子どもの頃に発症しやすい
さまざまなアレルギー疾患
うえだ内科ファミリークリニック
(松江市/松江駅)
最終更新日:2024/08/29
- 保険診療
子どもの頃に発症しやすいアレルギー疾患としては、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、気管支喘息などがある。小児疾患に幅広く対応している「うえだ内科ファミリークリニック」にも、これらの相談が多く寄せられるという。アトピー性皮膚炎が原因で皮膚に炎症が起こり、そこにアレルギーの原因物質「アレルゲン」が触れることで食物アレルギーを発症することもあるなど、成長するにつれてさまざまなアレルギー疾患にかかっていくこともあるそうだ。そうした現象をアレルギーマーチとも言い、同院の柴田直昭副院長は「食い止めるためには子どもの頃からうまく症状をコントロールしていくことが大事です」と話す。日本小児科学会小児科専門医である柴田副院長に、最近の子どもに多いアレルギー疾患について聞いた。
(取材日2022年10月25日)
目次
発症や症状悪化だけではなく、新たなアレルギーへの連鎖を防ぐためにも早期相談が重要
- Qアレルギー性鼻炎について、症状や治療法を教えてください。
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A
アレルギー性鼻炎は大きく2つあり、一つはダニが原因で起こる通年性のアレルギー性鼻炎、もう一つはスギ花粉などが原因で特定の季節に症状が出る、いわゆる花粉症です。主な症状はくしゃみ、鼻詰まり、鼻水、目のかゆみですね。最近は低年齢で発症するお子さんも増えています。勉強や運動に集中しにくい、眠りが浅くなるなどの悩みにつながることもあるので注意が必要です。治療方法には、アレルゲンにさらされることを防ぐ「環境調整」と薬物療法があります。当院では、眠くなりにくい、1日1回の服用で済むなど、患者さんに合わせた薬をお選びするほか、症状にお困りの方にはアレルゲンに体を少しずつ慣れさせていく舌下免疫療法も行います。
- Q食物アレルギーについてはいかがでしょう?
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A
特定の食べ物に体が過剰に反応し、じんましんや湿疹などのアレルギー症状が起こります。場合によっては呼吸がしにくい、嘔吐下痢といった症状が出るほか、血圧が下がるとアナフィラキシーショックと呼ばれる状態になります。乳児期には鶏卵や牛乳、小麦で食物アレルギーを起こすことが多く、最近は魚卵やナッツ類のアレルギーも増えています。食物アレルギー検査や負荷試験はクリニックでも受けられますので、気になる症状がある場合はご相談ください。
- Qアトピー性皮膚炎については、どのような診療をされていますか?
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A
従来は皮膚の炎症を抑えることを図るステロイド治療がメインでしたが、今は他の軟こうを使う治療法も選択できますから、その子の症状や生活環境などに合わせてベストな治療を提案しています。そしてアトピー性皮膚炎に関しては、対症療法に加えて日頃のスキンケアもとても大事なんですよ。皮膚が乾燥して荒れていると症状が重くなってしまいますから、正しく薬を塗ることはもちろん、適切なスキンケアの方法を知ることも大切です。当院では写真をお見せしたり、軟こうの塗り方のレクチャーをしたりして、お子さん本人と親御さんに自宅でのケアの仕方をお伝えしています。ご家族の生活スタイルに合わせた続けやすい薬の提供に努めています。
- Q気管支喘息についても詳しくお教えください。
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A
気管支喘息は、ダニなどのアレルゲンに体が反応して咳や呼吸が苦しいなどの症状が出ます。1、2歳の頃に風邪やRSウイルス感染症などにかかったとき、ゼイゼイとした呼吸を繰り返すような場合、将来的に3、4歳くらいから喘息を発症する可能性がありますから注意が必要です。小児喘息は小学校に入ると一旦改善する子が多いですが、成長すると再び症状が出るケースも見られます。すると高齢になった時に呼吸機能が悪くなることもあるため、子どもの頃からしっかり治療しておくことが大事です。今では喘息の治療に使う吸入器も簡単に吸入できるものが一般的になり、使いやすくなっているので相談してください。
- Qアレルギーで困らないために、日常生活での注意点はありますか?
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A
体質そのものを改善することは難しいですが、最近の研究によると、新生児期から肌の保湿ケアをしてきれいな皮膚を維持しておくと、アレルギーの発症が少なくなることも報告されています。これは私自身も、病院の新生児集中治療室に勤めていた頃、赤ちゃんのスキンケアをすることでアレルギー症状の重症化の抑制につながっていると実感したことがありました。お子さんが皮膚がかゆい、湿疹が出るなどの症状に悩んでいる場合には、ぜひスキンケアを取り入れてみてはいかがでしょうか。