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こちらの記事の監修医師
横浜市立市民病院
石原 淳 病院長

おたふくかぜ(りゅうこうせいじかせんえん)おたふく風邪(流行性耳下腺炎)

概要

おたふく風邪は正式には流行性耳下腺炎といい、感染力が強い疾患として知られている。唾液を分泌する耳下腺(耳の前から下に位置する)と顎下腺(顎の下に位置する)が腫れて痛み、熱が出る。原因となるのはムンプスウイルスで、特に幼児~小学校低学年くらいまでの小児に多く発症する。「子どもの時に発症すると軽症で済む」などといわれることがあるがこれは正確ではなく、小児でも合併症を引き起こし後遺症が残る可能性がある。発生し得る合併症は無菌性髄膜炎・膵炎・感音性難聴(ムンプス難聴)など。また思春期以降の男性は精巣炎、思春期以降の女性は卵巣炎などが挙げられる。

原因

原因となるのはムンプスウイルスで、ウイルスを持つ人との接触やくしゃみによる飛沫を浴びることなどで感染する。年間を通して感染する可能性があるが、春夏は保育園や幼稚園での集団感染によって流行しやすいといわれている。幼児~小学校低学年くらいまでの小児に多く発症するが、特に4歳以下は感染しやすい。症状が似ている疾患として、耳下腺の腫れを何度も繰り返す「反復性耳下腺炎」があるが、おたふく風邪とは原因となるウイルスが異なる。また、反復性耳下腺炎は熱が出ない、痛みが2~3日と比較的短期間で治まる、人にはうつりにくい、何度も繰り返すなどその症状にも差がある。

症状

原因となるムンプスウイルスが体内に侵入すると、鼻・喉などの粘膜、首などのリンパ節で増殖し、血液によって全身に運ばれて広がる。そして2~3週間の潜伏期間を経て、耳下腺・顎下腺の腫れ、押したときの痛み、飲み込むときの痛み、発熱が起こる。通常こうした症状は、現れ始めから48時間以内にピークに達する。その他に、頭痛・食欲の低下・倦怠感など、風邪と似た症状が見られることもある。なお、おたふく風邪の大きな特徴でもある顔の腫れは、ムンプスウイルスが唾液を分泌する唾液腺に感染することによるものである。ムンプスウイルスが唾液腺に感染すると、唾液腺ではウイルスを排除するために免疫機能が働く。そして結果的に炎症が起こり、唾液腺のある顔周りの腫れが生じる。

検査・診断

基本的には症状から診断され、検査は必須ではない。1度おたふく風邪を発症していると、ほとんどの場合は体内に抗体ができて感染の可能性が低くなるため、過去の病歴が診断の基準の一つになる。ただし過去におたふく風邪の原因となるムンプスウイルスに感染していても、再度発症する可能性はゼロではない。また、過去にムンプスウイルスに感染していても症状が出ない不顕性感染である可能性が3割ほどあり、自覚している病歴だけでは感染の有無が判断できないことも。そのため診断が疑わしい場合や、ムンプスウイルス感染の有無を調べる目的で血液検査を行うことがある。

治療

現時点ではおたふく風邪に効果的な特効薬・治療法はないが、ほとんどの場合1~2週間で自然に完治する。発熱や痛みには、解熱鎮痛剤などを用いて症状を和らげる対症療法を行う。口を大きく開けたり、食べ物を咀嚼したりする際に頬や顎が痛む可能性もあるため、食事はのどごしが良く刺激が少ないものを選ぶ。例えば、少ない咀嚼で摂取できるゼリー飲料、ポタージュスープ、ヨーグルトなどのメニューが適している。高熱時は経口補水液や牛乳などの飲みやすい飲料でこまめに水分補給をして、脱水症状を予防することも大切だ。脱水症状の心配がある場合は、医療機関で点滴を行い予防することもある。顔の腫れや痛みが気になる場合は、保冷剤、冷却シートなどで冷やすことで緩和できる可能性も。また、酸っぱい食べ物は唾液の分泌量を増加させ、顔の痛みが強くなるため避けたほうが良い。

予防/治療後の注意

予防するにはワクチン接種が有効で、現在国内では、おたふく風邪ワクチンの接種は自身で接種するか否かを判断する任意接種となっている。1歳以降に接種することができ、2回接種が基本。また1回目と2回目の間は1ヵ月以上間隔を空けるなど基本的なルールが設けられている。おたふく風邪ワクチンは、まれに唾液腺の腫れ・無菌性髄膜炎などの副反応を起こすことがあるが、その頻度はおたふく風邪に感染して起こる症状・合併症と比較してかなり低いことがわかっている。

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こちらの記事の監修医師

横浜市立市民病院

石原 淳 病院長

島根県出身。1979年慶應義塾大学医学部卒業。同大学病院や関連病院で小児循環器科の診療に携わり、1998年に市民病院に入職。 小児科部長、副病院長などを経て2013年より現職。研修医の指導や育成、看護師の教育に力を入れる。