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妊娠中に重症化しやすい鼻炎は
妊娠前からの予防対策を

武田耳鼻咽喉科

(富士見市/みずほ台駅)

最終更新日:2023/12/27

武田耳鼻咽喉科 妊娠中に重症化しやすい鼻炎は 妊娠前からの予防対策を 武田耳鼻咽喉科 妊娠中に重症化しやすい鼻炎は 妊娠前からの予防対策を
  • 保険診療

花粉症や風邪などで、重度の鼻炎症状を経験した人はよくわかるだろうが、ひどい鼻水・鼻詰まりなどの鼻炎症状があると、頭が重く感じられ集中力もなくなり何も考えられない状態になることがある。そのせいで思ったような成果が得られなかったり、集中できなくて失敗した経験がある人もいるのでは。「武田耳鼻咽喉科」の武田桃子院長は自身の経験から、いわゆる「鼻炎持ち」、花粉症、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などの症状のある人は、受験や妊娠・出産など人生の中でも大きな出来事に臨む前に、できる限り予防し余計なストレスなく向き合えるようにしてほしいと訴えている。特に妊娠中は体の変化により鼻炎が悪化しやすいが、適切な対処で症状の軽減が期待できるという。詳しい話を武田院長に聞いた。

(取材日2022年5月19日)

妊娠中の体の変化が悪化させる鼻炎は、事前対処が可能

Qどのようにして妊娠中に鼻炎が悪化するのでしょうか?
A
武田耳鼻咽喉科 妊娠で、持病の鼻炎が重症化することもあると話す武田院長

▲妊娠で、持病の鼻炎が重症化することもあると話す武田院長

妊娠すると女性の体はおなかの中で子どもを育てるために大きく変化していきます。その一つが全身の血流量の増加。これは母体として当然の変化ですが、全身の血流量が増えると当然鼻への血流量も増え、むくみの原因となります。鼻周辺がむくんでくると、もともと何らかのアレルギー症状などをお持ちの方や鼻炎の方は、重い鼻炎症状に悩まされることになってしまいます。服薬が難しい妊娠2~5ヵ月頃に重症化してしまう方が多く、環境の変化に悩まされていたり、ただでさえ安定しない体調や身体の変化についていけずメンタル的にも弱っているときに、鼻炎が追い打ちをかけることになってしまうのです。

Q妊娠前からの予防は、いつ頃から始めれば良いですか?
A
武田耳鼻咽喉科 検査には被ばく量の少ないコンビームCTを用いる

▲検査には被ばく量の少ないコンビームCTを用いる

これはダニや花粉などのアレルギー治療にも広く通じますから、なるべく早くお越しいただくほうが良いと思います。例えばお子さんが欲しいと思った時、妊活を始めようと思いついた時、不妊治療の相談の予約を専門の医療機関に入れると同時に、などのチャンスがお勧めです。お勧めしたい治療法の一つの舌下免疫療法は妊娠中に治療を開始できません。妊娠前に始めていれば妊娠中や授乳中も治療を継続できます。また検査の一つであるCTは、被ばく量も少なく、座ったまま撮影でき、撮影時間も短いですが、妊娠中の方の中には拒否感の強い方もおられます。より気持ち良く検査を受けていただくためにも早期にご来院ください。

Q治療をどのように行われるのですか?
A
武田耳鼻咽喉科 重度の副鼻腔炎は手術が必要となることも

▲重度の副鼻腔炎は手術が必要となることも

当院ではまずどのようなアレルギーを持っているのか、鼻炎対策をする必要があるのかどうかも含めて検査をします。ご自身で花粉症などのアレルギー症状だと思っていても、実は副鼻腔炎だったという方もいらっしゃいます。見当違いの薬や点鼻薬で悪化させてしまう方もいらっしゃいますし、自己判断は危険です。検査は、血液検査とCT検査を行います。アレルギーであれば血液検査で原因物質を特定できますし、副鼻腔炎はCTですぐにわかります。次に原因別の治療を行います。ダニやスギ花粉であれば内服治療のほかに舌下免疫療法があります。重度の副鼻腔炎になってしまうと手術が必要になることもありますから早めにご来院ください。

Q患者自身でできる対策はあるのでしょうか?
A
武田耳鼻咽喉科 早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けよう

▲早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けよう

予防という意味では残念ながらほとんどないと言えるでしょう。だからこそ早期に適切な治療を受けていただきたいのですが、対処療法としては鼻うがいといわれる鼻の洗浄がお勧めです。当院でお勧めしているものは、適切な濃度の塩水を用い適切な温度で洗浄できるよう工夫されたもの。鼻粘膜の早期治療目的のため、術後の患者さんには必ずお願いしていますが、必要な期間後も手洗い・うがいとセットで続けておられる方もいます。感染症予防の観点からもお勧めです。漢方のご相談も受けています。よく市販の点鼻薬を使う方がおられますが、血管収縮作用を含むものがあり薬剤性鼻炎の原因ともなり得るので、自己判断での使用はお勧めしません。

Q院長ご自身も妊娠前から対策をされていたそうですね。
A
武田耳鼻咽喉科 妊娠前からの鼻炎対策を勧めている同院

▲妊娠前からの鼻炎対策を勧めている同院

私自身も2度の出産経験があり、舌下免疫療法のスギ花粉症と通年性アレルギー性鼻炎対策の両方の治療を、妊娠前、妊娠中、出産後の今も継続しています。私はかつて入試の日に突然の鼻炎発症で大学受験を失敗した経験があります。それ以降、長年重度の鼻炎に悩まされ、ひどいときは何も考えることもできず日常生活に影響が出ることも。その経験もあって自分の妊娠・出産前には舌下免疫療法を開始しました。ですから大変な妊娠期に少しでもストレスを減らすお手伝いができれば、との思いから妊娠前からの鼻炎対策をお勧めしています。

ドクターからのメッセージ

武田 桃子院長

鼻炎に関しては予防するという意識があまりない方が多いと思います。しかし舌下免疫療法など原因や症状に合わせた適切な処置・治療を行うことで、事前に症状をある程度改善することをめざすことができます。完全に症状をなくすことは難しいのですが、症状の軽減につなげられるので、妊娠前からの対処を強くお勧めしています。また舌下免疫療法は5歳から行うことができます。小さいお子さんの鼻炎は成長に影響が出ることがあり、集中力低下から学習障害につながることも。ご自身が鼻炎持ちでいらっしゃるなら、出産後はお子さんのご様子も気にかけてあげてくださいね。

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