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こちらの記事の監修医師
帝京大学医学部整形外科学講座
教授 帝京大学医学部附属病院・外傷センター長 渡部 欣忍 先生

こっせつ骨折

概要

外力によって、骨の連続性が断たれた状態を「骨折」と呼びます。あらゆる部位の骨に骨折は生じます。骨が完全に折れると、骨片同士が曲がったり、ねじれたり、つぶれたりと“ずれ”を生じます。この“ずれ”のことを「転位」と呼びます。転位のない骨折を「ひび」あるいは「不全骨折」と呼ぶことがあります。骨折を原因で分類すると、外傷性骨折、病的骨折、疲労骨折に分けることができます。骨折を形態(折れ方)で分類すると、横骨折、斜骨折、らせん骨折、粉砕骨折に分けられます。「粉砕骨折」というのは、骨片が3つ以上に分かれた骨折、要するにバラバラになった骨折です。複雑骨折とは呼びません。また、軟部組織(皮膚・筋肉)損傷の程度により、開放骨折と閉鎖骨折(または皮下骨折)に分けます。開放骨折とは創があり骨折部と外界が交通している骨折のことで、合併症(皮膚壊死、感染、癒合不全など)が多く治療が難しい骨折です。骨折の部位、程度、原因、形態、軟部組織損傷により治療法は異なります。

原因

外傷性骨折は、交通事故や転落・転倒などにより大きな外力が一瞬に骨に加わって生じるものです。病的骨折は、骨粗鬆症や骨腫瘍により骨の強度が弱くなったために、小さな外力で生じてしまう骨折です。骨粗鬆症による病的骨折のことを「脆弱性骨折」と呼びます。この場合の小さな外力とは、立った位置からの転倒またはそれより小さな外力です。骨腫瘍による病的骨折は良性、悪性にかかわらず、腫瘍により骨が溶解されて弱くなり骨折します。疲労骨折は、通常では骨折を起こさない程度の外力が長期間にわたって繰り返し負荷され、健常な骨が徐々に損傷する状態です。スポーツ選手の下腿や足部の骨によく発生します。また、高齢者では普通の生活の中での小さな外力の繰り返しにより、疲労骨折の形態として発生する脆弱性骨折もあります。

症状

骨折の症状は、腫脹と皮下出血、疼痛と圧痛、変形と異常可動性、機能障害です。骨の周りには神経や血管が豊富なことから、骨折すると強い痛みと腫れを生じます。骨折部とその周囲からの出血が皮下に広がり、あざができたり、変色したりします。このような皮下出血は徐々に骨折した部位から離れたところまで広がり、数週間は広範囲に及ぶあざができることもあります。転位がない骨折でもその部位を圧迫されると痛みます(圧痛)。転位がある骨折では、外見からも変形や骨折部での異常な動きがわかります。歩けない、動かせないという機能障害も生じます。幼児や高齢者などで、どのように受傷したかや症状を上手く伝えられない場合には、発見が遅れることがあります。神経損傷、コンパートメント症候群、脂肪塞栓症などを合併している場合があります。

検査・診断

骨折した経緯や症状、病歴などを確認し、身体診察を行った上で、打撲や捻挫・脱臼と鑑別するために、単純エックス線写真を撮影します。単純エックス線写真ではわかりにくい骨折を疑う場合や、関節周囲の骨折に対しては、必要に応じてCT検査やMRI検査を追加します。また、子どもの骨は成長による変化が大きく個人差もあり診断が難しいため、受傷側と健常側の両側の単純エックス線写真を撮影して比較することもあります。

治療

骨折の治療は、「整復」と「固定」です。「整復」とは、骨折部の転位をできるだけ元通りの解剖学的(形態学的)な状態に戻すことをいいます。患者の患肢を、医師が引っ張ったり、曲げたりして骨折を整復します。完全に元通りの形態に整復できなくても許容範囲内なら問題はありません。骨折部が再び転位しないように、キャスト(ギプスともいう)やスプリント(シーネともいう)などで「固定」します。骨癒合が進行して再転位を生じないと判断できるまで固定を継続します。このような体外からの、「整復」と「固定」では十分に骨折を治せないと判断した場合には、手術を行います。皮膚を切開して金属製の針金(ワイヤー)、板(プレート)、棒(ネイル)で整復した骨折部を固定します。開放骨折の場合は、折れ方に関係なく手術が必要です。感染の危険性を下げるために、汚染された組織や壊死した組織を外科的に切除する必要があるからです。これをデブリドマンといいます。また、コンパートメント症候群を生じている場合には、骨折治療とは別に緊急に筋膜切開術を行います。多発外傷や多発骨折で出血性ショックを呈する場合には、救急科と連携して治療にあたります。

予防/治療後の注意

自動車に乗るときはシートベルトを着用し安全運転を心がけることや、十分な準備体操を行った上でスポーツをすること、アルコールの飲み過ぎに注意して転倒を防ぐことなど、安全な日常生活を送ることが骨折の予防につながります。高齢者の骨折は、転倒による脆弱性骨折が圧倒的に多いので、骨粗しょう症の治療と転倒防止策が必要です。骨粗しょう症の検査・内服・注射を行うことはもちろん、家の中に手すりを設置したり、滑りにくい靴下を着用したり、バリアフリーの施設を利用したりすることも良いでしょう。

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こちらの記事の監修医師

帝京大学医学部整形外科学講座

教授 帝京大学医学部附属病院・外傷センター長 渡部 欣忍 先生

1987年京都府立医科大学卒業。同大学附属病院研修医。1994年米国 Louisville 大学病院などでの勤務を経て、2004年より帝京大学医学部整形外科学講座教授、2018年より同大学医学部附属病院・外傷センター長。専門は整形外傷後の合併症(骨癒合不全、感染性偽関節、骨髄炎、変形癒合など)。日本整形外科学会整形外科専門医。