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こちらの記事の監修医師
独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター
副院長/認知症疾患医療センター長 松下 幸生 先生

けっかんせいにんちしょう血管性認知症

概要

脳梗塞脳出血などの脳血管障害によって起こる病気。アルツハイマー型認知症の次に多い認知症です。障害で脳が損傷した部位によって、現れる症状はさまざま。中でも、症状に波がある「まだら認知症」が多いのが特徴です。人によって症状の進行速度は異なり、緩やかに進行することもあれば、急速に悪化することも。さらに、脳血管障害によって引き起こされる運動麻痺や歩行障害などが早期に見られるのも、他の認知症との違いの一つ。アルツハイマー型認知症が合併している患者も少なくありません。

原因

脳の血管が詰まって発症する脳梗塞や、脳出血などの脳血管障害が原因となります。障害に伴い脳の一部が損傷し、認知症を引き起こすのです。障害の程度が大きい場合、認知症が急速に悪化してしまうこともあれば、小さな脳梗塞や出血を繰り返すことで、少しずつ症状が進んでいくこともあります。また、脳血管障害の発生リスクが高いといわれる高血圧糖尿病、動脈硬化、心疾患、喫煙なども、結果的に血管性認知症のリスクを高めるとされています。

症状

「物忘れはよくあるのに、判断力や理解力はしっかりしている」「朝はできたことが、昼にはできない」といった「まだら認知症」が多いのが特徴。脳血管障害は脳のさまざまな部位で起こるため、認知症の現れ方も多岐にわたります。他の認知症と同様に、日常生活に支障を来すような記憶障害が少しずつ現れてくることも。また、血管性認知症の場合、脳血管障害に伴い手足の麻痺や歩行障害、会話困難、視力低下、尿失禁などの症状が早期に出てくることも珍しくありません。初期段階には患者本人が「認知症である」ということを認識できることから、抗うつ症状や不安、意欲低下などが現れることもあります。さらに、再び脳卒中や心臓発作を起こすことも多く、予後不良の病気だといえます。

検査・診断

脳血管障害のリスクが高い患者や、すでに発症している患者に「物忘れ」などの症状が見られる場合、血管性認知症を疑います。まずは、医師による問診を実施。本人の認知機能や記憶、実行機能などに異常がないかをチェックします。患者の家族や周囲の人たちに日頃の様子などをヒアリングして得た情報も、大切な判断材料の一つです。さらに、CTや頭部MRIによる脳画像検査を実施。前頭葉や側頭葉、後頭葉、視床、海馬など、認知機能に関わる部位に障害があるかどうかを確認します。この段階で、脳卒中が発覚するケースもあります。

治療

血管性認知症の根本的な治療法は、まだ見つかっていません。しかし、脳血管障害によって引き起こされる認知症のため、まずは脳血管障害の再発予防やリハビリテーションをしっかり行っていくことが大切です。そのために、脳血管障害の原因となる高血圧糖尿病脂質異常症など生活習慣病の治療はもちろん、リハビリテーションによる機能回復訓練などを進めていきます。必要に応じて、血液をさらさらにするための薬が処方されることも。さらに、患者に抑うつ症状などが見られる場合は抗うつ剤を処方します。

予防/治療後の注意

血管性認知症は、初期段階では患者本人が「自分が認知症である」ということを理解することができます。そのため、不安やストレスを感じてしまったり、うつ状態になったりしてしまう人も少なくありません。家族や周囲の人たちは患者が「できないこと」を指摘するのではなく、「できること」を見つけていくようなサポートを心がけましょう。リハビリテーションも無理強いはせずに、患者本人の気持ちを尊重していくことが大切です。また、生活習慣病の予防のために、栄養バランスの良い食事や適度な運動、ストレスをためない生活などを心がけてください。

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こちらの記事の監修医師

独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター

副院長/認知症疾患医療センター長 松下 幸生 先生

1987年慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部精神神経学教室に入局。1988年国立療養所久里浜病院(現・国立病院機構久里浜医療センター)勤務。1993年米国国立衛生研究所(NIH)などでの勤務を経て、2011年より現職。専門は、認知症、アルコール依存症、ギャンブル障害。