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こちらの記事の監修医師
東邦大学医療センター大橋病院 婦人科
田中 京子 先生

らんそうがん卵巣がん

概要

子宮の両脇にある卵巣で発生するがん。発生する場所によって表層上皮性・胚細胞性・性索間質性などの種類があるが、90%以上が上皮性とされる。欧米人に多く日本人は少ないといわれてきたが、食事の欧米化によって日本でも近年増加傾向にある。閉経前後や、妊娠・出産を経験したことがない女性、母や姉妹が卵巣がんの場合に発症のリスクが高いとされるが、若い女性にも多く初期にはほとんど自覚症状がないので、女性であれば誰でも注意が必要。手術によってできる限り腫瘍を切除したり、抗がん剤を用いた化学療法を行ったりといった治療が主となる。

原因

卵巣がんは複数の要因が関与して発生するといわれている。遺伝的関与は10%程度と考えられているが、母や姉妹などの近親者に卵巣がんを発症した人間がいる場合は、発症した人間がいない場合と比較して発症の確率が高くなる傾向にある。子宮内膜症・骨盤内炎症性疾患・多のう胞性卵巣症候群などの疾患も卵巣がんの原因となり得る。その他にも長年にわたるホルモン補充療法、肥満・食事などの生活習慣、排卵誘発剤の使用なども要因と考えられている。また排卵の回数が多いほど卵巣がんを発症しやすいといわれているため、妊娠や出産の経験が少ない人、閉経が遅い人は発症の確率が高くなる可能性がある。

症状

下腹部違和感や下腹痛、腹部膨満感、不正出血、便秘、頻尿、食欲不振などの症状が見られることもあるが、特徴的な初期症状はほぼない。進行して腹腔内の臓器にがん細胞が散らばって転移すると、腹部や胸に水がたまって腹部全体に張りを感じたり、息切れしたりといった症状が出ることもある。これらの症状が気になって医療機関を受診した時点では、すでにがんが進行しているケースが少なくない。卵巣がんは婦人科検診で偶然発見される場合や、腹水、胸水など卵巣がんが他の部位に転移したことによる症状で初めて異常を自覚する場合がほとんどで、早期発見は難しいとされる。

検査・診断

腟から指を入れて子宮や卵巣の状態を調べる内診や、直腸やその周囲に異常がないかをお尻から指を入れて調べる直腸診、超音波(エコー)検査機器やCT、MRIによる検査などがある。その他、血液検査で腫瘍マーカーを調べることもある。腫瘍マーカーは体にがんが潜んでいると異常値を示し、それによってがんを発見する血液検査の項目である。卵巣がんの場合はがんである可能性を探るとともに、転移・再発の指標、治療の効果を判定するためにも使用されている。卵巣は、直接外から組織を採取できない臓器のため、良性か悪性かの判断をするには、手術で腫瘍を摘出し組織を顕微鏡で調べる病理検査を行う必要がある。

治療

がんのステージや年齢、合併症の有無など患者の状態に応じて選択されるが、基本的には外科的手術と抗がん剤治療を組み合わせて行う。広範囲に転移があり手術によって完全にがんを切除できない場合には、最初に抗がん剤を用いてがんを小さくしてから手術することも多い。卵巣がんは、抗がん剤が効きやすいがんだといわれている。また再発しやすいため、手術後に化学療法で再発を予防することもある。手術を行う場合は、卵巣・卵管・子宮・大網を切除するのが通常だが、後腹膜リンパ節・腸管・脾臓などを切除することもある。将来子どもを生むことを希望している女性は、治療にあたっては医師らと十分に話し合ったうえで治療法を選択することが大切だ。脳や骨などへの転移を緩和するために、高エネルギーのエックス線などでがん細胞を小さくする放射線治療を行うケースもある。

予防/治療後の注意

バランスの良い食事、適度な運動、過度の喫煙と飲酒に気をつけるなど、生活習慣を整えることが予防への第一歩。また、低用量ピルで卵巣にかかる負担を軽減することも予防に効果的とされる。さらに、定期的に婦人科検診を受けることも大切。症状を自覚しにくい卵巣がんは、どうしても受診が遅れがちになる。早期発見・早期治療を実現するためにも、特に違和感を感じなくとも定期的に検診を受けたり、少しでも体に異常を感じたら迅速に受診することが重要だ。

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こちらの記事の監修医師

東邦大学医療センター大橋病院 婦人科

田中 京子 先生

慶応義塾大学卒業後、同大学病院、国立病院機構埼玉病院産婦人科医長を経て、東邦大学医療センター大橋病院の准教授へ就任。日本産婦人科学会産婦人科専門医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医の資格を持つ。