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身近な病気となった
認知症の特徴と治療法を学ぶ

いのくちファミリークリニック

(稲沢市/稲沢駅)

最終更新日:2024/01/17

いのくちファミリークリニック 身近な病気となった 認知症の特徴と治療法を学ぶ いのくちファミリークリニック 身近な病気となった 認知症の特徴と治療法を学ぶ
  • 保険診療

高齢化が進む日本では、65歳以上の5人に1人が認知症であるともいわれている。多くの人がなり得る身近な病気である一方、気になる症状があっても受診をためらい、不安を抱え込んでいるケースも少なくないのではないだろうか。「認知症の方が、日々穏やかに過ごせる一助となりたい」と話すのが、認知症治療のエキスパート「いのくちファミリークリニック」の遠藤英俊院長だ。遠藤先生は認知症サポート医の養成に携わっていた。認知症の予防や早期発見・早期治療には、患者本人にとっても、家族にとっても、たくさんのメリットがあるという。認知症とはどんな病気で、どのタイミングで受診すれば良いのかなど遠藤院長に教えてもらった。

(取材日2023年2月23日)

物忘れなど気になる症状があれば、早期に受診をすることが大切

Q認知症とはどのような病気ですか?
A
いのくちファミリークリニック 認知症治療のエキスパートである遠藤先生

▲認知症治療のエキスパートである遠藤先生

年を取ると、誰しも人の名前をすぐに思い出せなくなったり、昨日の食事の献立を忘れたりするものです。認知症はそのような加齢による物忘れとは違い、正常だった脳の働きが徐々に低下する病気です。食事したこと自体を忘れてしまったり、日付や曜日がわからない、仕事の要領が悪くなるなどの困難が生じて、日常生活をうまく送ることができなくなります。アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症などがあり、中でも最も多いのがアルツハイマー型認知症です。認知症の診断は、問診、医師による診察、記憶障害などの程度を調べる神経心理検査、脳の状態を調べる画像検査が総合的に行われます。

Qどんなタイミングで受診すれば良いのでしょうか?
A
いのくちファミリークリニック 認知症は早期の発見・診断が重要である

▲認知症は早期の発見・診断が重要である

日常生活の中で、物忘れなど気になる症状があっても、「きっと年のせいだ」などと思って受診をためらう方も少なくありません。認知症は、早期の発見・診断によって適切な医療が受けられる病気です。治療可能な認知症であれば、早期診断により予防や症状の改善につなげていったり、アルツハイマー型認知症であれば、症状の進行を遅らせていくことも図れます。また、早い段階から適切なアドバイスを受け、福祉サービスなどを活用することで、介護負担を減らすことも可能です。物忘れがひどい、怒りっぽくなった、意欲が減退している、など今までとは違う症状や行動に気づいたら、できるだけ早く医療機関を受診することをお勧めします。

Q認知症専門の医師としてのご経験や思いをお聞かせください。
A
いのくちファミリークリニック 一人ひとりに合わせた医療を提供する

▲一人ひとりに合わせた医療を提供する

アルツハイマー型認知症の治療では、薬による薬物療法、薬以外を用いて症状改善を図る非薬物療法を組み合わせて行います。薬物療法では、漫然と同じ薬を処方するのではなく、患者さん一人ひとりの状態に適した薬が何なのか判断することが重要だと考えます。勤務医時代からたくさんの認知症患者さんと接してきた経験が、適切な治療へとつながっていると思います。

Q貴院で受ける認知症治療にはどんな特徴がありますか。
A
いのくちファミリークリニック 認知症の早期診断・早期治療に力を入れる同院

▲認知症の早期診断・早期治療に力を入れる同院

認知症の早期診断・早期治療に注力しています。当院の認知症患者さんのうち約3割はMCI(軽度認知障害)の方です。MCIの約半数は5年以内に認知症に移行するといわれていますので、進行を抑制するための治療を行い、治験のご案内もしています。また、既に認知症が進行している方の家族のお悩みで多いのが、妄想、目的なく歩き回る、攻撃的になるといったBPSD(行動・心理症状)です。本人の気持ちを理解して受け入れ、適切に対応することで改善を図っていきます。例えば、妻の浮気を疑う嫉妬妄想という症状が見られた男性患者さんのケースでは、奥さんに地味な服を着たり、出歩くのを控えたりするように提案する場合もあります。

Q患者さんのご家族へのフォローはされていますか。
A
いのくちファミリークリニック 相談ノートや家族相談の日を設けるなどフォロー体制が整っている

▲相談ノートや家族相談の日を設けるなどフォロー体制が整っている

ご家族にも「大丈夫ですか?」などの声かけをして、コミュニケーションを取ることを大切にしています。特に自宅で介護をしているケースでは、患者さんを日々、支えているご家族が心身ともに健康であることが重要ですので、ご本人と家族を2対1くらいの配分で意識するようにしています。ご家族には相談ノートをお渡しし、次回の診察までに書いてきていただきます。ノートには受診にあたって医師や看護師に伝えたいことがチェック項目や記述式でまとめられています。本人を目の前にして言いづらいこともあるでしょうから、そういったツールを使いつつ場所を変えてお話を聞きます。また土曜日には家族相談の日を設けてじっくりお話を聞いています。

ドクターからのメッセージ

遠藤 英俊院長

以前に比べれば、認知症に対する抵抗感は少なくなり、「うちのおばあちゃん、認知症で……」などと話しやすい社会になってきたことは喜ばしく感じています。一方で、核家族化が進んだ昨今では、少ない人数で介護をしなければいけない家庭が増え、介護が脆弱になりがちです。認知症の症状が進めば、それだけ家族の負担も増えますし、深刻なケースでは、高齢者虐待の問題にも発展してしまいます。認知症を抱えているご本人、ご家族皆さんが穏やかに生活できる社会になるよう、日々の診療やさまざまな活動を通して、私自身働きかけを続けたいと思っています。物忘れなど少しでも気になる症状があれば、専門の医師やかかりつけ医に相談してください。

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