笑気麻酔による歯科治療
そのメリット・デメリットについて
マリコ歯科クリニック
(渋谷区/代々木駅)
最終更新日:2025/03/05


- 自由診療
歯科治療への恐怖心やつらい嘔吐反射があっても、かなり無理をして治療を受けている患者も少なくないだろう。そうした場合は、笑気(しょうき)ガスで恐怖心や痛みの軽減を図りながら治療を行うこともできるという。「これは笑気吸入鎮静法(笑気麻酔)と呼ばれるもので、体がぽかぽかし、ふわふわした気分になるなど、リラックスして治療を受けやすくなることが期待できます」と「マリコ歯科クリニック」の渡邊麻里子院長は話す。鎮静作用には個人差はあるものの、これまで受けたくても受けられなかった治療、例えば審美的な面に配慮した治療などの希望をかなえることにもつながるという。そこで笑気吸入鎮静法について副作用、デメリットなども含めて渡邊院長に聞いた。
(取材日2024年11月20日)
目次
副作用の心配が少なく体外にすぐに排出される笑気ガス。リラックスした状態で治療を受けることが期待できる
- Q笑気吸入鎮静法とはどんな鎮静法なのですか?
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A
▲それぞれの鎮静法について丁寧に説明
よく見かける笑気麻酔という表記は厳密に言うと不正確で、麻酔ではなく笑気ガスの吸入で鎮静をめざす鎮静法です。笑気ガスは低濃度の亜酸化窒素ガスと酸素を混合したもので、体にほとんど害はないとされ、弱めの鎮静・鎮痛作用が期待できるためリラックスした状態で治療を受けることが望めます。笑気ガスを使うと歯科恐怖症の方、軽度の嘔吐反射のほか、クリニックで血圧が上がる白衣性高血圧の方も安定した血圧で治療を受けやすくなると期待できます。笑気ガスによる副作用の心配はほとんどありませんが、望める効果には個人差があるなど若干のデメリットもあります。特に強い恐怖心や嘔吐反射がある方は、笑気ガスでは不十分なことも多いです。
- Qその副作用とデメリットについてもう少し詳しく教えてください。
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A
▲笑気ガスを鼻から吸入して行う
笑気ガスは体内でほとんど分解されず、体外にすぐに排出されますので副作用についてはほぼ心配ありません。デメリットとしては、望める鎮静効果に個人差があることと、鼻炎や鼻詰まりなどで鼻呼吸のできない人、妊娠中の人、気胸や腸閉塞、中耳炎などで体内に閉鎖腔のある人などには使用できないといったことなどです。一方で、笑気ガスを吸うと、体がぽかぽかと温かく感じたり、ふわふわした心地になるなどリラックスした状態になることが期待できます。意識は維持されますので、声かけなどに応答できます。吸入をやめればすぐに体外に排出されていきますので、治療後のリカバリーが早い点も特徴で、メリットは多いです。
- Q静脈内鎮静法との違いについて教えてください。
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A
▲治療内容や症状によって、それぞれ適した鎮静法があるという
治療で使用する鎮静法として静脈内鎮静法もありますね。これは、静脈から鎮静作用が見込まれる薬剤を点滴で注入することで、穏やかな気持ちでウトウトした状態や感覚が鈍くなることが期待でき、恐怖心や嘔吐反射の強い方に有用といわれています。鎮痛より鎮静が期待でき、補綴治療の際などにも用いられます。ただし、笑気吸入鎮静法は食事制限などの事前準備は特に必要ありませんが、静脈内鎮静法は治療前に絶食が必要です。また、静脈内鎮静法を使用した場合、リカバリーに数十分から1時間ほどかかり、当日は車や自転車の運転はできません。特徴を踏まえ、適した鎮静法を選ぶことが大切です。
- Qどんな治療で笑気吸入鎮静法が利用できるのですか?
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A
▲同院で笑気吸入鎮静法用(笑気麻酔)の設備は4台備えている
笑気吸入鎮静法は基本的にどのような治療法でも利用できます。保険診療で行う治療に使用する場合は費用は保険適用となり、自費診療の治療に使用する場合は自費となります。まず笑気吸入鎮静法を行っているクリニックに相談されるといいでしょう。当院では、自費診療の場合は60分ほどかかる治療も対応可能なため、複数箇所を同時に治療するといったご希望にも沿えるかもしれません。また、詰め物やかぶせ物にセラミックスを使う、プラスチックとセラミックスを混合したハイブリッドセラミックスによるダイレクトボンディングで修復するなど、審美面に配慮した自費による治療を行うときも笑気吸入鎮静法を利用できます。
- Q笑気吸入鎮静法での注意点を教えてください。
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A
▲「きれいにしたい人に何でもしてあげたい」と話す渡邊院長
笑気吸入鎮静法は、先ほどお話しした適用外でない方ならどのような方でも利用していただけます。もし、治療を行っている最中に気分が悪くなった時には、すぐに歯科医師にお伝えください。笑気ガスが合わない可能性が考えられ、すぐに吸入をやめる必要があります。そのほかは特に注意点はありませんが、事前準備の必要がないので急な痛みにも柔軟に対応でき、患者さんの利便性も高いのが笑気吸入鎮静法の特徴でもあります。ですので、「笑気ガスでは効かない」と自己判断で静脈内鎮静法を希望し治療を受けている方がいらっしゃれば、一度は笑気吸入鎮静法を試していただきたいと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは笑気吸入鎮静法(笑気麻酔)/3300円〜(自由診療の場合) 静脈内鎮静法/2万2000円(自由診療の場合) 静脈麻酔/2万2000円~4万4000円(自由診療の場合) ダイレクトボンディング/2万2000円~3万3000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。