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横浜新都市脳神経外科 院長 森本 将史 先生

こちらの記事の監修医師
横浜新都市脳神経外科
院長 森本 将史 先生

のうしゅよう脳腫瘍

概要

頭蓋骨の内側にできた腫瘍の総称。頭蓋骨の中は、脳実質と呼ばれる脳本体を中心に、脳実質外の組織である、脳を包む膜や脳神経、下垂体などで構成されており、これらの各部位からさまざまな種類の腫瘍が発生する。脳腫瘍は、その場所から生じた原発性脳腫瘍と、体の他の部位のがんが転移してきた転移性腫瘍とに分けられる。原発性脳腫瘍については、検査を経てさらに150以上に分類される他、良性腫瘍と悪性腫瘍にも大別される。良性腫瘍と悪性腫瘍では発症する部位が異なり、腫瘍が増殖する速度は良性のほうが遅い。脳腫瘍の患者数は10万人に10~15人程度とされ、あらゆる世代に見られるのが特徴。

原因

原発性脳腫瘍の主なものに、神経膠腫(しんけいこうしゅ、グリオーマとも呼ばれる)、中枢神経系原発悪性リンパ腫、髄膜腫(ずいまくしゅ)、下垂体腺腫、神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)、頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)などが挙げられる。このような原発性脳腫瘍の原因として、遺伝子の変異などいくつか疑われている要因はあるが、実際はまだ不明なことが多く、現在でもはっきりとした原因は特定されていない。髄膜腫については、女性の患者が多いことから、女性ホルモンと関連があるという説もある。転移性脳腫瘍については、全身にできたがんが転移して引き起こされる。特に原発がんとしては肺がんが最も多く、次に乳がんが多い。その場合は、それぞれのがんによって原因は異なる。また他に、白血病のための放射線治療が原因で脳腫瘍ができるケースもある。

症状

腫瘍の種類に関係なく多くに共通して起こる症状として、頭蓋内圧亢進症状(ずがいないあつこうしんしょうじょう)がある。これは腫瘍によって頭蓋骨内部の圧力が高まるために起こる症状で、頭痛や吐き気、視力障害や意識障害などがみられ、朝起きた時に症状が強く出るのが特徴。一般的に、痛みは急激ではなく、ゆっくり痛くなることが多い。他に、腫瘍ができる部位によっては、まひや言語障害、性格の変化、ホルモンの過剰分泌など、さまざまな局所症状(巣症状)が引き起こされる。また、成人になってからけいれん症状があった場合は、側頭葉にできた腫瘍が原因のてんかん発作を疑う必要がある。

検査・診断

CTやMRI、PET(陽電子放射断層撮影)などを用いた画像検査を行うことによって、脳腫瘍がある位置やどれくらいの大きさか、といったことが判断できる。また、脳に栄養を供給している血管と腫瘍との関係を見るため、造影剤を用いた脳血管造影検査を行うこともある。その他、SPECT(脳血流シンチグラフィー)、腫瘍マーカーなどの検査を追加する場合もある。ただし脳腫瘍と一口に言っても、原発性脳腫瘍ではその分類が150以上に細かく分かれることからも分かるように、それぞれの症状や特徴はさまざま。このために最終的な確定診断は、手術中の病理診断で判明する場合が多い。

治療

症状がない良性腫瘍の場合は、経過観察をすることもあるが、治療が必要な場合は腫瘍を除去する手術が基本となる。腫瘍の性質や部位によっては、術後の生活に影響が出るケースもあるため、脳の機能を温存しながら、どこまで腫瘍を取り除けるかが問題になることもある。こうした判断は、病理診断とも合わせ、実際の手術中に行われることも多い。腫瘍が全部切除できなかったり、術後の組織検査で悪性腫瘍とわかった場合などには、さらに放射線治療や化学療法(抗がん剤治療)などを組み合わせて行う。放射線照射については、通常の治療の他に、腫瘍の状況によってはガンマナイフ、サイバーナイフなどの方法が使い分けられる。ガンマナイフやサイバーナイフは、ピンポイントで腫瘍に放射線を照射することができるので、外科的手術が難しい部位でも治療することが可能。

予防/治療後の注意

原因が特定されていないため具体的に予防するのは難しいが、基本的には生活習慣病に気をつけるなど、まずはがん予防に有効とされる健康的な日常生活を送るようにしたい。最近では脳ドックを行う医療機関も増えており、検査によって脳腫瘍が発見されることもある。起床時に強い頭痛がする、食事と関係なく吐き気を伴わない状態での嘔吐、視力がおかしい、大人になってから初めてけいれん発作を起こした、といった症状がみられた場合は、脳腫瘍の可能性もあるため、早急に医療機関を受診したい。

横浜新都市脳神経外科 院長 森本 将史 先生

こちらの記事の監修医師

横浜新都市脳神経外科

院長 森本 将史 先生

1993年京都大学医学部卒業。2002年同大学院医学研究科修了。同医学部附属病院、国立循環器病研究センター、Center for Transgene Technology and Gene Therapyでの勤務を経て、2010年に横浜新都市脳神経外科病院の脳神経外科部長に就任。2011年から現職。専門分野は脳動脈瘤、バイパスなどの血行再建手術、血管内手術などの脳血管障害、脳腫瘍。