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同愛記念病院 アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生

こちらの記事の監修医師
同愛記念病院
アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生

はいきしゅ肺気腫

概要

肺や気管支に炎症が起き、それが長い期間継続することで、肺胞(肺の中を通る気管支の末端にある小さな袋状の組織)が破壊されてしまう病気。この肺胞の壁が壊れることで、隣り合う肺胞同士が結合し、肺の中がスカスカの状態になってしまうことから、呼吸障害などを引き起こす。基本的に、破壊された肺胞を元どおりに治すことはできない。初期は自覚症状が乏しく、進行もゆっくり進むため、症状が悪化してから発見されるケースも多い。肺気腫とよく似た疾患に慢性気管支炎があり、2つを併発する患者が多いことから、両方合わせて慢性閉塞性肺疾患(COPD)とも呼ぶ。

原因

肺胞が破壊された肺は弾力を失った状態になっており、吸い込んだ息をうまく吐き出せなくなる。この結果、少し動いただけでも息切れするなど、呼吸障害を引き起こす。肺胞が破壊される原因として挙げられているのが、有害な物質を長期間吸入すること。特にタバコとの相関関係が強く指摘されており、実際に肺気腫の患者のほとんどが喫煙者である。さらに、喫煙歴が長く、本数もより多く吸っている人のほうが、肺気腫にかかる傾向が高い。加齢によっても肺のしなやかさは失われていくので、若い時からタバコを吸い始めた高齢者は発症のリスクが高まる。また非喫煙者であっても、常にタバコの煙が周囲にあるような受動喫煙の状況に長い間いると、発症する可能性がある。この他、有害物質にさらされる環境下での労働、大気汚染や遺伝なども原因となりうる。

症状

主な症状として、運動時の息切れが挙げられる。これは特に激しい運動ではなく、例えば階段をのぼるといった軽い動きであっても、少し動いただけで息苦しさを感じるようになる。ただし、初期であれば少し経てば収まることも多い。また、肺気腫を発症する患者は慢性気管支炎も併発していることがほとんどのため、気管支炎の症状として咳やたんが出やすい。呼吸時に「ゼーゼー」、「ヒューヒュー」と音が鳴る喘鳴(ぜんめい)の症状が出る場合もある。症状が進行すると、安静時でも息苦しさを感じるようになる。この他、体重が減少し、痩せるといった症状が見られることも。

検査・診断

胸部エックス線検査を行って肺の状態を確認し、さらに精密な検査が必要な場合はCT検査を行う。また、呼吸時に空気を吐く力を測定する機器を使い、呼吸機能を評価するための検査、スパイロメトリーも実施する。これは、閉塞性換気障害と呼ばれる障害があるかどうか、障害があるとすれば、どのくらいの程度かを調べるもの。1秒間で吐ける息の量を1秒量として測定する。その結果、70%以下という数値が出れば閉塞性換気障害となり、数値が低くなるほど症状が進行して重症度が高いと判断される。他には、たんを採取しての検査や血液検査、心電図、心臓エコーなど、状況に応じて検査を行う。

治療

破壊されてしまった肺胞を元どおりに治すことはできない。このため根治を目的にした治療ではなく、病気が進行しないように食い止めたり、出ている症状を緩和したりするための治療を行う。喫煙者である場合は、まずは禁煙することが何よりも重要となる。加えて、薬物治療として、息苦しさをやわらげるために気管支拡張薬やステロイドなどの抗炎症薬を投与する。状態に応じて、咳やたんを抑える薬や、細菌に感染している場合は抗菌薬を用いることも。また、衰えてしまった呼吸機能を回復するための呼吸リハビリテーションを併せて行うことも有効。口を細くすぼめて、ゆっくり息を吐く口すぼめ呼吸や腹式呼吸を続けることで、呼吸時の息苦しさを軽減することにつながる。少しずつ負荷を上げていく運動療法も運動能力向上のために効果があるとされている。重症化している場合は、鼻にチューブを装着して酸素ボンベから酸素を吸入する、宅酸素療法を行う。

予防/治療後の注意

予防をする上で最も大切なことは、喫煙者であればできるだけ早く禁煙すること。また、肺気腫は初期の段階では症状が出にくいため、定期的に健康診断を受けて早期発見・早期治療につなげることが重要となる。肺気腫を患っている人は、風邪インフルエンザなどにかかると急性増悪と呼ばれる状態になり、症状が一気に悪化して命に関わるケースもある。このため、日頃から手洗いとうがいを徹底し、ウイルスや細菌の感染を防ぐことも大切。

同愛記念病院 アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生

こちらの記事の監修医師

同愛記念病院

アレルギー呼吸器科部長 黨(とう)康夫 先生

1991年佐賀医科大学卒業。国立国際医療研究センター、東京大学、都立駒込病院、英国インペリアルカレッジ留学を経て2008年より現職。専門領域の講演・論文多数。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。