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こちらの記事の監修医師
血液内科長 野口 雅章 先生

とくはつせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう特発性血小板減少性紫斑病

概要

血小板の表面の抗原と反応する自己抗体が産生され、血小板が脾臓で破壊されてしまう自己免疫疾患。厚生労働省の指定難病の一つ。「免疫性血小板減少症」とも呼ばれる。小児では急激に発症し、数週間から数ヵ月のうちに自然治癒する急性型が多く、ウイルス感染や予防接種がきっかけとなり、おおよそ6ヵ月以内に治癒する。成人では長期的に持続する慢性型が多いが、原因は特定できないことがほとんど。また、慢性型は20代女性および中高年の男女に多い傾向がある。

原因

何らかの原因で血小板膜上の糖タンパクに対する自己抗体が産生され、血液中で血小板に結合する。この血小板が脾臓などに取り込まれることにより細胞(マクロファージ)に破壊され、血小板が少なくなる。この血小板抗体は骨髄での血小板産生能も傷害し、血小板産生を低下させるともいわれている。ただなぜこのようになるのかといった根本的な原因は不明で、抗体産生機序についても不明である。一部胃のヘリコバクター・ピロリ菌の関与がある。小児はウイルス感染や予防接種を先行事象とする場合が多い。

症状

主な症状として、出血傾向が見られる。歯を磨くと血が出る歯肉出血、鼻血が止まりにくい鼻出血、大きなあざができる皮下出血、月経時の出血が止まりにくい性器出血、便に血が混じる血便などがある。この他にも皮膚に赤色や紫色の点状や斑状の内出血がみられる、小さな傷でも血が止まりにくいといった症状も現れる。頭蓋内出血などの重篤出血はまれである。進行すると命に関わる脳出血などを起こす危険性が高まる。小児に多い急性型はウイルス感染を先行し、急激に発症して数週から数ヵ月で自然治癒することが多い。慢性型の場合は徐々に発症するため、発症時期が不明なことが多い。

検査・診断

白血病や膠原病、薬剤による血小板減少症などといった、血小板が減少するほかの疾患でないことを確認する除外診断のために、末梢血液検査、生化学・免疫血清学的検査などを行う。これらすべての検査は、末梢血液を採取して行うものである。出血症状のほか、血小板数が10万/μL未満に減少することが診断の目安となる。場合によっては骨髄の検査も行い、血小板の産生状態や形態に異常がないことを確かめる必要がある。

治療

軽症で出血傾向のない場合は無治療で経過観察。血小板数が1~2万/μL以下に低下し、下血、血尿、頭蓋内出血などの重篤な出血症状が出現した場合には入院治療を行う。ヘリコバクター・ピロリ菌検査で陽性の患者の場合、ピロリ菌除菌で血小板数の増加が期待できることから、まず除菌療法を行う。除菌の効果がなかった場合やピロリ菌陰性の場合はステロイド剤を用いる。血小板減少が顕著で出血傾向が見られる場合にはステロイド治療を行う。それでも効果が見られない場合は、第二選択であるトロンボポエチン受容体作動薬またはリツキシマブ抗体薬の投与、もしくは脾臓摘出術である「摘脾」を行う。第二選択が無効のときや難治性の場合には、第三選択である免疫抑制剤などを適用する。この他に、血小板が少ないが普段は出血傾向のない患者が外科的手術や抜歯をするときや分娩時には、一過性ではあるものの、ガンマグロブリンを大量静注療法で一時的に血小板数を回復させる。

予防/治療後の注意

血小板数が3万/μL以上であれば、多くは一般的に日常生活の制限は必要ない。風邪などのウイルス感染で出血症状が強まる傾向があるため、その場合は医師に相談する。鎮痛剤や解熱剤の使用は血小板の機能を抑える作用があるため、できるだけ服用を避けること。やむを得ず鎮痛解熱剤を使用する場合は、血小板凝集抑制作用のないアセトアミノフェンを服用すること。皮膚の状態を患者自身が日々観察し、状態を把握するようにする。また、軽い運動は可能だが、打撲の危険性があるサッカーや剣道、柔道などのスポーツは避けることが望ましい。

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こちらの記事の監修医師

順天堂大学医学部附属浦安病院

血液内科長 野口 雅章 先生

1983年順天堂大学医学部卒業。膠原病内科に所属し、免疫分野の診療経験を積んだ後、血液内科へ転向。亀田総合病院で移植医療を学び、順天堂大学医学部附属静岡病院を経て2000年から現職。2013年に教授就任。日本血液学会血液専門医、日本内科学会総合内科専門医。