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こちらの記事の監修医師
医療法人社団仁和会 さがみ仁和会病院
竹中 晴幸病院長

にゅうがん乳がん

概要

乳汁を分泌する組織である乳腺から発生するがんで、日本人女性のがんの中で最も多い。しかし早期に発見することができれば、比較的治りやすく、死亡数は第5位となっている。患者数は年々増加傾向にあり、罹患率は40代後半にピークを迎える。他のがんと比べて患者の年齢層が若いのも特徴の一つである。乳房には、乳頭を中心に母乳の通り道である乳管が放射状に広がっていて、その末端に母乳を作る小葉と呼ばれる組織がついている。乳がんの約90%はこの乳管から発生する「乳管がん」とされる。また、小葉に発生する乳がんは「小葉がん」と呼ばれる。

原因

乳がんが発生する原因はまだわからない部分が多いものの、乳がんの発生や進展には、エストロゲンという女性ホルモンが重要な働きをしていることが分かっている。乳がんの発生には、以下のリスク要因が挙げられる。1.初経年齢が早い、2.閉経年齢が遅い、3.出産経験がない、4.初産年齢が高い、5.授乳経験がない、6.閉経後の肥満、7.飲酒の習慣がある、8.1親等の血縁者に乳がんや卵巣がんの患者がいる、9.良性乳腺疾患の既往歴がある。以上はエストロゲンの影響を受けるものがほとんどである。この他、喫煙も乳がんリスクを高める要因になる可能性があることがわかっている。また、エストロゲンとプロゲスチンを併用したホルモン補充療法を行っている場合や糖尿病の場合、経口避妊薬を長期間服用している場合も乳がんリスクを高める状況にあるため積極的に検診を受けておく必要があるといえる。

症状

初期の場合、痛みはほとんどない。乳がんが見つかった人の多くにしこりの症状があり、乳房に触れると、硬く石ころのような感触がある。その他、乳房の皮膚にえくぼのようなくぼみや腫れ、部分的な赤み、潰瘍が現れたり、乳頭のへこみや片寄り、乳頭から血性分泌物が出るといった症状が現れたりする。なお、乳房に痛みが出る場合、乳がんの可能性は低く、乳腺症や乳腺炎が疑われる。

検査・診断

問診で授乳歴や家族歴などから乳がん発生のリスクを調べる。視診、触診で乳腺腫瘤の有無を調べる他、軽く乳頭をつまんで血性乳汁の有無を調べたり、腋窩リンパ節の腫大を調べたりする。主として行われる画像検査はマンモグラフィと超音波検査である。どちらの検査でも腫瘤陰影、乳腺の乱れ、石灰化などの所見を見ることができる。マンモグラフィは石灰化所見の発見に超音波検査より有用であるが、若年者や授乳歴のない女性では、乳腺の重なりが多く(高濃度乳腺)腫瘤陰影が隠れてしまう場合がある。一般的に50歳以上ではマンモグラフィのほうが、40歳以下では超音波検査のほうががんの発見に有用とされている。また、がんの疑いがあった場合、確定検査として、穿刺吸引細胞診や針生検といった病理学的検査も行われる。

治療

手術治療、薬物治療、放射線治療がある。手術治療には乳房の一部を取り除き、残存乳房に放射線治療を行う乳房温存療法や乳房全切除がある。その適応は病期や腫瘤の性質、患者の希望を含めて総合的な観点から判断する。また最近は乳房切除後の乳房再建も積極的に行われている。腋窩リンパ節についてはセンチネルリンパ節生検が行われ、病理診断で転移がなければ腋窩リンパ節の全切除(郭清)はなされず、患側上肢のリンパ浮腫発生が抑えられる。薬物治療には化学療法(抗がん剤)と内分泌療法があるが、その選択はホルモン受容体やHER2遺伝子の有無、がん細胞の悪性度などを分子学的検査(Luminal分類)で確認した上で決めている。薬物治療は近年、分子標的治療薬の開発など急速に進歩しており、生存率の向上に寄与している。

予防/治療後の注意

飲酒や喫煙、肥満などが乳がんの発生率を高めることがわかっており、適度な運動やバランスの取れた食事など、生活習慣を整えることが予防につながる。早期発見のためには、毎月決まった日に、乳房のしこりやへこみの有無、皮膚の色の変化を確認する習慣を身につけ、自己診断をするのが理想といえる。一方、治療後はできるだけ無理をせず、特に腋窩リンパ節を取った場合は免疫力が低下しているため、感染症に注意すること。また、定期的に乳がん検診を受けることも忘れずに。

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こちらの記事の監修医師

医療法人社団仁和会 さがみ仁和会病院

竹中 晴幸病院長

1982年、北里大学卒業。乳腺外科を専門に「東芝林間病院」乳腺外科部長などを歴任後、2018年「さがみ仁和会病院」病院長に就任。院内に乳腺疾患診療部門を立ち上げ、乳がんをはじめとする乳腺疾患の診断治療に精力的に取り組む。日本乳癌学会乳腺専門医。