涙道内視鏡手術で改善を図る
見逃しがちな涙や目やにの異常
八王子友愛眼科
(八王子市/八王子駅)
最終更新日:2023/02/03


- 保険診療
涙や目やにの出る原因はさまざまだ。外傷やアレルギーも無く、目の充血もみられない場合、その原因は涙道にあるかもしれない。数ヵ月たっても続く症状には特に注意が必要だ。「八王子友愛眼科」の今野公士理事長によると、涙道閉塞の原因は加齢だけではなく、先天鼻涙管閉塞といった乳児にみられる病気もあるという。涙道閉塞は目薬で改善を図ることは難しく、手術法として「涙道内視鏡下涙管チューブ留置術」と「涙嚢鼻腔吻合術」があるという。同院ではこのどちらにも対応し、いずれも日帰りで手術を行っている。今回は今野理事長に、涙道の病気について、また2つの手術の特徴についても話を聞いた。
(取材日2023年1月11日)
目次
日帰りの涙道内視鏡手術で涙道閉塞の症状の改善を図る。涙や目やにが続いたら、放置せずにすぐ受診を
- Q涙や目やにが止まりません。なぜでしょうか?
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A
▲診察の際に些細な病変も見逃さないように心がける
一つは角膜に傷がつくなどの、いわゆる外傷による症状です。例えば目にごみが入ったり、道路工事で鉄粉が入ったりというものですね。強い痛みを感じて、すぐに受診される方も多いのではないでしょうか。次に細菌やアレルギーによる結膜炎など。こちらは白目が赤くなるので気づきやすい症状です。そして痛みや充血の有無とは関係なく涙や目やにが続く場合、涙道の病気が隠れていることがあります。何ヵ月も続いてお困りだったり、例えば、目元の化粧崩れが気になって受診され、そこで涙道の異常が見つかることもあるんですよ。
- Q涙道の病気について教えてください。
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A
▲原因を突き止め、どのような治療を行うかを判断する
私たちの目には、常に一定量の涙が分泌・排泄されています。この繰り返しが眼球の表面を正常に保っているのですが、この分泌と排泄がうまくいかなくなると涙があふれてしまいます。これが「涙目」です。涙道がふさがることを涙道閉塞といい、軽度なら流涙症、重度になると膿を伴う涙嚢炎を発症することも。涙嚢炎では目の周りが腫れてかゆみや痛みを生じます。涙道閉塞の原因は加齢だけではなく、先天鼻涙管閉塞の場合、生まれたばかりの赤ちゃんにもみられます。その他、副鼻腔炎(蓄膿症)などの鼻の病気、顔面のけが、抗がん剤の副作用が原因となることもあります。
- Q涙道閉塞にはどのような治療法があるのでしょうか?
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A
▲先進の機器をそろえ、繊細な手術を行う
涙道閉塞は目薬で改善を図ることは難しいです。治療法は主に手術となり、当院では「涙道内視鏡下涙管チューブ留置術」と「涙嚢鼻腔吻合術」に対応しています。軽度の場合ならば、患者さんご自身で選択可能です。前者は局所麻酔を使用した日帰り手術で、極小内視鏡を用います。内視鏡を涙道から鼻腔に通して洗浄し、専用の涙管チューブを挿入する方法です。チューブは1~2ヵ月後に外来で抜去します。後者は歴史を持つバイパス手術。皮膚を切開し骨を削って、新しい涙道を作ります。麻酔を専門とする医師による全身麻酔のもと行いますが、こちらも日帰り手術ですので入院の必要はありません。
- Qそれぞれの手術の特徴をもう少し教えてください。
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A
▲わかりやすい説明を心がける今野理事長
涙道内視鏡を用いての手術法は、患者さんの負担を軽減するために開発されました。低侵襲という点が大きな特徴ですね。しかしチューブの出し入れなど数回の通院が必要なため、遠方やご高齢で通いにくい方には適さないかもしれません。症状がそれほど重くなく、通院にも問題がない場合、まずはこちらの方法を選ぶ方が大半です。ただ、数年後に流涙が再発するケースもあり、その際は再手術もしくは涙嚢鼻腔吻合術を選択します。涙嚢鼻腔吻合術は根治をめざす治療です。術後の安静など多少の制限はありますが、涙嚢炎を起こしていたり症状が重い場合は、初めからこちらの方法を選択します。
- Q治療や手術を受けた後はどのように過ごすべきでしょうか?
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A
▲術後の過ごし方も丁寧に説明してくれる
涙道内視鏡での手術後は、飲酒や運動も含めて行動制限はほぼありません。翌日検査後にそのまま出勤することも可能です。麻酔注射によるあざは1週間程度で消えることがほとんどです。涙嚢鼻腔吻合術での手術後は、翌日までは安静にしてください。また骨を削っているため、2週間程度は鼻をかむことができません。1週間後の抜糸までは、傷口にあまり触らないように気をつけましょう。当院ではできるだけ傷口が残らないよう、縫合にも工夫を凝らしています。