誘導体、免疫抑制剤などの内服、紫外線療法を行うこともある。最近では重症例には生物学的製剤の注射が可能になった。塗り薬はすり込まずに、めくれかけた皮を無理にはがしてしまわないことも重要である。これらの刺激が症状を悪化させる。多くの症例が自然に治ることが知られているが、期間には個人差があり、数年の経過をたどるため、対症療法により生活する上で支障がないようにコントロールしていく。

予防/治療後の注意

扁桃腺炎や歯槽膿漏などの病巣感染がある場合には速やかに治療を行う。風邪をひかないよう健康管理に努める。禁煙も有用である。

公立学校共済組合 関東中央病院 皮膚科部長 鑑 慎司 先生

こちらの記事の監修医師

公立学校共済組合 関東中央病院

皮膚科部長 鑑 慎司 先生

2000年3月東京大学医学部医学科卒業。同大学附属病院の皮膚科で研修後、2006年3月に同大学院博士課程を修了。その後同大学附属病院皮膚科助教や、関東労災病院皮膚科にて医長を務める。Oregon Health & Science University博士研究員、東京大学医学部附属病院皮膚科講師などを経て、2012年4月より現職。日本皮膚科学会皮膚科専門医、日本レーザー医学会レーザー専門医。