経鼻内視鏡、漢方治療、がん検診
専門に診てもらうメリット
磯部内科医院
(名古屋市東区/大曽根駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
皆さんは「総合診療」や「総合内科」という言葉をご存知だろうか? 体調不良の原因は往々にして突き止めることが困難で治療法もさまざま。しかし医師は専門分野別に分かれていることが多く、不調の真の原因にたどりつくまでに時間がかかってしまう場合も多い。そこで、患者の体を包括的に診る力を持つ医師が求められており、それがこの「総合診療」や「総合内科」にあたる。ではその総合的な診療の中身とは? 「磯部内科医院」の院長で、日本内科学会総合内科専門医、日本超音波医学会超音波専門医、ならびに日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、加えて日本東洋医学会漢方専門医でもある伊吹恵里先生に、それぞれの専門医師として各種検査の重要性や漢方を用いた東洋医学による治療アプローチについて話を聞いた。
(取材日2016年11月8日)
目次
経鼻内視鏡検査と超音波検査、両方で広範囲を検査 。西洋と東洋医学、その人に合った治療方法を提案
- Q経鼻内視鏡検査の特徴やメリットを教えてください。
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A
当院では鼻から挿入する経鼻内視鏡を使って検査を行っています。これまで、口からの内視鏡で苦しい思いをされた方は体の負担が軽いという面で経鼻内視鏡検査がお勧めです。内視鏡検査では、食道、胃、十二指腸の観察を行い、ポリープ、がんや逆流性食道炎などの疾患がないかを確認します。異常を見つけた場合にはその場で組織を一部取り出して顕微鏡検査をして、さらに専門的な治療が必要な疾患であるかどうかの判定につなげることも可能です。経鼻内視鏡検査は、バリウムを用いたエックス線検査よりも精密な検査が可能で、その後の専門的な治療に早期に結びつけるスクリーニング(診断の入り口)検査として非常に有用です。
- Q超音波検査はどのような症状に対処するのですか?
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A
超音波検査(エコー)をする患者さんの訴えで多いのが腹痛や腰背部痛です。胃の痛みだと思っていても実は胃が原因ではなく、胆嚢、肝臓、膵臓や、さらには狭心症や動脈疾患などが原因であることも多々あります。これらの疾患の診断には超音波検査や心電図などでカバーします。超音波検査は、胆石、胆のうがん、肝がん、膵がん、腎臓結石、尿管結石などの診断にとても有用です。また、乳がんへの不安を持つ女性にとっても超音波検査は強い味方です。一般的に乳がん検診はマンモグラフィで行われていますが、若い女性ではより体に負担の少ない超音波検査をまず受けることをお勧めしています。いずれの検査も所要時間は15~20分程度です。
- Q検査を専門の医師に診てもらうことが大切なんですね。
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A
もちろん、患者さんの状態を把握する上で体の聴診・触診などの一般的な内科診察も重要なので丁寧に行っています。それに加えて内視鏡検査と超音波検査など複数の検査を併用することで、消化管(胃や腸)ならびに肝・胆・膵など消化器系の疾患から心臓や全身の血管系疾患に至るまで消化器内視鏡専門医 ・超音波専門医の視点で広い範囲をカバーしますので、より詳しい診断に結びつけられます。人間が感じる「痛み」の原因は本当に千差万別です。体のどこの痛みであっても、それがいち早く処置を必要とするものであるのか、何が原因であるかを突き止めることを常に心がけて検査にあたっています。それが総合内科専門医の使命であると考えています。
- Q先生のご専門の一つ、漢方治療とはどのような治療ですか?
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A
漢方治療がめざす一つに「未病」を治すという考え方があります。病気は軽いうちに、または病気になってしまう前に未然に治しましょう、という考え方で予防医学的な側面もあります。病態が悪化する前に、体を中庸(ちゅうよう・ニュートラルのこと)の状態に戻しましょうという発想です。女性は特に月経などが原因で体のバランスを崩すことがよく見られます。また、女性のみならず男性の更年期症状に対しても漢方治療で対応できることがあります 。患者さんごとに合わせた漢方治療を提案させていただきますのでぜひご相談ください。インフルエンザ、アレルギー性鼻炎や喘息などに即効性が期待できる漢方があることもぜひ知っていただきたいです。
- Q具体的な漢方治療のメリットを教えて下さい。
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A
東洋医学では、例えば体力低下や疲労など体の弱っている状態を改善するための治療として「補剤」という考え方があります。西洋薬は悪いところを攻撃してそれをつぶすという発想の薬が多いのですが「補剤」は体の弱った状態を持ち上げ、同時に心を癒やしながら、不足してる要素を補う方向に向けて穏やかに体全体を治療していきます。心身のストレスが多い現代にはぴったりの治療法とも言えます。また、抗がん剤など西洋薬の副作用(下痢・口内炎・しびれなど)を軽減する役割としても漢方薬は広く使われています。漢方薬自体に副作用が少ないことがメリットですが、長期間の連用で副反応が出ることもありますのでその点は注意深く処方しています。