10年放置した虫歯のリスク
神経の壊死や口臭、全身への影響も
あいあーる歯科目黒駅医院
(品川区/目黒駅)
最終更新日:2022/05/10
- 保険診療
歯がしみたり痛みを感じても、受診を後回しにしてしまっている人もいるのではないだろうか。「あいあーる歯科目黒駅医院」の三宮慶邦院長は「虫歯は痛みのないうちに治療するのが理想」と話す。早期発見・早期治療ができれば、歯を削る量も少なくて済むからだ。もし虫歯を10年以上も放置してしまったらどうなるのだろうか。痛みを通り越すと、ある日突然痛みを感じなくなることもあるという。痛みは消えるものの、それはとても危険なサインで、さまざまなリスクが生じる。診療ではコミュニケーションを大切にしているという三宮院長に、虫歯はどのように進行していくのか話を聞いた。
(取材日2022年2月16日)
目次
虫歯は痛みのないうちに治療が理想。放置し続けると痛みが強まり、さらに悪化するとさまざまなリスクが
- Q虫歯は治療をしないと治らないのですか?
-
A
はい。治療をせずに治ることはありません。虫歯が進行するにつれ治療の難易度も上がり、心身へのダメージや金銭面での負担も増えてしまいます。虫歯がまず最初にできるのは、歯の表面を覆っている「エナメル質」です。該当箇所の色が変化する程度で痛みもありません。この段階ならば、ほとんど削らすに治療することができます。その内側にある「象牙質」まで虫歯が進行すると、象牙細管という管が神経に向かってたくさん通っていますから、ちょっとした刺激で痛みを感じるようになります。治療時に削る量も増えますし、麻酔が必要になることもありますね。
- Q放置していた歯でも治療は可能なのでしょうか?
-
A
可能ですが、さらに大変な治療となります。虫歯が「象牙質」を通り越してさらに悪化すると、何もしなくてもズキズキ痛むようになってしまいます。ここまで進むと神経を抜かなくてはなりませんが、ある日突然痛みを感じなくなることがあるのです。これは神経である歯髄が壊死してしまっている状態。歯髄を除去して、根管治療を施し、失った歯を補わなくてはなりません。
- Q虫歯を10年以上放置しています。どのような影響がありますか?
-
A
虫歯を10年以上放置していれば、歯髄が壊死している可能性も高いです。さらに歯はボロボロで溶けていることでしょう。口腔内環境の悪化から歯周病も併発していると考えられます。歯周病が進行するとひどい口臭がします。また歯の根の炎症で膿が生じ、それが顔の腫れを引き起こしたり、顎の骨に入り込むこともありますね。さらに膿が組織の中に入ってしまうと、血管などを通して全身を移動し、心臓に影響を及ぼすおそれもあります。また、血管に入り込んだ場合は敗血症の原因にもなりえます。それはまれな例ではありますが、こうなると命に関わりかねません。
- Q治療に行かないといけないことはわかっているのですが……。
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A
一刻も早く受診してください。10年以上も虫歯を放置して良いことはありませんし、リスクは増える一方です。とはいえ、歯科医院に苦手意識をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。当院では歯科医院に対する「怖い、痛い」というイメージが和らぐよう、さまざまな工夫をしています。歯を削るためのタービンは「キーン」という音の少ないものを導入し、麻酔は細い針と圧力のコントロールで痛みの少ない治療を心がけています。またコミュニケーションを大切にしており、患者さん一人ひとりにしっかりと向き合い、ご要望を伺いながら治療を進めています。
- Q痛みがなくても虫歯である可能性はあるのですね。
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A
先ほども挙げましたとおり、虫歯がエナメル質にとどまっている間は痛みなどの症状はありません。歯はなるべく削らず、痛みのないうちに治療してしまうのが理想です。しかしこの段階で、ご自身で虫歯に気づくことは難しいかもしれません。いつまでも健康な歯でおいしく食べるために、ぜひクリニックのメンテナンスを利用してください。定期的にメンテナンスを受けることで、虫歯や歯周病があっても初期の段階で発見でき、口腔内を良い状態に保てます。