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こちらの記事の監修医師
公立学校共済組合 関東中央病院
皮膚科部長 鑑 慎司 先生

ぎょりんせん魚鱗癬

概要

魚鱗癬は全身の皮膚が乾燥して、皮膚がうろこ状になったりフケが剥がれ落ちたりする状態のことをいう。魚鱗性には先天性(遺伝)のものもあれば、病気や薬によって発症する後天性のものもある。先天性魚鱗癬は、原因遺伝子や症状、罹患部位(皮膚のみか、全身症状を伴うか)などによってさまざまな種類のものがある。遺伝子の変異は通常は親から子へと伝わるが、自然発生的に生じることもある。先天性魚鱗癬は出生時に発症することも、乳児期や小児期に発症することもある。

原因

さまざまな遺伝子変異が原因で、皮膚の一番表面にある表皮細胞に異常が生じ、各層が顕著に肥厚する。最も頻度が高い魚鱗癬である尋常性魚鱗癬は、フィラグリン遺伝子変異により発症する。2番目に多いX連鎖性劣性魚鱗癬はステロイドスルファターゼ遺伝子の異常により発症する。また後天性のものもあり、それらは悪性リンパ腫、甲状腺機能低下症、エイズなどの病気が引き金となったり、薬の副作用として発症したりする。

症状

尋常性魚鱗癬は最も頻度の高い魚鱗癬だが、軽症例が多いため、乾燥肌と決めつけてしまい正しく診断できていない症例が多い。掌蹠(しょうせき)の皮膚紋理が増強することや、アトピー性皮膚炎を合併しやすいのが特徴である。ほかの先天性魚鱗癬は尋常性魚鱗癬よりも重症である。出生時から新生児期に発症するものが多く、全身または体の広い範囲で皮膚の表面が非常に厚い角質に覆われる。皮膚が赤くなり、魚のうろこ状やさめ肌状になるほか、魚鱗癬症候群では皮膚以外のさまざまな臓器に異常を来す。表皮融解性魚鱗癬では、水ぶくれやただれが見られることが特徴。先天性魚鱗癬様紅皮症や道化師様魚鱗癬ではまぶたや唇がめくれ、耳の変形が認められる。道化師様魚鱗癬は特に重症で、著しく厚く硬い鱗屑が全身に見られる。新生児期、乳幼児期に死亡することがある一方、学童期に至るまでに症状が軽快する例もある。魚鱗癬は多くの場合、生涯にわたり症状が持続する。

検査・診断

臨床所見、病理所見、家族歴、および遺伝子解析により診断する。先天性魚鱗癬の場合は、乳児や幼児の皮膚に特徴的なうろこ状、さめ肌状の異常が見られた場合にそれを疑う。局所麻酔薬を使用しながら小さく皮膚を切り取り、顕微鏡で詳しく観察する皮膚生検や、血液検査で遺伝子を調べることなどで診断を確定する。魚鱗癬症候群の場合は、皮膚以外の臓器に症状がみられることも多いため、小児科、眼科、耳鼻科でそれぞれの検査をすることもある。後天性魚鱗癬は薬の服用や他の病気の発症後に症状が出るため、原因を特定するために皮膚生検などを行う。

治療

根治療法が見つかっていないため、症状をやわらげるための対症療法が主となる。保湿剤やビタミンA、活性型ビタミンD3入りの軟膏を使用したり、ワセリンや尿素剤など角質に働く薬を外用したりする。四肢の骨格変形や拘縮には手術をすることもある。重症の場合、新生児期は、水分などを点滴で補うことや呼吸管理、正常体温の維持、皮膚の感染のコントロールなどの治療が必要になる。新生児集中治療室での管理を要することもあるが、技術の進歩により生存率は高まってきている。新生児期からレチノイド製剤の全身投与を行い、有効であった例もある。まれに重症な場合の死亡例が報告されているが、基本的には治療を続けることで改善が見込まれる。しかし多くの場合は生涯にわたっての治療が必要になる。

予防/治療後の注意

魚鱗癬は遺伝性の皮膚疾患であり、それを防ぐ方法はない。症状の悪化を予防するためには、皮膚の保湿と室内環境の管理が有用である。皮脂が減るので長時間の入浴を避け、皮膚をこすりすぎないよう気をつけ、さらにせっけんの使用を必要最小限にする。また、入浴後には保湿剤を塗布し、皮膚の乾燥を防ぐ。室内では適切な温度と湿度を保つためにエアコンや加湿器を使う。夏季は体温が上昇しやすいので要注意である。

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こちらの記事の監修医師

公立学校共済組合 関東中央病院

皮膚科部長 鑑 慎司 先生

2000年3月東京大学医学部医学科卒業。同大学附属病院の皮膚科で研修後、2006年3月に同大学院博士課程を修了。その後同大学附属病院皮膚科助教や、関東労災病院皮膚科にて医長を務める。Oregon Health & Science University博士研究員、東京大学医学部附属病院皮膚科講師などを経て、2012年4月より現職。日本皮膚科学会皮膚科専門医、日本レーザー医学会レーザー専門医。