検査が重要な骨粗しょう症
早期発見・治療で自立した生活を守ろう
古賀整形外科
(荒川区/熊野前駅)
最終更新日:2023/03/31
- 保険診療
加齢によって骨の強度が下がり、骨折しやすい状態になってしまう病気「骨粗しょう症」。高齢の女性に多いとされ、症状が進行すると介護が必要になることも。日本人の健康寿命を縮める主な原因の1つとされている。「古賀整形外科」では、地域の高齢者の健康寿命を守ろうと、骨密度を測定する機器を備え、女性に対して積極的な検査の受診を呼びかけている。長年にわたり骨粗しょう症の患者を診察してきた近藤泰児院長は「まずは自分の骨の状態を知り、医師から予防のための適切なアドバイスを受けることが大切」と話す。骨粗しょう症になりやすい人や骨粗しょう症の主な症状、検査の重要性について話を聞いた。
(取材日2023年3月17日)
目次
女性は50歳を過ぎたら骨密度検査を。背中や腰に違和感を感じたら病気のサインかも
- Q骨粗しょう症はどんな人がなりやすい病気ですか?
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A
骨粗しょう症は、加齢などにより骨の新陳代謝のバランスが崩れ、骨の強さが低下してしまった状態を指します。骨が弱くなるため、尻餅をついたぐらいの衝撃でも骨折するようになります。骨密度が若い人の平均値と比べて70%を下回っている場合、骨粗しょう症と診断されます。骨代謝は女性ホルモンと密接な関係があり閉経した女性に骨粗しょう症が多い理由とされています。遺伝の影響もあるといわれ、親族に骨粗しょう症の人がいたら注意が必要です。また、ステロイドホルモンを長期的に服用している人や、がんによる消耗状態がある人など、内科的な疾患によって骨粗しょう症になる場合もあります。
- Q骨粗しょう症になると、どのような症状が現れますか?
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A
背中や腰が重い、だるい、曲げ伸ばしで痛いといった症状が見られます。進行すると、背中や腰が曲がる、転んだり手をついたりした際に骨折するようになります。目に見える骨折だけでなく、顕微鏡レベルでの骨折や骨の変形なども起こりやすくなります。骨粗しょう症による骨折が原因で、介護が必要になる、または寝たきりの原因になることも少なくありません。しかし、初期の段階では痛みが少ないことや、単なる老化による痛みと勘違いしてしまう人も多く、自分ではなかなか気づきにくいというのがこの病気の怖いところです。たとえ自覚症状がないとしても、女性は50歳になったら積極的に検査を受けてもらいたいですね。
- Qこちらではどのような検査を行うのか教えてください。
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A
レントゲン撮影、骨密度測定、血液・尿検査の3つです。骨粗しょう症の症状が現れやすい背骨のエックス線撮影を行い、椎体変形の有無、椎間板の状態などを判定し、さらに背骨と大腿骨の付け根の骨密度測定を行います。骨密度が低い場合には、血液・尿検査を行い、骨代謝の状態を判定します。これらの検査結果をもとに骨粗しょう症の有無、程度、治療方針についてご説明していくことにしています。
- Q検査を受けるべきタイミングについて教えてください。
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A
女性である場合は、痩せ型の人や親族に骨粗しょう症の人がいる、がんによる手術歴があるという人は、閉経後、50代や60代の時から意識して検査を受けたほうがいいと思います。これらに当てはまらなくとも、70歳を目安に検査を受けるようにしてください。背中や腰にだるさをはじめとした違和感や痛みを感じたら、それは受診のサインです。「年のせい」や「自分は大丈夫」と思わずに、検査を通して自分の骨密度が今どうなっているのかを知る機会を持ってもらえればと思います。検査で異常がない、または経過観察になった場合には、その後も継続して1年に1回のペースで検査を受けることをお勧めします。
- Q骨粗しょう症の予防は将来的にどんなメリットがありますか?
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A
骨粗しょう症の予防が、結果的には介護や寝たきりの予防となり、健康寿命の延伸が期待できることが一番のメリットですね。骨粗しょう症の予防のためにはカルシウムだけでなく、タンパク質やビタミン類もしっかり補える食事が重要です。また、適度な運動も欠かせません。全身運動なら何でもよいですが、ある程度の強度があった方が望ましいと思います。ウォーキングは手軽で有効ですが、週1・2回は早歩きをしてみたり、スキップをしてみたりするとさらに効果的です。年を重ねても自立してご自身の人生を楽しんでもらうために、患者さん一人ひとりに合った予防の方法をアドバイスするようにしています。