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原因を探りつらい痛みから卒業めざす
片頭痛の治療と予防について

宮前平脳神経外科クリニック

(川崎市宮前区/宮前平駅)

最終更新日:2023/10/11

宮前平脳神経外科クリニック 原因を探りつらい痛みから卒業めざす 片頭痛の治療と予防について 宮前平脳神経外科クリニック 原因を探りつらい痛みから卒業めざす 片頭痛の治療と予防について
  • 保険診療

あまりにも身近な症状である頭痛だが、ありふれた存在の影に大きなリスクが潜んでいることもあるという。「一番のリスクは脳出血や脳梗塞、脳腫瘍など生命に関わる重篤な疾患を見逃してしまうこと。他にも、自己判断により市販薬の服用を長期間続けることで、新たな症状を引き起こしてしまうといったリスクもあります」と、川崎市宮前区で「宮前平脳神経外科クリニック」を運営する上野龍院長は話す。新鋭のMRIを備え、脳疾患の早期発見に努める同院では、頭痛の鑑別と治療、予防に力を注いでいるという。片頭痛への新たな注射薬による予防にも対応している。いわば頭痛のエキスパートとして頭痛に悩む人々のニーズに応える上野院長に、片頭痛を中心とした頭痛とその治療について聞いた。

(取材日2023年3月2日)

MRIで脳疾患のリスクを除外、頭痛の原因を探り適切な治療へとつなげる

Q頭痛にも種類があるそうですね。
A
宮前平脳神経外科クリニック 日常の中の些細な症状も診察の際に伝えることが大切

▲日常の中の些細な症状も診察の際に伝えることが大切

日本国民の4人に1人が悩んでいるといわれるほどありふれた症状である頭痛ですが、その原因はさまざまです。国際頭痛分類(ICHD-3)では小項目を含めると300以上の頭痛が定義されていますが、大きく、脳に病変を認められない一次性頭痛と、脳出血やくも膜下出血、脳梗塞、脳腫瘍などの疾患に起因する二次性頭痛に分けられます。二次性頭痛を引き起こす原因疾患は、生命に関わるものも多く、手術など緊急対応が求められるケースも少なくありません。早期に病変を見つけ、適切に対応することが重要です。対して一次性頭痛ではただちに生命に関わることはありませんが、生活の質(QOL)を大きく低下させてしまいます。

Q片頭痛とはどのような頭痛ですか?
A
宮前平脳神経外科クリニック 上野院長はわかりやすい説明を心がけている

▲上野院長はわかりやすい説明を心がけている

一次性頭痛で多いのが、首や後頭部の筋肉が過度に緊張することで起こる緊張型頭痛と周期的に激しい痛みが続く群発頭痛、こめかみ辺りにズキズキと脈打つように痛む片頭痛です。従来、片頭痛は脳の血管が急拡張することで起こるとされてきましたが、近年ではセロトニンやCGRPといった神経伝達物質がこのきっかけとなると指摘されています。片頭痛では激しい頭痛に吐き気や光や音に敏感になるといった症状が伴うことや、前兆として視野にキラキラとした光が現れ、見えづらさを感じる「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる視覚症状が出ることもあります。症状は数時間でおさまることもあれば、数日にわたって続くこともあります。

Qどのように診断するのでしょうか。
A
宮前平脳神経外科クリニック MRI検査などで精密検査を行い、脳の状態を把握

▲MRI検査などで精密検査を行い、脳の状態を把握

頭痛の診断では、まず二次性頭痛である可能性を除外することが必要です。そのため、MRIなどの画像診断を行い、くも膜下出血や脳出血、脳梗塞、脳腫瘍などの異常がないかを確認します。MRI検査により二次性頭痛でないことがわかれば、国際頭痛分類と診断基準に従って診断します。どの部分にどのような痛みが、どのくらいの時間続くかに加え、痛みの頻度や歩行や階段昇降などの動作によりひどくなるかどうかなど、症状についての詳しい問診を行い、得られた情報をもとに慎重に診断することになります。

Q片頭痛の治療法や放置するリスクを教えてください。
A
宮前平脳神経外科クリニック 定期的な診察を行いながら、治療を進める

▲定期的な診察を行いながら、治療を進める

片頭痛と診断されれば、投薬による治療に入ります。痛みを抑えるための鎮痛薬や吐き気を抑えるための制吐薬を用いて、症状のコントロールを図ります。痛みが頻繁だったり、長く続くというケースでは、こうした急性期治療と並行して予防的なアプローチも行います。片頭痛に限らず頭痛薬を用いながら我慢しているという人が多いようですが、頻度が高い場合、薬物性腎障害や胃潰瘍などを引き起こしてしまうことも。また、鎮痛薬の内服自体が頭痛の原因となる薬物乱用頭痛を起こしてしまうケースもあります。週に2度、3度と鎮痛薬を使用しているのであれば、一度受診して専門診療を受けられることをお勧めします。

Q片頭痛を予防することはできるのでしょうか。
A
宮前平脳神経外科クリニック 治療法の進歩により、頭痛を予防していくことも可能

▲治療法の進歩により、頭痛を予防していくことも可能

片頭痛は薬で予防を図ることも可能です。予防薬には内服薬と、近年登場した注射薬があります。従来の内服薬で効果に至らなかった方に勧められる注射薬は、原因となるCGRPを抑制し、片頭痛の発生回数を抑えていくことが期待できる薬です。月に一度の受診が必要であり、高価な薬であるため保険診療でも比較的大きな自己負担が求められますが、長年つらい頭痛に悩まされ続けてきた人にとっては大きな救いとなると思います。また、疲労やストレス、睡眠不足などが頭痛を引き起こすケースもあるので、無理なく規則正しい生活を送るよう心がけましょう。症状に関わる月経周期や気温、気圧の変化などに意識を向けることも大切です。

ドクターからのメッセージ

上野 龍院長

あまりにありふれた症状である頭痛は、自身で対処しているという人も多いもの。とはいえ、身近な頭痛の影に、生命に関わる重篤な病気のリスクが隠れているケースもあります。また、自己判断により市販の鎮痛剤を飲み続けることが、頭痛自体をひどくしてしまっていることもあるのです。何より、適切な治療により頭痛の発生頻度を抑えることにつながれば、生活の質(QOL)も大きく向上することが期待できます。「たかが頭痛」と軽んじることは、決して良い結果につながることはありません。つらい頭痛は我慢することなく、専門知識を持ち、多くの症例にあたっている医師に、早めにご相談いただければと思います。

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