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武末 淳 院長の独自取材記事

たけすえ耳鼻科クリニック

(那珂川市/博多南駅)

最終更新日:2021/10/12

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西鉄大橋駅からバスで約30分。那珂川営業所停留所から3分ほど歩くと、黄色の壁に大きなキリンの絵が見えてくる。スロープを備えバリアフリーにも対応しているのが「たけすえ耳鼻科クリニック」だ。20年以上この那珂川地区で地域患者の診療を行ってきた院長の武末淳(あつし)先生が力を入れているのが、めまいと補聴器に関すること。「身体的、精神的、そして社会的に良好な状態を維持することを健康と呼ぶんです」と語る院長は、患者の背景をしっかり理解し、悩みと向き合いながら診療していく。また補聴器の相談では試用やカウンセリングの期間を長く取り、患者に合わせた補聴器を選んでいくのだそう。患者の悩みに深く向き合う院長に話を聞いた。

(取材日2021年2月2日)

来院日数を少なくし、家庭でできる予防法を伝えたい

外観のキリンのイラストがとても印象的です。

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患者さんは案外クリニック名を忘れてしまうものなんですよ。そうすると他院に行った時にどこでどんなお薬をもらっているのかわからず困ることもあるでしょう。目立つ色に覚えやすい動物の絵があれば、年齢を問わず「キリンのところ」と覚えてもらえるのではないかと考えたんです。1998年に開業し、2018年にこの場所に移り、その際にバリアフリーにしました。同時にインフルエンザなど発熱のある患者さんが一般の待合室を通らずに済む咳・発熱患者専用入り口も作り、待合室、診察室も分けて診れる造りにしました。今では新型コロナウイルス感染症にも活用できていますし、駐車場を活用した車中診察にも対応しています。開院以来「来院日数を少なくし、家庭でできる予防法を伝えたい」という想いを持ち続け、患者さんと接しています。

開業され20年以上。患者さんの変化は感じておられますか?

まずはインターネットの普及による情報の多さです。情報の質は玉石混交ですから、患者さんがいろいろ調べた結果、「自分、もしくは子どもがこういう病気なのでは……」と不安になって来院されるケースも増えました。もう一つは、市販薬のレベルが上がってきたことによる患者さんの意識の変化。今では鼻炎薬や胃薬、頭痛薬などクリニックで処方するのと同じような薬が手軽に薬局で購入できます。しかしそれを飲んでみたもののどうにも症状が改善しない、という方が、クリニックに足を運ぶ流れに変わりました。つまり医療機関はファーストステップではなく、セカンドステップになったんです。ある程度症状も解決策もわかっている、けれどもう一歩良くならないという場合にクリニックに来るという点も、この20年の大きな変化ですね。

そういった方の中に、めまいを訴える方もいらっしゃるのですね。

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めまいはお薬や短期の休養を提案するなどで対応をしていく場合がほとんどです。しかし治療の時期を逸してしまったりで長期的な治療になると、いくつものクリニックを転々としている方もいます。当院にはセカンドオピニオンとして来院する患者さんも多く来られます。「検査を受けたものの大きな異常はない。薬も飲んでいる。しかし症状がつらくてどうしようもない」。これは先ほどお話ししたセカンドステップの部分を求めておられるということです。そこで大事になるのが、患者さん個人の悩みに寄り添った解答がどれほどできるのか。病名が同じであっても、生活や仕事などはお一人お一人で違います。そこを理解した上で治療法をアレンジし、患者さんが納得できる答えを提示することが、私たちの一番大事な仕事なのではないでしょうか。

めまいの原因となる環境・心理的要因を解きほぐす

めまいに深く悩んでおられる方に、どのようにアプローチされるのでしょう?

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めまいの背景はとても複雑です。聴力検査や平衡機能検査といったベーシックなことはもちろんですが、大事なのはめまいの原因の見極め。「健康とは、疾病が存在しないことだけではなく、肉体的、精神的、社会的に良好な状態であること」。意訳するとWHOの定訳ではこのように定めていますが、めまいも心理的な要因が深く関わっています。3つ目の要素である「社会的な健康」、つまり他人や社会と建設的で良好な関係を築くことが損なわれると起き上がれないほどの、めまいまで進行してしまうことも。めまい専門の外来は予約制で初診の方は40分ほど、再診の方は20分ほどの枠を取っているのですが、めまいの相談に来られる患者さんは、診察で涙することもあります。それくらいに心の中にさまざまな悩みを抱えている方が、他に相談することもできず、それでもこのつらいめまいをどうにかしたいと思っていらっしゃるんです。

病名だけでは片づかない、患者さんを取り巻く複雑な要素が絡み合っていると。

病気はその人にとって一番弱い部分に出るものです。それが悪いとかではなく、それとどう向き合うのかをじっくりと時間をかけて話し、絡み合った心の糸を解きほぐすのが私たちの仕事です。ここまでくるとセカンドステップではなくサードステップになりますから、体を動かす反復訓練をすることで体を順応させていくなどのリハビリテーションも同時に取り入れます。当院でやり方を学び、それを自宅などでも日常的に継続してもらうという方法です。長い場合は2~3年かかる方もいますが、もっと短い人もいますし、期間は本当に人それぞれです。

機能的な部分・心理的な部分をしっかり見極めながら治療のゴールまで一緒に考えていくんですね。

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患者さんが「これで大丈夫」と自分で納得できることが大事なんですよね。単に症状が改善するということではなく、「めまいを起こさないためにどんな生活をすればいいのか、もし起きてしまったらどう対処したらいいのか」を患者さんご自身が前向きに、自発的に考えられるようになることが、治療のゴールという点で最も大切なんです。医療の中心はあくまで患者さんですから。私の父も同じ耳鼻科の開業医で、若い頃はその仕事ぶりをハードワークなのではないかと思ったこともありました。そこで父が言ったのが「社会のためだ」という言葉です。どんな仕事でも生きていくためにやる部分と、社会のために行う部分があると思いますが、それこそが患者さんにも必要な “社会的な健康”にもつながるのではないかと思います。

補聴器を取り入れることで生活をもっと豊かに

貴院のもう一つの大きな特徴が、補聴器ですね。

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補聴器メーカーさんのご協力もあり、購入前に2〜3ヵ月、実際に補聴器を使用してもらい、そこで十分に納得していただいてから決めていただく体制を取っています。耳からきている情報はとても重要です。いつの間にか聞こえなくなっていた自然の音が聞こえるようになることもあるでしょうし、ご家族との会話がしやすくなるかもしれません。生活を便利にするアイテムだからこそ、その人に合った調整も必要ですし、今まで聞こえていなかった部分が聞こえるようになると、変化に対応していくリハビリも必要になる。私が大切にしている考え方は「患者さんの役に立つ聴こえ方」をいかに実現するか。ですから必然的に試聴の期間も長くなってくるのです。使ってみたものの、結果的に不要だと結論が出る場合もありますからね。

数ヵ月試せると患者さんも、そしてご家族も安心ですよね。

補聴器は高齢者がつけるもの、というあまりポジティブではないイメージを持つ方もまだ多く、そこは課題だと感じています。音楽を聞いたりするために昨今ではワイヤレスイヤホンを使いますよね。それと補聴器も同じだと思うんです。音楽などを楽しむためにイヤホンを使う人もいれば、テレビなどを見るために補聴器を使う人もいる。いずれも生活の質を上げるという同じところに着地しますよね。眼鏡が今はファッションとして生活に浸透しているように、補聴器もそう感じていただけるようになればと思います。

最後に今後の展望をお聞かせください。

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開業して20年以上がたちました。とにかく患者さんの話を聞き、向き合いながら診療してきました。この向き合うということは、患者さんが求めている優しい言葉をかけることではありません。私の仕事は、患者さんの症状や気持ちを軽くすること。患者さんに対して、ただ優しく接するだけの診療はしたくありません。知識や情報もそうです。間違った知識や情報が簡単に手に入ってしまう時代だからこそ、はっきり伝えるべきと考えています。患者さんも本気で悩んでいるからこそ、こちらも本気で返すんです。今後もこの診療スタイルを変えずに患者さんと向き合っていくつもりです。お困り事がありましたら、まずはお話に来てください。

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