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こちらの記事の監修医師
泌尿器科科長/講師 宍戸 俊英 先生

きゅうせいぜんりつせんえん急性前立腺炎

概要

尿道から侵入した大腸菌などの細菌が、尿の流れとは逆行してその上流にある前立腺に感染して起こる疾患。これ以外にも、血流やリンパ流に乗った細菌が前立腺に至って感染する場合もある。急激に発症し、発熱や悪寒、前立腺の圧痛、排尿障害、倦怠感などの全身症状を起こす。高齢者に起こりやすい前立腺肥大症とは異なり、思春期以降のどの年齢でも発症するが、小児に起こることは稀。短期間で重症化し、敗血症など重篤な状態に移行する危険性もあるため、早期に適切な治療を受けることが大切。

原因

前立腺炎の中には詳細が解明されていないものも多くあるが、急性前立腺炎は原因がはっきりしており、およそ7割から8割が大腸菌の感染が原因とされている。その他、緑膿菌やブドウ球菌による場合もある。長時間の座位などが原因で発症する非細菌性慢性前立腺炎とは区別され、治療薬はこの原因菌の種類に応じて選択される。感染ルートは多くの場合尿道からの逆行性感染で、細菌が尿道の奥にある前立腺に到達し炎症を引き起こす。これにより前立腺が充血・腫大する。排尿時痛や頻尿、排尿困難などの症状が出現し、高熱を来たすこともある。尿道以外の感染ルートとしては血行性、リンパ行性の感染が挙げられ、体の他の部分の感染症が血流やリンパの流れにのって前立腺へ運ばれてくることが原因と考えられている。そのため、糖尿病などで、細菌に対する抵抗力が弱っている患者は感染を起こしやすく、重篤化することがあり注意が必要。

症状

38度以上の高熱を生じるとともに、悪寒・戦慄や倦怠感、関節痛、筋肉痛などの全身症状が出る。前立腺は大きく腫脹し、排尿困難、残尿感、頻尿、排尿時の痛みなどが生じる。症状が進行すると、前立腺が腫れて尿道を強く圧迫し、排尿困難から尿閉(膀胱にたまった尿がまったく出なくなってしまうこと)になることもある。会陰部(肛門と陰嚢の間)などにも痛みを起こし、歩行や座ることも困難になる。さらに重症化して炎症が激しくなると全身性敗血症症候群を起こし、頻脈や低血圧を発症。最悪の場合は多臓器不全などで死に至る危険性もある。

検査・診断

細菌感染により発症すると、自然排尿した尿の中に原因となる細菌と炎症性細胞である白血球の増加が認められるため、尿検査で診断する。合わせて前立腺分泌物の検鏡を行うこともある。また前立腺は直腸から触診することが可能。医師が肛門から指を入れて触診し、患者が圧痛を感じると急性前立腺炎が疑われる。この時、前立腺をマッサージすると細菌を血液中に散布する恐れがあり、禁忌とされている。この他、超音波検査で腫れや膿の有無を確認したり、血液検査を行ったりすることもある。受診への抵抗感から様子を見ることが重症化の一因とされており、自己判断は禁物。

治療

尿検査から原因となる細菌の種類を調べ、その細菌に対して有効な抗生物質を投与する。発熱がひどくない場合は内服薬のみで治癒することもあるが、多くの場合は点滴による抗生物質の投与が必要。高熱がある場合や重症の場合には、入院し絶対安静にしていなければならないが、通常、数日~1週間程度で症状は快方に向かい、その後は退院して内服薬で2週間から4週間程度治療を続ける。尿量を増やすため水分を多めに取ることも必要。通常の抗生物質に耐性のある大腸菌が原因である可能性もあり、その場合はより強い抗生物質への変更を要する。尿閉を起こしている場合は、尿道留置カテーテルを用いるなどして尿の排泄ができるようにする。前立腺が化膿し、膿が貯留している場合、会陰部から針を刺したり、切開したりして膿を出す。

予防/治療後の注意

治療中は安静を保ち、アルコールやコーヒー、香辛料などの刺激の強い飲食物は避けること。水分を十分に取って前立腺の細菌を洗い流すことも必要。熱がなければ入浴は可能。便秘も症状を悪化させるため、腸内環境を整えることも予防法として有用だ。

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こちらの記事の監修医師

東京医科大学八王子医療センター

泌尿器科科長/講師 宍戸 俊英 先生

1994年東京医科大学医学部卒業。同大学病院、癌研究会附属病院(現・がん研究会有明病院)勤務、杏林大学医学部付属病院泌尿器科講師などを経て2014年より現職。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。