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こちらの記事の監修医師
伊藤 公一 院長

こうじょうせんきのうていかしょう甲状腺機能低下症

概要

体全体の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンが、何らかの原因によって不足している状態をいう。甲状腺ホルモンは新陳代謝を促進するほかにも、脳や胃腸の活性化、体温の調節などの役割があり、活動のために必要なエネルギーを作っているため、甲状腺ホルモンが不足すると活動性が鈍くなり、体温が低くなるほか、全身のだるさや眠さ、むくみなどが起こる。女性に多くみられ、40歳以降の女性の約1%が発症するといわれている。成人になってから発症するケースが多いが、先天性のものはクレチン症と呼ばれる。 

原因

甲状腺そのものの働きが低下することで起こる「原発性甲状腺機能低下症」、甲状腺をコントロールしている甲状腺刺激ホルモンの分泌が少なくなって起こる「中枢性甲状腺機能低下症」がある。原発性甲状腺機能低下症の原因として圧倒的に多いのは橋本病(慢性甲状腺炎)で、ほかにヨウ素過剰によるもの、バセドウ病のアイソトープ治療や甲状腺手術後に起こることがある。また、抗がん剤や不整脈の薬、インターフェロンなどの薬物による影響や、悪性リンパ腫、アミロイドーシスなどの甲状腺浸潤性病変によるものがある。 

症状

甲状腺ホルモンが不足することで代謝が低下するため、全身のさまざまな機能が低下する。疲労感やだるさ、汗をかかない、食欲が低下する、寒気がするといった身体的な症状のほかに、無気力や眠気、記憶力の低下、抑うつ、動作が遅くなるなどの症状もみられる。皮膚が乾燥する、髪の毛が抜ける、眉毛が抜けるといったこともある。甲状腺全体が腫れる場合もありバセドウ病による腫れとは違って硬く表面がゴツゴツした状態になることもある。顔や全身がむくみやすくなり、徐脈になる。重症例では心臓の周りに水が溜まり、心機能に影響を及ぼすこともある。また、認知症やうつのような精神症状が出ることもあるため、気づきにくいケースもある。 

検査・診断

血液検査で甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンを調べる。甲状腺ホルモンの値が正常よりも低ければ甲状腺機能低下症と診断される。甲状腺ホルモン値は正常でも甲状腺刺激ホルモンが高い場合は潜在性甲状腺機能低下症の可能性がある。甲状腺ホルモンが低い場合には血中コレステロール値や中性脂肪が高くなりやすく、放置すると動脈硬化が進行し心疾患のリスクが高くなる。その他、超音波検査で甲状腺の大きさや腫瘍性病変の合併の有無を確認することも重要である。中枢性甲状腺機能低下症では下垂体、視床下部MRIを撮影する。 

治療

不足している甲状腺ホルモンを補う薬(甲状腺ホルモン薬)を服用する。最も多い原発性甲状腺機能低下症の場合は、一過性のものか慢性のものかを判断する。一過性甲状腺機能低下症で症状が軽度のものであれば特に治療の必要はないが、症状が強く現れている場合は数ヶ月間甲状腺ホルモンを服用することもある。またヨウ素の過剰摂取が原因と判断された場合は、ヨウ素の摂取制限をすることで甲状腺の機能が回復することもある。慢性、持続性の甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモン薬の内服を継続的に行うことになるが、心疾患など持病がある患者や高齢者の場合は内服量は少量から開始し調整しながら治療を行っていく。潜在性甲状腺機能低下症の場合は(甲状腺ホルモンは正常に保たれているため)、強い症状があったり脂質異常が認められたりすれば内服薬による治療を考慮するが、無症状の場合は定期的に検査を行い経過をみる。また、妊娠中または妊娠を希望する女性の場合は、甲状腺機能低下症の場合は速やかに補充療法を開始する。潜在性甲状腺機能低下症においても妊娠による甲状腺ホルモン需要の増加をふまえて補充療法を行う。 

予防/治療後の注意

海藻や昆布のサプリメントなどヨウ素が含まれている食品を多く摂りすぎると、甲状腺機能低下症が悪化するおそれがあるため摂りすぎには注意が必要である。甲状腺ホルモン薬による補充療法は長く継続する必要がある場合が多いため、定期的な検査と補充量の調整が重要である。 

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こちらの記事の監修医師

伊藤病院

伊藤 公一 院長

東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学内分泌外科教室、米国留学などを経て、1998年、祖父が創業した伊藤病院の院長に就任し、甲状腺疾患の専門診療体制の強化にまい進している。外国人診療の実績から、国土交通省・観光庁「インバウンド医療観光に関する研究会」の委員会に参加をした経験もあり、メディカルツーリズム普及にも努力している。