治らない口内炎は歯科医院へ相談
口腔がん等の疾患が潜む可能性も
あいおい歯科横浜駅西口医院
(横浜市西区/横浜駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
口内の粘膜に起こる炎症の総称を指す「口内炎」。1ヵ所だけでなく複数の場所にできたり、しつこくくり返したりすることもあり、悩んでいる人は少なくないだろう。口内炎は歯科医院を受診すれば軟膏やレーザーによって対処することが可能だが、加えて大切なのが、口内炎の原因を探ってそれを排除すること。免疫力の低下やストレスの他に、虫歯で欠けてしまった歯や不適切な詰め物が粘膜にダメージを与えていることで口内炎が起こることもある。また、なかなか治らない場合は、口腔がんなどの重篤な疾患が潜んでいる可能性もゼロではないという。それらの疾患も視野に入れた総合的な診療を特徴とする「あいおい歯科横浜駅西口医院」の浜島均院長に、口内炎の概要や適切な対処法などを詳しく聞いた。
(取材日2021年8月16日)
目次
免疫力低下やストレスなど、さまざまな要因が関わる口内炎。なかなか治らない口内炎は歯科医院で原因追求を
- Q口内炎は何が原因で起こるのでしょうか。
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A
▲口内の粘膜に起こる炎症の総称を指す「口内炎」
実は口内炎の原因は明確にはなっていないのですが、免疫力の低下、栄養バランスの偏り、ライフスタイルの変化などによって起こる精神的ストレスなどが原因であるといわれています。頬の内側を噛んでしまったり、虫歯によって欠けて尖ってしまった歯がぶつかったりして、舌や粘膜を傷つけてしまう機械的損傷で口内炎が起こることもあります。また、口内細菌の増殖を防いだり粘膜を守ったりする働きがある唾液が減少してしまう「ドライマウス」によって、口内炎が起こりやすくなるとも考えられます。唾液の分泌量は年齢とともに減少しますが、それ以外にも自己免疫疾患や薬の副作用などでも減少することがあります。
- Q日常生活でできる対応策はありますか?
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A
▲免疫力低下やストレスなど、さまざまな要因が関わる口内炎
バランスの良い食事を心がけ、特にビタミン類を積極的に摂取しましょう。免疫力の低下につながる寝不足やストレスをため込まないようにすることも大切です。ドライマウスが原因で口内炎をくり返している方には、唾液の分泌を促す唾液腺マッサージもお勧めです。喫煙を控えることも口内炎の対策になります。喫煙は煙そのものが粘膜に炎症を起こす要因とされますし、ニコチンの影響で唾液の量が減少しやすく、ドライマウスを悪化させる可能性があるからです。虫歯で欠けている歯や不適合な詰め物が粘膜を傷つけて口内炎を引き起こしていると考えられる場合は、適切な歯科治療で原因の排除を検討しても良いかもしれません。
- Qいつまでも治らない口内炎はどうしたらいいのですか?
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A
▲悪化すると治療が困難
基本的にほとんどの口内炎は1~2週間あれば治ると思いますので、いつまでも治らない場合は、口内炎以外の疾患が潜んでいる可能性を考えたほうが良いでしょう。だんだん口内炎が大きくなる、何度もくり返す、一気にたくさんの口内炎ができる場合は特に注意が必要です。だんだん大きくなる口内炎は、口腔がんによる潰瘍である可能性もあります。虫歯菌が歯根まで感染して歯根先端に膿がたまるフィステル(瘻孔・サイナストラクト)や、唾液が粘膜の下でたまって袋状になる粘液嚢胞などの疾患が、口内炎と間違われることもあります。悪化すると治療が困難になるので、1~2週間たっても治らなければ歯科医院を受診することをお勧めします。
- Q口腔がんの可能性もあるというのは、怖いですね……。
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A
▲自己判断せずに、相談しよう
口内炎だと思っていたら、口腔がんだったという患者さんも実際にいらっしゃいます。もちろんまれなケースではありますが、可能性がゼロではないということです。口腔がんは口内炎と違い、粘膜の一部が陥没したり、硬くなったりしていることが多いです。患部をしっかり観察すれば気づく可能性もありますが、「どうせ口内炎だ」と楽観視して、しっかり患部を見ていない患者さんも多いと思います。患部を見ても、患者さん自身では判断できないこともありますしね。当院は口腔外科を専門とする歯科医師が多数在籍しており、的確な診断に努めます。他の治療で来院したついでに確認することもできますので、気になることがあれば気軽にご相談ください。
- Q歯科医院ではどのような治療・対処が可能なのでしょうか。
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A
▲なかなか治らない口内炎は歯科医院で原因追求を
痛みが強い場合はステロイド剤を処方する対症療法が中心となりますが、ウイルス性の口内炎が疑われる場合は内服薬を処方することもあります。近年は歯科用レーザーで口内炎を焼いて、痛みの除去を図る方法もあります。虫歯や不適切な詰め物が口内炎を引き起こしている場合は、その原因の排除が重要です。そして何よりも大事なのは、安易に口内炎と断定せずに、口腔がんや粘液嚢胞などの疾患も視野に入れて診察することだと考えています。本当に口内炎であるかを判断するために必要に応じて血液検査を行ったり、薬の副作用が原因か判断するために、現在服用している薬剤の有無をヒアリングしたりもします。