
こちらの記事の監修医師
医療法人社団輝生会 初台リハビリテーション病院
菅原 英和 院長
さんさしんけいつう三叉神経痛
最終更新日:2021/12/24
概要
三叉神経は顔の触覚や痛覚、冷熱感、口腔(口の中)・鼻腔(鼻の中)の感覚などを脳に伝える神経で、これに異常が生じることで顔に強い痛みを生じる病気である。特発性三叉神経痛と二次性三叉神経痛の2種類に分かれ、前者は血管による三叉神経の圧迫が原因と考えられており、後者では脳腫瘍、帯状疱疹など、原因となる他の病気がある。一般的に三叉神経痛と呼ばれる場合は、特発性のものを指す。激しく短い痛みが発作的に起こり、その時間は一瞬の走るような痛みであり、長くても数秒だが、一瞬の痛みが何度も起こることで「一日中痛い」こともある。
原因
顔の感覚を支配している三叉神経の付け根の血管が圧迫することで起きるといわれている。三叉神経は脳の中心部である脳幹から始まり、顔面では3つの枝に分かれている。最初の枝がおでこ、2番目が頬、3番目が下あごにあり、この枝の範囲で痛みが起こるのが特徴だ。1本の枝だけに痛みができることもあれば、2本以上の場合もある。その場合、1番目と2番目のおでこと頬といった範囲に痛みが出ることもあるが、1番目と3番目のように2番目をスキップして痛みが発生することはない。
症状
顔面に電気が走ったような強い痛みが、一瞬または長くても数秒ほど続く。軽く触れただけで激痛が走る部位を認めたり、洗顔、歯磨き、髭剃り、咀嚼など、さまざまな動作によって痛みが誘発されたりする。顔に強い痛みが出るが、あくまでも三叉神経の異常から痛みが生じるため、実際に痛みがある部分が傷ついているわけではない。話したり、食事をしたりするだけで激痛が走るなど、日常生活に支障を来す場合もある。顔の片側に出ることが大半で、痛み以外の症状はほとんど見られない。
検査・診断
痛みの症状やこれまでの経過など詳しい問診が必要であり、さらに検査から診断する。痛みが短時間しか発生しないため、診察時に症状を示さないことも多く、そのためこの病気の診療に慣れた医師が問診することで、診断の見当がつくこともある。また痛みの性質だけでは判断が難しい帯状疱疹後三叉神経痛との区別は過去に顔に帯状疱疹が出たことがないかが重要になる。さらに、副鼻腔炎など似た症状が現れる他の病気との見極めを慎重に行う必要がある(副鼻腔炎に伴う痛みは、持続性がある)。脳腫瘍などが原因のこともあるため、頭部MRI検査も併せて行う。
治療
薬物療法、神経ブロック治療、放射線治療、手術などがある。この病気は発症と鎮静を繰り返し、初期段階では鎮静期間のほうが長いことが多い。そのため、発症直後は身体的負担の大きい治療は行わず、薬物療法から始めるのが一般的だ。薬物療法は、神経痛に効果のある薬剤を使用する。ステロイド剤などが補助的に用いられることもある。薬物療法による症状の改善が困難な場合、ほかの治療法が検討される。神経ブロック治療は、三叉神経に麻酔薬を注射して痛みを緩和する。放射線治療では、ガンマナイフで痛みのある箇所の三叉神経に放射線を照射し、痛みを取り除く。手術では、血管による神経の圧迫が痛みの原因だった場合に、それを取り除く微小血管減圧術を行う。
予防/治療後の注意
突然発症することが多く、予防は難しい。疲れやストレスによる自律神経の乱れが一因となっているともいわれている。そのため、バランスのよい食事や適度な運動、十分な睡眠時間の確保など、規則正しい生活習慣が大切だ。また冷えなどの血行不良は神経痛の痛みを増長することもあるため、冬の寒さや夏の冷房対策をしっかりとし、体を冷やさないようにすることが予防につながる。

こちらの記事の監修医師
菅原 英和 院長
1992年東京慈恵会医科大学を卒業。消化器外科を志望していた同大学での研修医時代、「プラスの医療」といわれるリハビリテーション科の医学的部分に興味を持ちリハビリテーション科に転身。東京都リハビリテーション病院を皮切りに大学病院や都立病院のリハビリテーション科勤務を経て、2010年同院に着任、2016年院長に就任。医学博士、日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科専門医。
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