渡邊 麻里子 院長の独自取材記事
マリコ歯科クリニック
(渋谷区/代々木駅)
最終更新日:2022/09/15
代々木駅すぐ近くの好立地で、患者の多様なニーズに対応できる診療をめざす「マリコ歯科クリニック」。「欲張りだから、来てくれた人にはみんな笑顔になって帰ってほしいんです」と、大きな目を輝かせてうれしそうに話す渡邊麻里子院長を見れば、スタッフにも患者にも「麻里子先生」と慕われるのも納得がいく。同院では保険診療で行う一般的な歯科治療から、自費診療となるセラミック製の詰め物・かぶせ物を使う治療やインプラント治療まで幅広く対応。2022年初めから導入したマイクロスコープは、年末には3台目を設置予定で、すべての診療ユニットで精緻な診断・治療がめざせる環境も整う。歯科医院のイメージを覆すような楽しそうな笑い声が響く院内で、麻里子先生に治療のこだわりやモットーについて聞いた。
(取材日2022年8月16日)
患者の笑顔のために、さまざまなアプローチを導入
このクリニックの患者層など特徴を教えてください。
当院は、ご縁があって先輩が診療していた歯科開院を譲り受け、「マリコ歯科クリニック」として2012年にスタートしました。代々木駅近くという場所柄、患者さんはお勤めの方が中心です。このため診療時間も工夫し、平日はすべて19時まで診療するほか、毎週月曜と木曜は7時30分からの早朝診療も行っています。日中は仕事で、週末も家族のために時間を使い、ご自身のお口の健康は後回しという方にご活用いただきたいですね。加えて、技術面でもソフト面でも「ここに来て良かった」と感じてもらえるクリニックをめざし、スタッフと一緒にテクニックや方法論に頼らないコミュニケーションの方法も学んでいます。そのためか、笑ってお帰りになる患者さんが多いのも当院の特徴かもしれません。一般的に歯科医院は緊張する場所だと思うのですが、当院には「リラックスできる」とおっしゃる患者さんも多く、うれしく感じています。
院内の設備や医療機器などをご紹介ください。
体の病気がある方や歯科治療に恐怖心をお持ちの方などの治療、あるいは静脈内鎮静法の際に必要となるバイタルサインの測定機器を設置しています。開院当初から備えている笑気吸入鎮静法の設備に加え、静脈内鎮静法の設備も導入したのは、歯科麻酔を得意とする副院長の就任を機に、患者さんによりリラックスした状態で治療に臨んでほしいと考えたからです。静脈内鎮静法は意識が少しぼんやりして、痛みのほか不安や恐怖心も和らげることができ、これまで痛みや恐怖をこらえて治療を受けていた患者さんにお勧めしたいですね。笑気吸入鎮静法に加え、静脈内鎮静法が使えるようになったことで、対応の幅もさらに広がりました。
歯科用マイクロスコープのメリットをお聞かせください。
歯科用マイクロスコープは治療部分が拡大でき、通常は見えない歯の内側の奥まで見られるため、治療の精度向上が見込めます。拡大することで虫歯の取り残しや削り過ぎがなくなり、再発防止に期待が持てるほか、患者さんにとって最小限の治療で済むこともメリットでしょう。根管治療でも歯の根っこの先端部分まで明るく照らして見ることで、細菌に感染した部分をきれいに取り除けると考えられます。また、マイクロスコープを使うと歯科医師も無理な姿勢で作業する時間が激減し、ストレスのない状態で治療に集中できますね。マイクロスコープの先端についたカメラで治療内容を録画できるので、患者さんに治療内容をわかりやすくご説明する際にも役立っています。
どんな特徴があっても、当たり前に治療できる環境を
先生が診療で心がけていることをお聞かせください。
どんな患者さんも口腔内全体、そして体の健康も含めトータルに診ようと心がけています。さらにそうした患者さんの症状やご希望に応じた治療のため、技術と対応力を磨き続けることも私のモットーです。また、歯科の治療を受けるのにハードルがある方、例えば障害のある患者さんや、治療に対する恐怖心が強い方などにも治療をご提供したいと考えています。笑気や静脈内鎮静法で痛みや恐怖心を和らげることは治療を実現する方策の一つ。患者さんに納得して治療に臨んでいただけるよう、丁寧にご説明することも重視しています。治療しない選択肢も含めて、治療法を選ぶのは患者さんご自身です。そのためにしっかりと話を伺い、その方のライフスタイルに合った適切な治療を一緒に考えて、複数の選択肢をご提示することが大切なのです。
矯正や難症例の抜歯などは専門家に対応いただけると聞きました。
噛み合わせの改善、審美面に配慮した施術や治療、他院で断られたような親知らずの抜歯といったご希望に、専門的な見地からお応えできるよう、矯正歯科や歯科口腔外科などのスペシャリストが在籍しています。例えば矯正では、目立ちにくいブラケットとワイヤーを使った矯正や、マウスピース型装置を用いた矯正も行っています。歯科口腔外科ではCTを活用して診断し、安全性を確認しながら、横向きの親知らずや歯茎に埋まった親知らずなど、難症例の抜歯に対応しています。
障害のある方や持病がある方の歯科治療について教えてください。
当院にはパニック障害の方や歯科治療への恐怖心が強い方など、一般的な歯科医院では治療が受けづらいような患者さんも受診していただけます。歯科への恐怖とは無縁に見える方が、「歯をきれいにしたいけど、実は機械の音が怖くて」と打ち明けてくださることも少なくありません。当院では通常の治療が難しい方には、笑気や静脈内鎮静法により安静な状態で治療を受けていただくことができます。また、体の病気がある方はバイタルサインを計測するなど、安全に配慮して治療を行っています。どんな特徴があっても、私にとってはみんな一人の患者さん。差別も区別も特別視もせずに受け入れ、その人の希望にできる限り応えることを心がけています。多様性を認め、誰のことも排除しないインクルーシブな社会、とよくいいますが、誰もが当たり前に治療を受けられるインクルーシブな歯科医院があってもいいですよね。
父の助言でインクルーシブな治療という方向性が明確に
歯科医師をめざしたきっかけは何でしたか?
私の父も母も歯科医師ですが、歯科医師になるよう勧められたことはありませんでした。最初に進学したのも普通の女子大学だったんですよ。明確な将来の夢があって大学を選んだわけではなく、なんとなく進学した感じでしたね。早くから医療の道をめざしていた弟には、そうした私の漠然とした生き方が歯がゆく思えたのでしょう。あるとき、「将来は何になるつもりなのか」と強い口調で問われ、初めて真剣に自分の今後を考えました。それがきっかけで、大学卒業間近になって歯科医師になろうと決め、歯学部に編入して、再び学生生活を送ることにしたんです。卒業後は、障害者歯科や歯科恐怖症を専門に当時の東京医科歯科大学歯学部附属病院で研鑽を積み、2012年に当院を開院しました。
いつからインクルーシブな治療に注目されたのですか?
昔から誰かを枠にはめることに抵抗がありました。「みんな同じ人間なのだから、みんなで工夫して一緒に暮らしていけばいい」と思っていたんです。歯科医師になる時、そういう私の思いを応援してくれたのが父でした。父の専門は詰め物やかぶせ物で治療する補綴分野でしたが、補綴では対象となる患者さんも、患者さんを診る範囲も限られるというんですね。歯科医師になるなら、患者さんを分け隔てなく最後まで治療できたほうがいい、とのアドバイスを受けて障害者歯科を専門に選んだんです。私自身は障害のある方を専門に診るというより、患者さんの一人として障害のある方がいらしたときに対応できるように、と考えての選択でした。
最後に今後の展望をお聞かせください。
私、旅行が大好きで、そのうち世界を回りたいと思っていたんですよ。でも今は、患者さんを通して、このクリニックの中でさまざまな世界にふれられている気がしています。いずれ私が年をとったら、常連の患者さんも年を重ねているでしょうから、訪問歯科診療も視野に入れて長くお付き合いしていきたいですね。紆余曲折あって歯科医師になりましたが、今思うのはこれぞ私の天職だということ。患者さんも、この仕事を心から愛している歯科医師に診てもらったほうがきっと幸せでしょう。これからも変わらず、歯科医師という仕事に誇りと愛着を持って、一人でも多くの患者さんを笑顔にするために力を尽くすつもりです。
自由診療費用の目安
自由診療とは静脈内鎮静法(保険適用外)/2万2000円〜、笑気吸入鎮静法(保険適用外)3300円〜、部分矯正・マウスピース型装置を用いた矯正/10万円〜30万円、セラミッククラウン/5万円〜15万円、セラミックインレー/6万6000円~、オフィスホワイトニング/2万4000円、インプラント治療/35万円〜45万円(診断、CT撮影、ステント、セラミック補綴料、保証料込み)、表側矯正/66万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/66万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。