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近藤 泰児 院長の独自取材記事

古賀整形外科

(荒川区/熊野前駅)

最終更新日:2023/04/07

近藤泰児院長 古賀整形外科 main

都電荒川線・熊野前駅より徒歩2分。「古賀整形外科」は、1947年から続く歴史ある整形外科だ。「いつまでも自分の足で歩けるように、身の回りのことを自分でできるように」という目標のもと、地域医療の一端を担ってきた同院で、2022年の4月から4代目院長を務めているのは近藤泰児(たいじ)先生。近藤院長は、東京大学医学部附属病院の整形外科をはじめ大規模病院で長期にわたって活躍してきたベテラン医師である。脊椎・脊髄のエキスパートとして研鑽を積み、書籍も発行するなど多忙な医師生活を過ごしながら、新たに同院の院長を引き受けることになった近藤院長に同院にかける想い、患者に対する想いを聞いた。

(取材日2022年12月1日)

脊椎・脊髄の豊富な治療経験を生かして

歴史ある古賀整形外科の院長に就任された経緯を教えてください。

近藤泰児院長 古賀整形外科1

以前勤務していた都立駒込病院と当院は連携しており、手術治療など当院では対応できない患者さんを紹介する間柄でした。その後、私は都立多摩総合医療センターで院長業務をしておりましたが、都立駒込病院でも非常勤として外来を継続していましたので、当院ともそのまま医療連携が続いており、都立多摩総合医療センターを辞めるタイミングで声をかけていただいたのです。もともと当院は、適切な診断ができ、難しい症例や手術が必要な症例は東大系列の関連病院に移すということがしっかりできている医院というイメージがありました。古賀理事長は先輩でしたし、お手伝いできることがあるならば、と引き継がせていただくことにしました。

先生はそれらの大規模病院で、特にどんな治療に力を入れていたのですか?

整形外科医として、力を入れていたのは脊椎・脊髄疾患の診療と人工関節の治療ですね。具体的にいえば、椎間板ヘルニアや脊椎管狭窄症、頸椎症性脊髄症、側彎症などの治療を中心に行っていました。あと数は多くありませんでしたが、レアな治療として転移性脊椎腫瘍の治療もありました。がんの脊椎転移と一括りにしないで、何のがんの脊椎転移なのか、どんな治療をしていたのかなどを細かく分けて、整形外科の医師でありながら元のがんの種類についても知識を持ち、がんのステージや治療方法によってその治療法が手術ではなく、放射線単独など違う方法でもいいのかと主治医とディスカッションしたり、がん種別の手術成績を出したりといったこともしていました。

現在はどんな症状の患者さんが多いですか?

近藤泰児院長 古賀整形外科2

変異性膝関節症と腰部脊柱管狭窄症、変形性腰痛症、変形性頸椎症、四十肩や五十肩が圧倒的に多いですね。あとは、お子さんのケガです。足首の捻挫やアキレス腱など、日常生活やスポーツでケガして来院することもよくあります。患者さんの年代はお子さんもですが、やはり多いのは高齢の方です。

患者ごとに目標のゴールは違う

診療方針を教えてください。

近藤泰児院長 古賀整形外科3

病気を治すことだけが目的ではありません。その方がやりたいこと、目標にしていることができるようになるためのお手伝いをすることが治療方針です。ご本人がどうしても治したいものに対して、それがどう客観的に見ても治る疾患ではないものの場合は、ただ「治らない」と言うのではなく、その疾患をどうやってご自身の生活に組み入れて、ハンディキャップを受け入れ、支障なく生活をしていけるか考えることもお手伝いしています。特に真面目にきっちりされていた方は、何かできないようになると受け入れることが大変です。ですから、私たちは心理面にも配慮して、ご本人の考え方を変えてあげることや「歩行器を使ってみたらどうですか?」などと提案することも診療の一つです。

具体的に教えていただけますか?

一番多いのは背骨ですね。骨粗しょう症で椎体が潰れて背骨が曲がってしまっている方がいますが、その状態に応じて「まずは、これ以上悪くならないようにしましょう」と伝えます。今現在痛みが出ているのは、背中を起こすために姿勢を無理やりつくって負担がかかり、全体に疲労痛が出ていますとお伝えしています。そこで私が背骨を手で支えて、若い時のような状態にしてあげて、「本来はこういう形にならないといけないけれど、エックス線を見るとそれは難しい、現状では手術もできないよね」という話をすると、自分の症状を理解してくれると思います。その後、「これ以上に潰れないように骨粗しょう症の検査と治療をちゃんとしましょう」などと伝え、生活が行いやすいようなアドバイスも同時にお伝えしています。それで患者さんの目標が変わって、明るくなってくださったらうれしいですね。当院に通っているうちにお友達ができたりする方もいるようです。

患者さんと接する時に心がけていることはありますか?

近藤泰児院長 古賀整形外科4

初診時やフォローアップの時にはその人が話をしやすい環境をつくるようにしています。例えば、注射治療が5回なら、4回目くらいまでは話を聞きながら治療をしますが、4回終わった時には、少しゆっくり時間をとって改めて話を聞いています。治療は、患者さんとの共同作業だと思っています。こちらが「必ずこうしなさい」と言っているわけではありません。変形膝関節症で変形がひどい場合でも、膝の周りの筋力があって関節内注射治療で痛みが軽くなり、片脚で膝の屈伸が出来る方は、患者さんの希望も聞きながら手術を勧めないこともあります。オーバーウェイトの方には、減量指導をしますが、ただ痩せなさいというだけでなく、運動に関しては「少し負荷のかかるウエイトレーニングを週に1度」など具体的に伝えています。同時に食生活についてその方の目的や状態に合わせてアドバイスをしています。

将来介護が必要にならないように運動器維持をサポート

先生が整形外科の医師をめざしたのはどうしてですか?

近藤泰児院長 古賀整形外科5

父は漢方もやっている精神科の医師でしたが、私自身が中学生の頃にカエルの解剖で気を失うくらい解剖は苦手でしたので、外交官などもいいかなと思っていました。ただ父から、「とりあえず東大の医学部に進み進学課程まで行けばつぶしが利くから、後から工学部にも文系にも進めるよ」と言われ医学部に行きました。でも、いざ入学すると周囲の環境もあって、だんだん医師もいいかなと思うようになりましたね。父に騙されました(笑)。スポーツや体を動かすことが好きだったので、外科系に進もうと決め、外科の中でも神経に興味があったので、脊椎・脊髄系がいいかなと思い整形外科の医師になりました。整形外科は運動器全体を扱うし、バラエティーに富んでいるしやりがいがありますね。

今でも運動はお好きなのですか?

スキーとテニスとバスケットボールをやっています。それからトライアスロンのオリンピックディスタンスにも出場しています。トライアスロンといっても、オリンピックディスタンスなので1.5キロのスイム、40キロの自転車、10キロのランですが、1.5キロのスイムが私にとってきついので毎週泳いで練習していますし、夏場はランニングもしています。ただ、プールで泳ぐのとは環境も必要な体力もまったく違いますから、大変ですね。トライアスロンを始めたのは61歳でした。ランニングは40代後半だし、スキーの指導員を取ったのも40代ですので、早く始めなくても楽しめることを実感しています。スポーツはもともと好きでしたが、テニスやスキー、バスケットボールの損傷で来られる患者さんは多いですから、競技の経験が治療に役立つことも多いですよ。

今後の展望と読者にメッセージをお願いします。

近藤泰児院長 古賀整形外科6

当院の診療設備については、22年には、電子カルテ、診断用超音波機器の導入、レントゲン撮影設備更新を行いましたが、リハビリ関連の設備の更新も必要です。ただ、人に関しては、理学療法士も看護師も信頼できる人材がそろっています。スタッフみんなで協力してこの医院を発展させたいです。人生100年時代になりました。いつまでも自立した生活ができ、将来介護が必要にならないように地域の方々のお手伝いをしたいと思っています。注射だけに来るような利用の仕方ではなく、全体的な運動器の健康維持などの相談に利用されてもいいかなと思います。気軽に受診してください。

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