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稲見 光春 院長の独自取材記事

173総合内科クリニック

(三鷹市/三鷹駅)

最終更新日:2021/10/12

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三鷹駅と吉祥寺駅の中間点、連雀通り沿いに位置する「173(いなみ)総合内科クリニック」。稲見光春院長の苗字が由来の「173(いなみ)」の数字が目を引く外観が目印だ。2011年に開院した同院は、訪問診療をベースに一般診療も行う地域に根差したクリニック。訪問診療では、医師と看護師が必ずペアで訪問し、看護師は、家族に看護や介護のアドバイスも行うそう。認知症患者の診療やサポート、CART(腹水濾過濃縮再静注法)による腹水治療も行い、患者がその人らしく自宅で過ごせるよう支え続ける。一般診療では生活習慣病を中心に、患者の年齢や症状に合わせた治療を行う。穏やかな語り口が印象的な稲見先生に、診療の特徴や訪問診療の体制などについて聞いた。

(取材日2020年3月10日)

患者の話をしっかり聞くことが大事

2011年に開業されたのですね。この地を選んだ理由を教えてください。

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長らく日本医科大学の大学病院や関連病院などで内科の医師として勤務した後、世田谷区の地域密着型クリニックで一般診療、訪問診療に携わるうちに、訪問診療にやりがいを感じ、訪問診療をベースにしたクリニックを開院したいと思うようになりました。開院する場所を探していたところ、長年地域の人が住む住宅街であるこの地と出会い、訪問診療のニーズも感じたため、決めました。都心まで近いわりには自然がたくさんで、静かな町ですね。住んでいる方も、優しくて穏やかな方が多いですよ。患者さんに近い場所で、自分ができる医療を施すことで、皆さんの健康をサポートしていきたいと思っています。

訪問診療がベースということですが、一般診療との割合はどのくらいですか?

当院は、院長の私と、非常勤のドクター2人、看護師3人が医療スタッフとして勤務しています。シフト制で、曜日により午前中はクリニックでの診療、午後は訪問診療など、午前と午後に分けて交代する体制をとっています。そのため診療時間で考えると、訪問診療と一般診療が半々くらいでしょうか。周辺に、木曜・土日祝日が休診というクリニックが多かったので、かかりつけのクリニックがお休みで困っている方のために、当院では休診日を水曜日にし、土日と祝日の午前中も診療しています。

診療時のポリシーを教えてください。

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大学病院で入院患者さんを中心に診ていた頃は、「ベッドサイドに座り、会話を交わしたり患者さんのお話を聞いてから診療をスタートする」というスタイルをとっていました。開院してからも「聞く」ことは大事にしています。そもそも患者さんが訴えることを聞き逃さなければ、間違った診断にはならないと思うんです。患者さんのお話をしっかり聞くために、当院では診療を予約制にしています。待合室が患者さんでいっぱいという状況では、どうしても診療が流れ作業的になってしまって、しっかりお話を聞けない。それだと自分のめざす医療とはかけ離れたものになってしまうんです。予約制にしてある程度患者さんの数を絞れば、一人ひとりに費やせる時間も増える。今は、一人あたり10分~15分の時間を取れるように予約を組んでいます。

訪問診療は、医師と看護師が必ずペアで行う

訪問診療の特徴を教えてください。

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当院は、三鷹市、武蔵野市、小金井市に加え、調布市、杉並区、世田谷区のそれぞれ一部の地域にお住まいの、認知症や寝たきりの方、足腰が不自由で通院が困難な方、障害などで通院が困難な方、がんや難病などで在宅療養を希望される方など、お一人で通院することが難しくなった方を対象に、訪問診療を行っています。一番の強みは、患者さん宅に訪問する際は必ず、医師と看護師2人でお伺いすること。医師は検査や診療を行い、看護師は、患者さんのご家族に、自宅での介護の方法についてアドバイスしています。在宅での看護は、ご家族もいろいろ大変ですよね。ご家族からの不安や疑問にも応え、介護・福祉サービスをご紹介するなどしながら、患者さんとご家族を支えています。相談があった日からでもお伺いでき、夜間も私が電話並びに往診対応しています。

認知症の方にはどのようなサポートを行っているのですか?

認知症の方に対しては、まずは病型をしっかり把握すること。認知症の疑いのある方は、ご家族に連れられて外来受診されるケースが多いのですが、暴言や徘徊、幻覚などの陽性症状、その逆で、無気力やうつ状態などの陰性症状といった周辺症状が強い方の場合、往々にして通院を拒否する場合があります。このような患者さんに、早めに集中的なケアを行うことも、訪問診療では可能となります。認知症のお薬の使い方次第で、ご家族の介護負担は大幅に変わります。よって、一人ひとりの患者さんの状態に合わせ、処方する薬やその微調整も定期的に行い、ご家族の休憩もかねて、必要に応じて介護施設の利用をお勧めしています。

訪問診療で、腹水の診療を行っていると聞きました。

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腹水のたまった患者さんに関しては、CART(腹水濾過濃縮再静注法)という治療を外来で行っています。これは、おなかにたまった腹水を抜いて細菌やがん細胞を取り除いていき、栄養分を加えた腹水を点滴で体内に戻す方法。腹水がたまると食べるのも動くのもままならなくなるのですが、この治療は手間も時間もかかるために大きい病院でないとなかなか受けられないことが多いんです。だからこそ、「自分にできることがあれば」、「地域でもこういった治療を受けられれば、患者さんのメリットも大きいかな」という思いから始めました。そのほか、緩和治療やペインコントロールなども行っています。

患者の10年後、20年後を見据えて

一般診療と訪問診療、二足のわらじでハードではないですか?

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私がもともといた血液内科自体が激務でしたから、大変さはそれほど感じませんね。訪問診療では、一人の患者さんに対し、医師、看護師、ケアマネジャー、ヘルパーさんなどさまざまな職種の人たちが関わりますが、三鷹市医師会で導入しているインターネット上のコミュニケーションツールにより、リアルタイムで情報共有や連絡が可能です。看護師の協力もあり、患者さんを様子をこのツールで細かく把握が可能になり、症状が重くなる前に早め早めに対処を施すことで、患者さんやご家族の負担を軽減できるのではと考えています。現に、お看取りの時以外の、夜間の緊急連絡は少ないほうだと思います。

院内での診療の特徴や、患者さんの層について教えてください。

クリニックでの診療には、生活習慣病の方が多くいらっしゃいますね。平日は高齢の方、週末は仕事がお休みの40代〜50代くらいの方が多くいらっしゃいます。当院では、15分くらいでわかる血液検査の機械を導入しています。若い生活習慣病をお持ちの方には、10年後、20年後を見据え、定期的に血液検査を行い、客観的に状態を知っていただき、お薬の処方や生活指導などを行っています。高齢の方に対しては、合併症を増やさないことを目的に治療を行います。患者さんの年齢によって治療を使い分けることを基本に、一人ひとりの目標設定を計画・立案させていただき、その患者さんらしく健康維持できるような取り組みを行っています。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

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開業してもうすぐ10年になりますが、当初から通い続けてくださっている外来の患者さんが、足腰が弱ったりなどで通院できなくなり、訪問診療に移行するケースも増えてきています。患者さんやご家族は、どのようなタイミングで訪問診療に切り替えるのか判断に迷うこともあると思いますが、私の方から少しずつお話しさせていただき、安心して移行できるようにサポートしています。また今後は不定期で、訪問診療の相談会を実施していく予定です。当院での診療、訪問診療ともに、どんな些細なことでもかまいませんので、何か気になることや聞きたいことがあれば、お気軽にご相談ください。患者さんのニーズに応え、地域の皆さんに少しでも笑顔になっていただければと思っています。

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