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独立行政法人地域医療機能推進機構 東京蒲田医療センター 整形外科部長 宮崎 芳安 先生

こちらの記事の監修医師
独立行政法人地域医療機能推進機構 東京蒲田医療センター
整形外科部長 宮崎 芳安 先生

こつそしょうしょう骨粗しょう症

概要

骨の量が減ることで骨がもろくなり、骨折しやすくなる症状。人間の骨は健康な状態を維持するため、成長期を終えても常に新しく作り替えられている。この骨の新陳代謝のバランスが崩れると骨が弱くなり、骨粗しょう症になる危険が高まる。閉経後の女性に多くみられ、日本では約1000万人以上の患者がいると推定されるが実際に治療を受けている人はまだ少ない。そのため気づかないうちに骨折していたり、骨折から生活の質が低下したりすることもある。女性の症状というイメージがあるが、患者の4人に1人は男性。男性の場合、治療を行わずにいると重症化しやすく、骨粗しょう症を原因とした大きな骨(腰椎や大腿骨など)の骨折を起こすことが多い。早い時期に正確な診断と適切な治療を受けることが大切である。

原因

人間の骨は、古くなった骨を溶かす「破骨細胞」によって血液中にカルシウムを出す「骨吸収」と、新しい骨を作る「骨芽細胞」によって骨が溶けた部分にカルシウムをつける「骨形成」がバランスよく働き、新陳代謝が行われている。加齢や閉経によってこのバランスが崩れると、骨吸収で失われた部分を埋めるための骨形成が追いつかなくなり、骨の量が減って骨粗しょう症が起こる。女性の場合、閉経で女性ホルモンの分泌量が少なくなり、破骨細胞をコントロールしているエストロゲンも低下するため、骨吸収のほうが盛んになってしまい、骨密度が急速に低下する。その他の要因として、カルシウムやビタミンDの不足、コラーゲンの劣化の他、アルコール依存症や胃腸疾患、内分泌疾患などの病気や抗うつ剤など薬の副作用によるものもあり、男性の場合はこれらが原因となることが多い。

症状

骨が弱く、もろくなっていても痛みなどが出ない人も多く、自覚症状が現れにくいが静かに進行していくためサイレント・ディジーズと呼ばれる。初めのうちは背が縮んだ気がする、腰が曲がってきたような気がするという程度だが、進行すると身長が明らかに縮んでくる、背中や腰の曲がりを周りに指摘されるようになる、背中や腰の痛みで寝込むことが増えるといった症状が現れる。背が縮んだり背中や腰に痛みが出たりするのは、脊椎の一部がスカスカになっていつの間にか潰れてしまう圧迫骨折が原因。また転倒やくしゃみなど、ちょっとしたはずみで骨折しやすくなり、特に手首や背骨、太ももの付け根は骨粗しょう症による骨折の頻度が高い。

検査・診断

骨の量や成分、強度を調べる骨密度検査を行うことで診断が確定できる。骨密度測定にはさまざまな方法があり、骨に2種類のエックス線を当てるDXA法をはじめ、エックス線CT装置で手首の骨などの骨量を測る方法、かかとに超音波を当てて測定する方法などもある。骨量は20~44歳の人の平均値との比較で診断され、80%以上であれば正常とされる。他にも骨が作られたり溶け出したりする骨代謝のバランスをみるため、血液検査や尿検査を行う骨代謝マーカーが行われることも。骨代謝マーカーが高いと骨量が減るスピードが速く、骨折のリスクも高いと判断される。骨密度測定の結果と骨代謝マーカー、骨の質などを見て、総合的に診断が行われる。

治療

食事療法や運動療法で生活習慣を改善することが基本的な治療となる。乳製品や小魚、海藻などカルシウムを多く含む食品を摂るだけでなく、カルシウムの吸収を助けるビタミンDやビタミンKが豊富な魚介類や納豆なども積極的に摂るようにして、バランスの良い食事を心がける。また適度な運動は骨量を増やす効果が期待できるだけでなく、バランス運動やストレッチを行うことで転倒しないための筋力やバランス力を身につけることができる。すでに圧迫骨折が起こっている場合や骨密度が低い場合は、骨の吸収を抑える薬や女性ホルモンに似た働きで骨のカルシウムが溶け出すのを防ぐ薬、骨の形成をサポートする副甲状腺ホルモン薬などを服用し、骨密度を高めていく治療を行う。

予防/治療後の注意

日常生活の中でも骨密度の低下を防ぐことが第一。ウォーキング、階段を使うといった運動の他にも、掃除や洗濯、布団の上げ下ろしなどの家事も骨に負荷を与える立派な運動になる。無理のない範囲でこまめに体を動かすことを意識することが大切だ。また、塩分の多い食事やインスタント食品やスナック菓子などを食べすぎると、カルシウムの吸収が妨げられるのでなるべく控え、ビタミンやカルシウムが幅広く摂れるようバランスのよい食事を心がけること。

独立行政法人地域医療機能推進機構 東京蒲田医療センター 整形外科部長 宮崎 芳安 先生

こちらの記事の監修医師

独立行政法人地域医療機能推進機構 東京蒲田医療センター

整形外科部長 宮崎 芳安 先生

1994年東邦大学卒業。同大学病院での勤務を経て2018年から現職。「患者さんが自分らしく生活できるように支えていきたい」という理念のもと、専門の膝関節外科を中心に整形外科全般を診療。日本整形外科学会整形外科専門医。