柴田 直昭 副院長の独自取材記事
うえだ内科ファミリークリニック
(松江市/松江駅)
最終更新日:2024/05/15
家族全員で通えるクリニックとして2020年に開院した「うえだ内科ファミリークリニック」。大きな病気の早期発見のためにCTや内視鏡などの各種検査に注力するほか、急な体調不良や平日に仕事を休めない人のために日曜も診療しているのが特徴だ。そして2021年9月25日からは、常勤小児科医として柴田直昭副院長が加わり、より充実した体制で小児患者を受け入れられるように。長らく新生児医療に携わってきた柴田副院長は、風邪などの一般的な症状はもちろん、新生児集中治療室を退院した子どもの診療や医療的なケアにも対応できるのが強み。「生まれながらに障害のある子どもたちが、地域で安心して暮らせるようにも尽力したい」と意欲を見せる柴田副院長に、クリニック診療への思いや展望を聞いた。
(取材日2021年8月26日)
子どもが自ら通いたくなるクリニックをめざす
こちらに入職されるまでの経緯を教えてください。
入職前は、島根大学医学部附属病院の新生児集中治療室(NICU)という場所で、未熟児や出生してすぐに治療を要する赤ちゃんの診療にあたっていました。NICUの勤務にやりがいを持っていた一方で、「退院後、お子さんやご家族が安心して日常生活を送るためには、医療や育児を一緒にサポートする存在が不可欠なのでは」と考えるように。そんな折に縁あって、こちらの日曜の小児科診療のお手伝いをさせていただくことになったのですが、その中で上田院長先生の理念に感銘を受けました。内科と小児科の医師が一緒にいるクリニックはまだ少ない中で、日曜診療も対応していることもあり、さまざまな世代の方がご家族で受診できる点も大きな魅力でしたね。「ここで働きたい」という私の願いに快く応じていただき、入職させていただく運びとなりました。一般的な小児医療にも広く対応しておりますので、小児のかかりつけ医として気軽に相談してほしいです。
なぜ新生児医療を専門とされてきたのですか?
もともと私自身が子どもの頃に病気がちで、地元のかかりつけ医や入院先の先生にとてもお世話になったことが大きく影響しています。病院へ行って先生に会うだけで安心していたので、自分も子どもたちにそんな安心を提供できる医師になりたいと思ったんですよ。中でも新生児医療は、命がけで生まれてきた赤ちゃんを助ける素晴らしい仕事だと感じたので、この分野を専門にしようと決意しました。現代ではより安全に配慮しながら出産できるようになりましたが、本来、生まれてくる瞬間は、その子の命が大きな危険にさらされる瞬間でもあります。それを乗り越えて誕生した子どもたちが、自宅に帰れるようになるまで成長する姿を見守れたことは、非常に大きな経験でした。
先生の診療モットーについて教えてください。
病院嫌いな子どもをなくすことを目標としています。子どもの頃から病院に慣れ親しんでおくことで、異変を感じたときにすぐ受診する習慣をつけてもらい、病気の発見が遅れるリスクを減らせたらと思っています。苦手意識の最たるところに、注射があると思いますが、NICUで未熟児にも点滴を打っていた経験から、注射も得意としているので安心してお任せいただきたいです。当院では遊びを取り入れながら説明したり、気を紛らわせるために動画を見せたり、痛みを感じにくくするための薬剤を塗ったりして、なるべく恐怖感を与えないようにしています。手技がもたつくとお子さんの不安も増しますから、短時間で済ませるようにも気をつけています。薬のほうも苦手なお子さんも多いので、必要最低限の飲みやすい薬を出しています。また、抗生剤は子どもの頃に飲みすぎると不要な耐性をつくってしまうことがあるので、なるべく出さず、将来の健康も考えて処方します。
内科と連携し家族の健康をサポート
こちらのクリニックの特徴は?
当院全体の強みは、小児科と内科で連携し、家族の健康をサポートできることです。例えば子どものワクチン接種のついでに、内科で親御さんもワクチンを打つということが当院なら可能です。感染症は1人かかると家族全員に影響しますから、ファミリーでかかれるメリットは大きいのではないでしょうか。当院は土日にも診療を行っていますし、ワクチン専用の時間枠を用意せず、通常の診療時間内で対応しているので受診自体がしやすいのも特徴ですね。また、小児科・内科間の連携から、妊娠中や授乳中のワクチンやお薬のことをはじめ、お母さんの不安やお悩みも安心してご相談いただけます。さらに、小児科のほうでは、それらに加えて、新しい付加価値のある小児医療を強みに展開していこうと考えています。
具体的には、どのような展開を考えていらっしゃいますか?
専門性の高い治療を広く提供していきたいと思っています。例えば、赤ちゃんの頃に気をつけたい病気に、皮膚に赤いイチゴのようなあざができる「乳児血管腫」や「先天性股関節脱臼」という関節の病気などがあります。これらは早く発見すれば体に負担の少ないかたちで治療できるので、普段の診療や乳幼児健診の中で症状や兆候がないかをチェックして、早期発見につなげたいです。当院は乳幼児エコーをはじめ、検査設備も充実しているので、心配な子に対してはすぐに検査を行えるのも強みですね。それから、RSウイルス感染症の予防注射に対応しているのも、当院ならではかもしれません。主に早産のお子さん向けのものということもあり、クリニックで扱っているところは少ないのではと思います。これ以外のワクチンの接種についても、新生児医療に携わった経験を生かして一緒にプランを考えますので、ぜひご相談ください。
最近ではアレルギーに関する相談も多いかと思いますが?
花粉やダニなどのアレルギーを持つお子さんは増えています。当院では舌下免疫療法という、アレルギーの原因物質を少量ずつ摂取して症状を和らげていくことをめざす治療法を取り入れています。時間はかかりますが、症状を落ち着かせるのに有用だと考えます。また、アトピー性皮膚炎に関しては、最近ステロイド以外の刺激の少ない塗り薬も開発されましたから、症状に応じてお出しすることができます。肌のスキンケアも大事にしています。皮膚が乾燥して荒れると重症化しやすくなりますから、まずは保湿をしてあげてほしい。NICUでも赤ちゃんの肌を保湿してあげることがありましたが、そうすると肌がきれいな状態を保ちやすいなと実感していました。そういった知識も伝えていけるといいですね。
医療的ケア児を地域で支える活動にも尽力
NICUを経験された柴田先生だからこそ、診られるお子さんもいるのでは?
そうですね。NICUでは人工呼吸器や定期的な薬の投与、吸引・吸痰が必要な赤ちゃんを診て、自宅に帰すサポートをしてきましたから、今後はその子たちが地域に戻ってからの生活を支えていければと考えています。例えば、医療的ケア児を持つお母さんは、よく母乳トラブルを抱えていらっしゃいます。母乳は腸に負担をかけにくい栄養源なので、新生児にとっては生命線。退院後も母乳栄養を継続していただきたいのですが、赤ちゃんと離れている期間が長いゆえに、お乳が出なくなってしまうお母さんも多いです。NICU歴が長いからこそわかることもあると思うので、育児に関することもぜひご相談ください。また、退院前から病院と連携を図って、スムーズに在宅移行できるようにフォローしていきたいです。忙しい病院の医師には聞きづらいことも、当院では気軽に話していただけると思います。
今後取り組んでいきたいことは?
医療的ケアが必要な子どもたちへの在宅医療です。高齢者向けのデイケアはあっても、子どものサポートをする機関はまだ本当に少ないんです。結果的に母親へ負担がいってしまいますが、訪問診療や託児が利用できるようになればずいぶん楽になるのではないでしょうか。最近ようやく医療的ケア児に対する支援法が成立し、各自治体に支援機関を設けることが義務化されることになりました。その中で、地域のクリニックが果たせる役割はかなり大きいと思います。将来は学校とも連携し、サポートが必要な子どもたちを地域で見守れるような体制をつくっていけるといいですね。
読者へメッセージをお願いします。
お子さんを含め、家族みんなで受診していただけるクリニックです。どんなお困り事でも構いませんので、まずはお気軽にご相談いただけるとうれしいです。感染症が心配な昨今ですが、発熱などの症状がある方は車の中に待機してもらい、院内感染を防ぐように十分配慮しています。安心してお越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とは上部内視鏡検査/1万5000円~、下部内視鏡検査/2万2000円~、大腸CT検査/2万2000円~(すべて自費診療の場合)、人間ドック/早期がん発見コース:8万円~、生活習慣病コース:4万円~