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新座志木中央総合病院 林 淳慈 院長

こちらの記事の監修医師
新座志木中央総合病院
林 淳慈 院長

ひろうこっせつ疲労骨折

概要

同じ部位に小さな力が繰り返し加わることによって、該当部位の骨にひびが入ってしまったり、折れてしまったりする骨折。一度の大きな衝撃や圧力によって生じる骨折とは区別して、疲労骨折と呼ぶ。筋力や柔軟性が不足した状態で、短期的に過度な動きを行った場合に起こることが多い。基本的には若年層のスポーツ選手などによく見られる症状。原因となる動きがどの部位に負担をかけているかによって、疲労骨折が生じる場所は異なる。下肢に起きることが多いが、肋骨や骨盤などに症状が出るケースも。腰椎の疲労骨折も多く、その場合は腰椎分離症とも呼ばれる。

原因

最も多い原因として挙げられるのは、スポーツによるもの。プロのスポーツ選手に加え、部活に励む中学生・高校生や大学生が発症することも多い。その場合、下肢の骨に発症しやすく、脛骨や腓骨(すねの骨)や中足骨(足の甲の骨)などによく見られる。ランニングやジャンプ動作など、1回に加わる力は小さくても、それが何度も繰り返されることによって該当部位の骨が疲労し、疲労骨折が起きやすい条件が整ってしまう。また仕事や日常生活の中で同じ動作を反復している人にも、疲労骨折の症状が見られることがある。この他、ひどい咳が長期間続くことにより、疲労骨折が肋骨に起きるケースも。女性の場合では、閉経や婦人科系疾患に伴うホルモンバランスの乱れから、骨密度が低下し、骨の組織がもろくなりやすい。こうしたことが誘因となり疲労骨折が起こる場合もある。

症状

初期の段階であれば症状は軽く、原因となった動きをしない限り、日常生活で痛みを感じる場面はあまりない。また運動時に痛みを感じても、それほどひどい痛みではないため、そのまま運動を継続してしまうことが多い。しかし、こうしたことが症状を悪化させる原因となる。疲労骨折が進むと、普通の動作をしただけでも痛みを感じるようになる。疲労骨折している部位に触れられる場合は、押すと痛みを感じる「圧痛」が生じる。病変は徐々に進行し、骨折部では修復に伴う新しい骨ができているため、圧痛を感じる場所が盛り上がっていると、疲労骨折の可能性が高い。腰椎の疲労骨折では、体を後ろのほうへ反らせたときに痛みを感じやすい。

検査・診断

診察を行い、疲労骨折の可能性が高ければエックス線検査やMRI検査を行う。ただし、エックス線では初期の疲労骨折は判別がつかないケースもあり、間隔をあけて複数回検査する必要がある。このため、早期に判断する手段としてはMRI検査のほうが有効となる。また、早期発見の検査としては、骨シンチグラフィーを行うことも考えられる。この他にどの程度症状が進行しているかを確認するため、CT検査を実施する場合もある。

治療

疲労骨折が起きている部位や症状の進行度合いによって、治療内容は異なる。骨は自己修復する性質を持つ。このため、一般的に軽症であれば、運動をやめて安静にすることでほとんどの症状が治癒する。運動を休止する期間は骨が再び接合するまでで、数ヵ月を要することが多い。疲労骨折の状態によってはギプスでの固定や、腰椎であればコルセットを装着が必要となることもある。難治性の場合や完全に折れてしまっているときは、手術を行うこともある。金属製のプレートやネジを使って、骨折した部位を補強して接合していく。こうした素材は埋め込んだままでも問題ないものだが、骨の接合がなされた後に、取り出すための再手術を行うケースも多い。また、腰椎など部位によっては、治療の一環としてリハビリテーションを行うことも骨の修復に一定の効果が見込まれる。

予防/治療後の注意

スポーツに取り組む際は同じトレーニングの繰り返しを避けるなど、負荷が過度にならないように調整していくことが大切。疲労骨折の治療後に運動を再開する場合は、原因となった動きの変更や、靴の中敷きを見直すなどの対策が再発防止につながる。病気や加齢による体の変化が原因となっている場合は、骨密度の低下を防ぐために、栄養バランスの改善や、日光に当たり適度な運動を行うことも有効。疲労骨折は初期に治療できれば治療期間は短くて済むため、早期発見・早期治療が重要なポイントとなる。

新座志木中央総合病院 林 淳慈 院長

こちらの記事の監修医師

新座志木中央総合病院

林 淳慈 院長

1986年、東京医科大学を卒業後、昭和大学藤が丘病院整形外科に入局。1999年、新座志木中央総合病院整形外科部長、昭和大学藤が丘病院整形外科兼任講師に就任。同院の副院長を経て、2013年より現職。人工関節リウマチセンター長を兼任。日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本整形外科学会認定整形外科専門医。